転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね!? ~平凡に生きていくために、私は諦めないんだからっ!~

鶯埜 餡

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十一歳

自業自得

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 元はといえばアリアの挑発のせいだが、ギスギスしてしまったマクシミリアンとクリスティアン王子の会談。その後、マクシミリアンはアリアに秘書として接した。陽が落ちたあとの夕食会では、昨日の宿の夕食と同じく畜産物を使った料理がふんだんに出された。
「これがヤギ乳で作られたチーズか」
 クリスティアン王子は初めて食するヤギ乳で作られたチーズに感動していた。アリアも前世で聞いたことはあったものの、実際に出されたのははじめてだったので、興味がわいた。
「思っていたより、匂いが少ないな」
「ええ。お出ししたのは羊の乳と牛の乳を混合させているので、わりあい匂いは少ない方かと思います。純粋なヤギ乳チーズは匂いがきついという人が多いので、あまり初心者の方にはあまり向いてないんです」
 マクシミリアンはクリスティアン王子が美味しそうに食べていたことから、詳しく解説し始めた。アリアは『公爵令嬢ではなく秘書』という言葉をずっと心の中で唱え続け、同じテーブルで食事をしているにもかかわらず、壁の花に徹していた。
「うちの領ではずいぶん前から作るのが盛んで、これを目当てにかつての王は併合したと聞いております。多くの商人が行き来するんですが、彼らが扱うのは乾燥させたものばかり。日持ちがしないので仕方のないこととはいえ、これらをどうにかして王国内全土に広められないかと考えどころなんです」
 マクシミリアンの説明にそうかと頷くクリスティアン王子。アリアはそれに少し反対したくなった。
 もし、全土から需要が高まれば量産体制が追い付かなくなる。仮に量産体制が整ったところで、品質にばらつきが出てくる可能性が高い。魔法や魔術もしくは現代の技術・・・・・を使わないとこの部分は解消されない。この世界には魔法や魔術と言ったものは存在しないなし、アリアには現代の技術・・・・・を持ち出す術がないので、この課題を解消することは現実的にほぼ不可能と考えていい。あとから、この旅が終わってからマクシミリアンに『個人的』に言ってみることにした。

「しかし、これらを作るのは簡単なのか?」
「うーん、どうでしょうか。慣れているからか、僕自身は簡単だと思います。力仕事もありますが、女性も多く参加されてますよ」
 クリスティアン王子はこれをどうやって作るのかに興味を持ち出していた。すると、マクシミリアンは自分で作っているという。
「お前も作るのか」
「ええ。ここにいてできることってこれくらいなんですよ」
 口には出さなかったものの、アリアも驚いていた。しかし、マクシミリアンは何気なくそう返す。そう言って笑う顔は穏やかなものだった。どうやら小さいころから病弱で王都に来なれなかったものの、比較的体調がいいときには力をつけていたようだった。


 翌日、アリアは一人でフェティダ公爵領内を散策していた。本当は『秘書』として二人の会話に参加するべきだったが、クリスティアン王子からお前は来るなと言われてしまったおかげで暇ができてしまい、この領の様子を見てまわることにした。まあ、たしかに昨日は秘書としてはあるまじき行動だったのを理解していたので、アリアもそれを受け入れられたのだが。
 屋敷の外にも警護の騎士たちがいて、アリアが外に出かけることに気づくと何人もの騎士たちが警護につくことを求めたが、彼女はそれを許さず、たった一人で出かけた。周囲の家々にはたくさんの家畜が飼育されていて、牛みたいな大型なものヤギや羊などの小型のものまでいた。

「お嬢さんは貴族なのか」
 ある一軒の農家で飼われているヤギたちを見ていたとき、一人の青年に声をかけられた。どうやらその青年はこの近くの住民のようだった。この近辺の人たちの特徴なのか、年齢のわりに幼い顔立ちというマクシミリアンの雰囲気に似てるが、気さくさはこちらの方がはるかに上だった。
「だったらどうしたいの?」
 アリアはその青年に少し意地悪なように尋ね返した。その問いに答えなかった青年は家畜たちを囲っている柵にもたれかかりながらアリアに問いかける。
「綺麗だろ」
「え、ええ? そうね」
 その青年がアリアの問いに答えなかったものの、不思議と怒りは沸いてこなかった。彼女の一瞬の戸惑いにも彼は気にすることなく、青年は笑いかける。
「もしあんたがよければ、うちにきてみないか」
 その言葉にアリアは喜んでと頷いた。青年は彼女を柵の向こうに見える建物に案内した。
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