転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね!? ~平凡に生きていくために、私は諦めないんだからっ!~

鶯埜 餡

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十一歳

もう面倒ごとに巻きこまれても……よくない

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 王宮には陽のあるうちに着いたが、一応当主のユリウスと代理であるエレノアに報告をするために一度、スフォルツァ家へ戻った。
「そうだったのですか」
 建国当初から王国に属していなかったギガンティア家。しかし先日、スフォルツァ家の人間に協力し、他国の王族を傷つけようとした。それはこちらスフォルツァ家があの女に対しての管理不足から招いたことでもあるが、それを止めようとしなかったギガンティア家あちらへの印象は悪い。
 ただ今はどちらも当主も変わっている。今後のことを話しあうのにはちょうどよいタイミングなのではないだろうか。
 案の定、母親のエレノアは眉をひそめた。ユリウスはそもそも会ったことがないから現当主がどのような人物かわかってないようだったが、エレノアが同じ感情を彼に強制するようなそぶりもみせない。
「……私はどうすればいいでしょうか」
 しかし、ユリウスは一度も会話したことのないマクシミリアンにどう対応していいのかがわからないようだ。彼女は無言で母親を見る。
 エレノアは娘の視線にため息をつく。
 多分、ここでのため息はきっと自分に対してだ。きっと領地のこと、正確にいえばスフォルツァ家のことにかかわらせないと決めたといえども、せっかく本人と対面してきたんだからある程度意見は持ちあわせているだろうという意味合いがあるだろう。でも、その意見を変えることはできない。そもそもアリアはその質問に答えを持ちあわせてないし、たとえ答えたとしても、それを当主の意見にするのはよろしくない。
 あえて母親に対してだろうが、にっこりと笑うことだけで過ごした。
「……――わかりました。そうですね、しばらくは様子見でいいでしょう」
 ふたたびため息をついた母親だったが、絞りだすように答えを保留にした。ただ、ですがと条件を続ける。
「鹿狩り、それにシーズン最後の夜会がそろそろ行われます。ですから、そのときにもし彼がくるようでしたら、挨拶はしておくとよいでしょう」
 多分、それが当代スフォルツァ、ギガンティア両当主の関係を築くための最善の方法だろう。アリアもそれに頷く。

「アリアは明日、戻るのですか?」
 エレノアはその話題はもう終わりと、アリアの出勤について尋ねる。そのつもりだったが、なにか不都合でもあるのだろうか。尋ねかえすとだからあなたはと少し呆れられた。
「察しがいいのはほどほどになさい……――で、明日戻るときにセレネ嬢とともに王宮に向かいなさい」
 その要請にはあ!? と、言葉には出さなかったが、目を剥くほど驚いてしまった。しかし、エレノアはさもありなんとため息をつく。今度は誰に対してだろうか。
「私もなんでと思ったのですが、ディー……いえ、陛下からの要請なのです」
「どういうことですか!?」
 今度こそ、声に出してしまった。
「わかりません。ですが、あなたがギガンティア領へ行ったと同時に勅書がきました、
なので、理由がわからなくても拒否権はないのです」
 ですよねぇとアリアも心の中で思いきり同意してしまった。しかし、また面倒ごとに巻き込まれるのか。厄介な未来しか思い浮かべない。
「わかりました」
 しぶしぶ頷いた。命令に逆らうわけにはいかない。

 そのあとなんだか家族といるのは気まずくなり、早々に自室へ引き上げたアリアは、自分の部屋にいながらも、不思議な気分になり落ちつかない。今までいたはずの王宮の侍女部屋のほうが居心地がよかった気がした。
 仕方なしにベッドに寝転んだが、どうもこちらも落ちつかなかった。
「ベアトリーチェ・セレネ。クリスティアン王子。クロード王子。アラン・バルティア。ユリウス・スフォルツァ。ウィリアム・ギガンティア。そして、マクシミリアン・フェティダ……――これで、全員そろったわね」
 羊を数えるように『ラブデ』の主人公ヒロインと攻略対象者の名前をあげていく。今はまだ、十一歳。成人してまだ一年と少し。でも、もうすべての人物を関わりができている。それは今後、十四歳で迎える断罪イベントを防ぐには遅すぎたくらいだ。それにまだまだやらなきゃいけないことは多い。
 一つ目はスフォルツァ領の安定化。こちらはユリウスに任せるしかないのだけれど、はたして彼だけで十分だろうか。
 二つ目は元凶フレデリカの捕縛。例のクロード王子の件にしろ、その前のうっかり王宮の風紀乱すところだった件にしろ、実行犯は捕まったが、元凶フレデリカは捕まってない。それにリリスも関与してると考えると、スフォルツァ家自体どうなるかわからないが、とにもかくにも尻拭いはしなければならない。
 それ以外にもあるが、あとは流れに身をまかせるしかないだろう。
 ギュッと枕を抱きしめると、すっきりとした香りが漂う。

 翌朝、全員で朝食をとるのは久しぶりだった。
 そこでふと考える。自分はあと何回、こうやってみんなでそろって食事をとれるのだろうかと。
 でも、そんなことを考えていてもしょうがない。手早く食事をとり、数少ない私物をもって馬車に乗りこむ。勅書に指定されていた時間までは余裕があるものの、ベアトリーチェと話しておきたいこともある。なにより家が王宮から離れている。早めに行動しておいてもいいだろう。
「行ってきます」
 多分またすぐに会えるはず。だから仰々しい挨拶なんていらない。
 そう思ってさっさとスフォルツァ邸をあとにした。
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