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2章

2‐20 シルフィと「言葉」

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 キールの話では2歳でレベル10のシーズグリフォンは大分弱いらしい。

「どうやってこの島に来たのか、このレベルで生きていたことが不思議なくらいですよ。」

 元々いたわけではないのか?

「この島は昔グリフォンの天敵である「ドラゴン」の縄張りでした。
 考えられる可能性は大きく2つです。
 ドラゴンがダンジョンに負けてこの島が「空白」になっていた。
 もう一つは誰かがシルフィを連れてきた。」

 賢く、強いグリフォンだが食物連鎖の頂点に立つドラゴンとはそもそも戦う事すらないという。

「まだ飛行能力の弱いシルフィが単独で来た可能性はありません。
 いずれにせよ、生態系調査において重要な存在ですね。」

 そう言ってシルフィの頭を撫でるキール。

 気持ちよさそうに目を細めるシルフィ。

 そうだ、もしかして…

「シルフィ、俺の言ってること、分かる?」

「キュー」

 返事をしてくれるが、どっちなのか分からない。

「シルフィ、俺が右手を上げたら一回、左手を上げたら二回鳴いて。」

 そう言って左手を上げる。

「キュー、キュー」

 やっぱり…

 次は右手を上げる

「キュー」

 シルフィは俺の「言葉」を正しく理解している。

 キールは動揺する。

 原因は恐らく俺のスキルにある。

「まさか、「翻訳」?」

 リーズは同じ結論にたどり着いたようだ。

「もともと知性の高いグリフォンだから、スキルの効果であなたの言葉が伝わってるってことね。」

「多分ね…」

 シルフィの頭を撫でる。

「シルフィ、私が右手を上げたら三回、カズが右手を上げたら四回鳴いて。」

 リーズはシルフィにそう言うと、俺に手を上げさせる。

「キュー!」

 シルフィは一回だけ鳴いた、俺が最初に指示した通りに…

「なるほど、「翻訳」スキル持ちでしたか。」

 キールは落ち着きを取り戻している。

「魔物と意思疎通を図るスキルはいくつかあります。
 翻訳は非常に珍しいものなので驚きました…。」

「俺のレベルが上がればシルフィの言ってることが理解できるようになるかもな。」

 そう考えると早くダンジョンに潜りたい。

ーーーーーーーーー

 アンナ達と合流する。

「やはりアンナさんがいると作業効率が段違いです。」

 カリーナはアンナを褒める。

「いやいや、騎士の皆の動きがいいからこその速さだよ。」

 アンナはアンナで騎士団の動きの良さを褒める。

 仲いいな、こいつら。

「おかえりー!
 どうだった?」

「問題ないってさ。」

 こちらへ小走りでやってきたミーシャの頭を撫でると嬉しそうにする。

 隣のシルフィも撫でてほしそうに頭を向ける。

「いい子いい子!」

 それをミーシャが撫でる、シルフィも気持ちよさそうだ。

「シルフィのレベルは低すぎてこの島だと危険みたいだ、悪いけど作業は任せるからシルフィの育成を優先するよ。」

「まかせて!
 アンナがいるとアッと言う間に終わるから!」

 しばらくはリーズとシルフィと三人でレベル上げだ。
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