【R18】特殊スキルは聖水でした。

日向沖

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2章

2‐29 戦闘 「リザード」、「ラビット」

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 日が暮れてしばらく、奴らはやってきた。

 リザードは素早い動きでどんどん近づいてくる。

 数は100匹を軽く超える、いったいどれほどの数が…

「皆、気を引き締めていこう。」

 まずは第一段階、俺とシルフィ、アンナとミーシャはリザード達の向かってくる方へ飛び出す。

 グーラ族の弓兵たちがそれをサポートしてくれることになっている。

「景気づけだ、シルフィ!」

 俺の指示に従ってシルフィは風の刃で無数のリザードを切り裂く。

 魔力を消費したシルフィに「聖水」を与え、シルフィがそれを補給している間は俺が守る。

 確かに移動速度は速いが、使ってくる水魔法の威力は弱く、水鉄砲と入れるほどの威力も速度も無い。

 一体一体、刀で切り伏せていく。

 シルフィの風魔法のおかげで数が減った為俺でもさばききれるが、それが無いとなると確かに苦戦しそうだ。

 ミーシャとアンナの方も順調なようだ、ミーシャがリザード以上の速度で相手をかく乱し、アンナはしっかり間合いを守りながらとどめを刺す。

 そして何より、グーラ族の援護射撃が正確で助かる。

 俺たちの死角になる敵を重点的に攻撃してくれているおかげで、目の前の敵に集中することが出来る。

「キューーー!」

 魔力を練り上げたシルフィは、周囲のリザードを魔法の力で上空へと弾き飛ばす。

 打ち上げられ、空中では身動きの取れないソレをグーラ族の弓兵が撃ち落とす。

 事前に打ち合わせていた作戦の一つだ。

 こちら側だけですでに100匹は倒しただろう、ミーシャたちの方でも50匹は倒しているようだが…

 奥の方からやってくるリザードの数が減ったと思うと、今度はラビットがちらほらと混じっている。

 ラビットは移動速度こそリザードより遅いが、射出する水は早く、木に穴をあける個体もいる。

 ここで第二段階へ突入だ。

 グーラ族の近接戦闘、および魔法戦闘部隊が出てきて、各部隊で戦う頭数を減らす。

 当然戦場に仲間が増えると弓兵のリスクが増えるため一部を残し、補充と休憩の時間になる。

 「聖水」の効果も当然あるだろうが、俺意外の二人と一匹はまだまだ元気だ。

ーーーーーーーーー

 一時間も経っていないだろう。

 あたりは魔物の死体だらけ、腐敗が進む前に処理すべきものも多いが、グーラ族の戦士たちもすっかり疲れ切ってしまっている。

「でも、ここまで減ったのは初めてですよ。」

 グラッツは驚いていたが、疲れた表情の方が勝っていた。

「カズ!
 任務完了、全開戦闘しても大丈夫よ。」

 文字通りリーズは飛んで帰ってきた。

「そうか…
 よし、遠慮はいらない。
 残りを一気に処理するぞ!」

 俺の合図でミーシャは獣人化を、シルフィもこれまでにない大きな魔力を練り始める。

 俺とアンナはいったん下がる。

「いっくよ~!!」

「キュュュュ!!」

 すごい速度でミーシャは戦場を駆け、少なくなったリザード達の数をさらに減らす。

 シルフィの方も遠慮なしだ。

 風の刃を森の奥まで飛ばし、木々には無数の切り傷がついてしまうほどだ。

「あなた達は、一体…」

 ここにきての全開戦闘だ、サラは驚きを隠さない。

「魔力回復薬が多めにあっただけです。
 まだまだサラさんたちの足元にも及びませんよ。」

 お世辞ではない、実際サラの戦闘力はナツキに匹敵するもので、他のグーラ族に比べ一人余裕を残している。

 そう、俺たちが長時間戦えたのは「聖水」のおかげなのだから。
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