【R18】特殊スキルは聖水でした。

日向沖

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2章

2‐19 対魔物専門家「キール」

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 新しい仲間も増えたし、シルフィのおかげで輸送能力が大幅に向上した。

 「村」からダンジョンへの道は整備の途中だが、大分進んでいるように見える。

 とりあえず馬車の通れる道幅だけ切り開き、ちゃんとした整備は後回しにすることになったそうで。

「ダンジョンの手前まで道を通すことが出来たら、職人を派遣してもらえることになりました。」

 「村」へ行くとカリーナさんはそう説明してくれる。

「どれくらいかかりそうですか?」

「具体的には…」

 問題はないが、いかんせん労働者不足みたいだ。

「そのために来たんだ。」

 そう、今日「村」まで来た目的の一つはアンナたっての願いで開拓の手伝をする事。

 本当の目的は「木の伐採で得られる経験値」の確認と、労働疲労と体力強化のテスト、つまりは「聖水」を使ったアンナの作業効率の確認だ。

 もう一つはシルフィの戦闘力の確認。

 この島に「鑑定」系の高レベルスキル保持者はいないが、魔物の専門家が軍から派遣されている。

 その人にシルフィの事を見てもらうつもりだ。

「こっちが終わったら手伝いに行くから。」

 そう言ってアンナ・ミーシャ・ナツキと別れ、リーズとふたり作戦本部へ。

ーーーーーーーーー

「どうも、対魔物専門のキールです。」

 カリーナが伝令を送ってくれていたおかげで話はすんなり通る。

 立派な髭を蓄えた50代程の男性だ。

「ほう、シーズグリフォンですか、これまた珍しい…」

 シルフィはシーズグリフォンという種族らしい。

「この子の状態なんかを知りたいんだけど、出来る?」

「私の「サーチ」はレベル7の為、「解体」してみないと詳しくは分からないのですが、レベルと歳ぐらいなら何とか…」

 「サーチ」って探索系の名前っぽいけど…

「ええ、それであってます。
 本来の使い方は強く念じた「対象」を魔力探知範囲内で検索するもの。
 ですが冒険者ではなく魔物研修者の私の主な使い方は、魔力を流して「対象」の「構成情報を検索」する方法。
 あまり魔力量の多くない私は「解体」「分解」して範囲を狭めてからやるのです。」

「つまり念じた情報が有るか無いかを一個ずつ調べてるってことですか?」

「そう言う事です。」

 さらりと言っているが今のを聞いただけでとんでもない人だと分かる。

 相当な知識が無ければ到底有益な情報を引き出す事は出来ない、「知らない事」までは「知ることは出来ない」。

 「鑑定」スキルを得られなかった彼は、「サーチ」を応用することで似たような事をしている。
 当然効率は悪いが、得た知識が無駄になる事はない。
 
 スキルの使い方はまさに「想像力」次第といったところか…
 うん、面白い。

ーーーーーーーーー

「ほう、すごいですね…」

 シルフィを診て驚くキール。

「この子はすでにあなた達に貰った「シルフィ」が自分であると認識してます。」

「そりゃそうよ、頭のいい子なんだから。」

 胸を張るリーズ。

「まだ2歳、レベルは…10ですね…
 病気や呪いの類はありません…
 風系統の魔法適性がありますが、レベルは分かりません…」

 そう言って手を離して一息つく。

「すみません、分かるのはこれぐらいです。」

「十分よ、ありがとう!」

 元々病気にかかってなかったのか「聖水」の効果なのかは分からないが、一安心だ。
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