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1章 王都ルーデリー 出会い編
1-1 目が覚めて
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目が覚めると森にいた。
ここは一体どこだろう。
あたりを見廻しても一面木しかない。
頭痛はすっかり収まっているが、現状が呑み込めない。
近くで話し声が聞こえる。
ここが何処なのか聞いてみよう。
話し声が聞こえた場所へ向かうと、三人の男が焚火の周りに座っていた。
二人は40代のおじさんに見えるが、もう一人は10代だろうか、かなり若い。
「すみません、少しお尋ねしたいのですが。」
そう声をかけると、ビクッとした後、武器を構えられる。
本物の剣だろうか?
「なんの用だ?」
大柄の男が武器を構えたまま、そういった。
一瞬たじろいだが、せめてここがどこかぐらいは知りたい。
「実は、目が覚めたらここにいて、ここがどこだか知りたいのです。」
他にも聞きたいことは山ほどあったが、怖くてすぐに立ち去りたかった。
「二人とも、大丈夫だよ。」
若い男が他の二人に、そう声をかける。
身長は180㎝ほどで細身、金髪のイケメンだ。
二人は素直にそれを聞き入れ、武器を下ろす。
「怖がらせてごめんね、この辺には盗賊が出るから、警戒していたんだ。」
なんてさわやかな笑顔だ、女だったら惚れていたかもしれない。
「いえ、大丈夫です。」
何とか言葉を絞り出す。
「良ければ近くの街まで案内しますよ。」
さわやかな笑顔でそういわれ、すっかり信じ切ってしまった自分の不用心さに腹が立つ。
ーーーーーーーーーー
「いくら何でも、スキル無しの上に男のヒューマンはこんなもんだよ。」
「そこを何とか、珍しい服着てるだろ、あんたのつてで売ってくれよ。」
そう、お察しの通り、さっきの三人組こそが、盗賊その人だったのだ。
アジトまで連れてこられ、ちょうど近くにいたという奴隷商と商売の話をしてるのだ。
商品はもちろん「俺」
だが、ここに来るまでにたくさんの事を知ることが出来た。
この世界は地球ではなく、別の世界だという事。
俺みたいな人間を「迷い人」と呼ぶが、「スキル」を持たないのは稀らしく、商品価値は低いらしい。
その代わり、戦闘力がない分捕まえやすいという事でもある。
「仕方ない、あんた達には世話になってるからな、今回はおまけだ。」
「助かるよ、又頼むな。」
「俺」の商談がまとまったらしい。
「恨むなら俺じゃなく、足りない自分のお頭を恨んでくれよ。」
盗賊のイケメンは笑いもせずそう言うと、もう興味もない言わんばかりに踵を返す。
縄で手を縛られたまま馬車の荷台に乗せられる。
そこには先客がいたが、口に布を巻かれ声が出せないようになっている上に、手だけでなく足も縛られていた。
暗くてよく見えないが、どうやら「人間」ではないようだ。
頭からまっすぐ伸びた耳、お尻の後ろに尻尾、ウサギの特徴を持った人。
いつか漫画で見た兎人にそっくりだった。
ここは一体どこだろう。
あたりを見廻しても一面木しかない。
頭痛はすっかり収まっているが、現状が呑み込めない。
近くで話し声が聞こえる。
ここが何処なのか聞いてみよう。
話し声が聞こえた場所へ向かうと、三人の男が焚火の周りに座っていた。
二人は40代のおじさんに見えるが、もう一人は10代だろうか、かなり若い。
「すみません、少しお尋ねしたいのですが。」
そう声をかけると、ビクッとした後、武器を構えられる。
本物の剣だろうか?
「なんの用だ?」
大柄の男が武器を構えたまま、そういった。
一瞬たじろいだが、せめてここがどこかぐらいは知りたい。
「実は、目が覚めたらここにいて、ここがどこだか知りたいのです。」
他にも聞きたいことは山ほどあったが、怖くてすぐに立ち去りたかった。
「二人とも、大丈夫だよ。」
若い男が他の二人に、そう声をかける。
身長は180㎝ほどで細身、金髪のイケメンだ。
二人は素直にそれを聞き入れ、武器を下ろす。
「怖がらせてごめんね、この辺には盗賊が出るから、警戒していたんだ。」
なんてさわやかな笑顔だ、女だったら惚れていたかもしれない。
「いえ、大丈夫です。」
何とか言葉を絞り出す。
「良ければ近くの街まで案内しますよ。」
さわやかな笑顔でそういわれ、すっかり信じ切ってしまった自分の不用心さに腹が立つ。
ーーーーーーーーーー
「いくら何でも、スキル無しの上に男のヒューマンはこんなもんだよ。」
「そこを何とか、珍しい服着てるだろ、あんたのつてで売ってくれよ。」
そう、お察しの通り、さっきの三人組こそが、盗賊その人だったのだ。
アジトまで連れてこられ、ちょうど近くにいたという奴隷商と商売の話をしてるのだ。
商品はもちろん「俺」
だが、ここに来るまでにたくさんの事を知ることが出来た。
この世界は地球ではなく、別の世界だという事。
俺みたいな人間を「迷い人」と呼ぶが、「スキル」を持たないのは稀らしく、商品価値は低いらしい。
その代わり、戦闘力がない分捕まえやすいという事でもある。
「仕方ない、あんた達には世話になってるからな、今回はおまけだ。」
「助かるよ、又頼むな。」
「俺」の商談がまとまったらしい。
「恨むなら俺じゃなく、足りない自分のお頭を恨んでくれよ。」
盗賊のイケメンは笑いもせずそう言うと、もう興味もない言わんばかりに踵を返す。
縄で手を縛られたまま馬車の荷台に乗せられる。
そこには先客がいたが、口に布を巻かれ声が出せないようになっている上に、手だけでなく足も縛られていた。
暗くてよく見えないが、どうやら「人間」ではないようだ。
頭からまっすぐ伸びた耳、お尻の後ろに尻尾、ウサギの特徴を持った人。
いつか漫画で見た兎人にそっくりだった。
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