【R18】特殊スキルは聖水でした。

日向沖

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2章

2‐4 目途

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 次の日は朝からアンナとふたりで木の伐採作業だ。
 すでに騎士団が切ったであろう木の切り株を見ながら性質を確認し、自分で2・3本の木を切り倒してみるアンナ。

「太さと固さはなかなか、この木であれば加工すれば立派な木材として建築に利用できます。
 道の整備と木材の確保を同時に済ませてしまいましょう。」

 騎士団の技術員にテキパキと指示をこなし、あっという間に木が切り倒されていく。

「すごいな…
 この木を切り倒すのに時間がかかりすぎて騎士団の士気が下がってたのに、専門家一人いるとこうも早いのか…」

 カリーナはアンナの仕事ぶりを称賛し、一作業員として手伝う。

「木も人間や魔物と同じです、弱点や得手不得手があります。」

 このペースならダンジョンへの道を確保するのにさほど時間はかからないだろう。

ーーーーーーーーー

「ありがとう、助かったよ。
 作業速度がこれだけ早くなると、計画を立てやすくなる。」

「いえ、俺たちとしてもダンジョンに潜る為の拠点が必要なので、お互い様です。」

 アンナからの指示書をもとに騎士団だけで作業が出来るところまで話を進める。
 たった一日で状況が変わってしまう。

 餅は餅屋、百聞は一見に如かず。

 その道のプロが現場で見て進める事以上に効率的な事など無いのかもしれない。

「切った木材は一か所に集めておいてください、加工の方法なども後程説明します。」

 カリーナから顧問料として金貨を貰う。
 
「き、きんか…
 初めて見ました…」

 初めて金貨を見たアンナの手は少し震えていたが、受け取った後はしばらく大事に握りしめていた。

ーーーーーーーーー

「この周辺は魔物の平均値はなかなか高いわね。
 野生化して、魔物同士での縄張り争いもあったのでしょう。」

 周囲の探索を終えたリーズたちと合流する。

「あんたでも対処できるレベルではあるけど、王都の周辺に出没する魔物より強いから十分注意しなさい。」

 俺とアンナの修業にはもってこいだ。

 開拓の件も皆に説明する。

「想像以上の早さね、最低でも一週間くらいかかると思っていたから、こちらとしては好都合だけど。」

「あの、提案なんですけど…
 村の外に私達の拠点を作りませんか?」

 ナツキが話始める。

「村の中だと話せない事も有りますし、何よりダンジョンへ潜る前の予行演習にもなります。
 ある程度危険な中での生活はレベルでは測れない「経験」を得れるはずです。」

 目先の強さではなく、数字には出ないところでの鍛錬こそは重要だと、鬼人族では教わっているそうだ。

「うん、賛成!
 私たちはまだまだ駆け出しだから、経験をたくさん得なきゃ!」

 ミーシャも自分に足りない物を得ようと必死なのだろう。

「俺も異論はない、アンナは?」

 俺よりも新米冒険者のアンナも覚悟は決まっているようだ。

「異論はない、リーダーであるあんたの決めた決定に従う。」

 俺たちがもう一つ成長する為に必要な事だ、やってみよう。
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