【R18】特殊スキルは聖水でした。

2章

2‐10 帰宅

「へぇ、サラちゃんもこっちに来てるんだ。」

　リーズはサラの事を知っているようだ。

「子供がいるとは聞いていたけど。
　近いうち皆で行ってみよっか。」

　こちらの拠点整備がある程度進んだらそれもいいだろう。

「リーズ、「グーラ族」について知ってることも教えてくれる？」

「そうねぇ。
　グーラ族はヒューマンだから寿命はそれほど長くない、民族の特徴としては風系統と土系統の魔法に秀でたものが多いって感じかしら。」

　種族ではなく民族で分けるあたり、カテゴリーは「人間族」なのだろう。

　ついでに水魔法についても聞いてみる。

「水魔法で生み出される水は、魔力をイメージで変換した物だからいわば「魔力の塊」、質量と魔力量は比例するから相当な魔力量が無いと使用することが出来ない。
　それに、生み出した水も勿論魔力濃度が高すぎて直接は飲めない、だから「水を操作」することが一般的ね。」

　そんなにおいしい話はないか。

「あんたが何考えているか大体検討がつくからね。」

　リーズにはお見通しだったか。

「あのっ、報告してもいいですか？」
　
　俺たちの話を黙って聞いていたナツキが口を開く。
　
「聖水(子)の効果が消えました。」

　リーズは聞いていたのだろう、特に驚く様子もない。

「どれくらいで消えた？」

「朝頂いてから昼は我慢したので、日が暮れる前にはスキルが消えました。
　そのあと補充しても、効果は再現されてません。」

　結構な量を蓄積しないと効果が表れないのか？
　
「効果が分かったので、実験は終了ですよね？」

　全く「聖水」の事になるとナツキの精神年齢は著しく下がってしまうのか。

　もちろんいじめるつもりはないのだが。

「わかったよ、配分は見直す。
　でもやってもらう事が多いアンナへの割り当ては増やすから、少しは我慢してね。」

　頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細める。
　
　ミーシャとリーズはニヤついている。

「あんた達、食事中にイチャつかないでよ。」

　アンナの顔には特に変化は無かったが、リーズはアンナの方を見てニヤニヤし続けている。
　二人の間に何かあったのか？

「はいはいご馳走様！」

　ミーシャはナツキをからかうようにそう言うと、皆の食器を片付け始める。

「ミーシャ。
　今日は私とアンナが一緒に寝るから、あなた一人で寝てね。」

「え～！
　アンナと一緒が良い！」

　いつの間にかアンナとミーシャが同じテントと決まっていたようだ。

「たまにはいいでしょ。
　明日はあんたと寝てあげるから。」

「リーズは別にいい！
　アンナが良い！」

「このクソガキッ。」

　なんとも仲のいい事で。
　今日はミーシャが一人で寝ることに決まったようだ。