23 / 69
2.黄金の夜鳴鶯
過去からの逃避
しおりを挟む
それからアレクサンドルはじゃあ、僕は仕事があるから、伯爵家の馬車に迎えに来てもらうね、といって帰っていった。
最後まで爽やかな笑みを崩さず、クララにとってまるで理想の兄のようだった。
ドーラはその後、クララにどんな症状があるのか――例えば、眠れないとか、食欲がないとか、など――を尋ねていった。
ついでに彼女の顔色や肌つやも確認しながら。
「そうですね」
問診票に記入したものをもう一度見返しながら、頭の中で今後の治療方法を考えていった。
「今後の治療の仕方として二つ方法があります」
さらさらっと提案する治療方法をまとめたドーラは、それをクララに提示した。
クララは少しいぶかしげにそれを見た。
「まず、こちらに何回か通ってもらう方法。これから社交シーズンですし、お茶会や夜会もあるでしょう。ですので、クララさんと私の時間があうときにゆっくりとして治療していく方法。ずっとは診てあげられることはできませんが、ご家族の方ともお過ごしいただけるので、いつも通りの生活を送っていただけます。
それに比べて、こちらの案は数週間、ここに泊まり込んで治療していく方法。もちろん、私がこの店を営業しているときは何をしていただいてもかまいませんし、お茶会や夜会にも参加していただいてかまいません。もちろん、ご自宅のメイドさんたちを呼んでいただいても結構ですよ。泊まり込んでの治療のメリットとしては、私がクララさんの様子を細かく診てあげられることです。何かあったときにはすぐに対応できるというものです」
彼女の提案にクララは迷っていた。
もちろん家には帰りたいし、いつも通りの生活を送れるというのならば、その方がいい。けれども、多分、あの家にいたら絶対に彼のことを思い出してしまう。
それに、同年代の仲のいい友達はいるけれど、あの話のせいで、お茶会や夜会に出れば他の人たちにはきっと言われる。
《瑠璃色の夜鳴鶯》と。
誰が言い出したのかわからない。
だけれど、夜鳴鶯はその名前の通り夜を告げる鳥。
おそらくは自分が婚約者のいる彼を誘ったのではないかと、思われたのだろう。
私たちの家と彼らの家のことは社交界では知られていないから、そう思われても仕方がない。
だから、夜会はもちろん、お茶会にも出たくない。
それに、きっと父親は新しい婚約者を探せと言ってくるだろう、
でも、今はそんな気分ではないし、見つからないだろう。
それくらいの醜聞なのだ。
だからこそ、今まではずっと家に引きこもっていた。
「しばらく、こちらに泊まらせていただけませんか?」
クララが出した答えは『泊まり込んで治療してもらう』ものだった。
ドーラははい、とにっこり笑い、先に書いたほうのメモを破って捨てる。パラパラと紙片が落ちていく様子は、まるで後戻りができない道と同じようにみえた。
「本当は先に治療方法を説明したほうが良いのですが、一度、荷物を持ってきていただくためにクララさんは戻られますよね」
彼女の確認にはい、と頷くクララ。
「では、そのときにお母さまがいらっしゃるところでお話ししましょう」
続けられた言葉に驚きをみせた。しかし、その提案に反対はしなかった。
ちょうどそのとき。ドーラは何か気づいたようで、立ち上がった。応接間の外に行き、玄関を見に行ったドーラは来たようですね、とクララに馬車の到着を告げた。
「クララ! 待っていたわ」
コレンルファ伯爵邸でドーラたちを待ち構えていたのは彼女の母親であるアンナだった。クララと同じ瑠璃色の髪の毛を綺麗に結えていたが、その艶は少しなくなっていた。
やはりスキャンダルのせいか、短時間の外出、しかも、自分のいきつけの店へ行くだけなのに、待ちわびていたようで、かなり心配した様子だった。
彼女の後ろにいたメイドたちも同じようにクララを気にかけていた。
「ただいま、お母さま」
クララは勢いよくアンナに抱きつき、アンナも大丈夫だったみたいね、と強く娘を抱きしめた。
「ドーラさんも娘を気にかけてくれてありがとう」
応接間に案内されたドーラの前に紅茶と菓子が運ばれ、一口飲んだところで、アンナが感謝の言葉をかけた。
クララは本調子ではないのか、深くソファに腰掛けて、ひとりの年かさの侍女、もしくは乳母に支えられていた。
「いえ、ハヴルスク公爵子息さまに教えていただけなければ、クララさんのことを知りませんでした」
しょうがないことだが、ドーラの店で貴族の噂を聞くことはほとんどない。顧客のプライベートの話はお茶会や夜会以外では聞き流す。
それにこの手のスキャンダルは当然だが、身内以外に話せない。だから、普段、来店するアンナから聞いていなくても、仕方ないものであり、アンナもドーラの言葉にいいえ、とかすかに首を横に振った。
「それで、今日は娘のためになにかしてくれるの?」
いかにも貴族らしい、少し見定めるような言葉をドーラにかけた。
「はい」
彼女は真剣な眼差しで頷いた。
「アンナさんはご存知だと思いますが、私がおこなっているのは本物の医学ではないので、『薬』ではありません。そのことをクララさんもご承知おきください」
ドーラの説明に頷く二人。
「では、治療方法について説明いたします。今回、クララさんは私の店『ステルラ』で泊まり込みでの治療をさせていただきます」
メイドたちに治療方法を書いた紙を預け、伯爵夫人にそれを渡してもらった。
アンナはそれを軽く読むと、ドーラをしっかり見た。
「まずは軽めにハーブティーと芳香浴からはいります。不眠もありますので、ハーブはあまり強くないものを使わせていただきます。数日間から十日ほど経過を見て、症状が変わらないようでしたら、もうしばらく続け、良くなりそうでしたら、次の段階に入らせていただきます」
ドーラはそこでひと呼吸おいた。
アンナもメイドたちもなにも言わず、ただ真剣な目をして彼女の説明を聞いている。
それだけクララのことが心配だったのだろう。
「次の段階ではハーブティーや芳香浴とともに、オイルマッサージを取り入れていきます。それでよくなればよいかと思います。もちろん、先ほども言いましたけれど、これは医学的なものではありませんし、なによりも根本的な原因は私ではなんともしようがありません。だから私ができない部分はよろしくお願いいたします」
しっかりとした説明に深く頷いたアンナやメイドたち。
彼女たちには精油の説明をしなかったが、アンナと同じ治療をしていたし、処方をしていたせいか、効果などについては身をもって実感しているのだろう。
それに彼女が落ち込んだ原因は明らかだ。だから、おそらく伯爵夫人自身が動くに違いない。ドーラひとりだけのはたらきだけではクララの不調は治せない。
そういう気持ちを込めて訴えた。
「分かりました。あなたの『香り』の効果は十分に私も分かっています。だから、それをクララにもしてあげてちょうだい。その間に、こちらでやれることはやっておきましょう」
ドーラの気持ちが十分に伝わったのだろう。
アンナも覚悟を決めた言葉で応えた。メイドたちも何度も頷いていた。
「では、クララさん。よろしくお願いします」
今まで一言も喋らなかったクララにドーラは手を差し出した。少し間があったものの、クララはその手を弱々しく握り返した。
よろしくお願いします、と微かな声だったが、聞こえた。
けれども、その声はしっかりと何かを決めている、そんな覚悟の声にも聞こえた。
最後まで爽やかな笑みを崩さず、クララにとってまるで理想の兄のようだった。
ドーラはその後、クララにどんな症状があるのか――例えば、眠れないとか、食欲がないとか、など――を尋ねていった。
ついでに彼女の顔色や肌つやも確認しながら。
「そうですね」
問診票に記入したものをもう一度見返しながら、頭の中で今後の治療方法を考えていった。
「今後の治療の仕方として二つ方法があります」
さらさらっと提案する治療方法をまとめたドーラは、それをクララに提示した。
クララは少しいぶかしげにそれを見た。
「まず、こちらに何回か通ってもらう方法。これから社交シーズンですし、お茶会や夜会もあるでしょう。ですので、クララさんと私の時間があうときにゆっくりとして治療していく方法。ずっとは診てあげられることはできませんが、ご家族の方ともお過ごしいただけるので、いつも通りの生活を送っていただけます。
それに比べて、こちらの案は数週間、ここに泊まり込んで治療していく方法。もちろん、私がこの店を営業しているときは何をしていただいてもかまいませんし、お茶会や夜会にも参加していただいてかまいません。もちろん、ご自宅のメイドさんたちを呼んでいただいても結構ですよ。泊まり込んでの治療のメリットとしては、私がクララさんの様子を細かく診てあげられることです。何かあったときにはすぐに対応できるというものです」
彼女の提案にクララは迷っていた。
もちろん家には帰りたいし、いつも通りの生活を送れるというのならば、その方がいい。けれども、多分、あの家にいたら絶対に彼のことを思い出してしまう。
それに、同年代の仲のいい友達はいるけれど、あの話のせいで、お茶会や夜会に出れば他の人たちにはきっと言われる。
《瑠璃色の夜鳴鶯》と。
誰が言い出したのかわからない。
だけれど、夜鳴鶯はその名前の通り夜を告げる鳥。
おそらくは自分が婚約者のいる彼を誘ったのではないかと、思われたのだろう。
私たちの家と彼らの家のことは社交界では知られていないから、そう思われても仕方がない。
だから、夜会はもちろん、お茶会にも出たくない。
それに、きっと父親は新しい婚約者を探せと言ってくるだろう、
でも、今はそんな気分ではないし、見つからないだろう。
それくらいの醜聞なのだ。
だからこそ、今まではずっと家に引きこもっていた。
「しばらく、こちらに泊まらせていただけませんか?」
クララが出した答えは『泊まり込んで治療してもらう』ものだった。
ドーラははい、とにっこり笑い、先に書いたほうのメモを破って捨てる。パラパラと紙片が落ちていく様子は、まるで後戻りができない道と同じようにみえた。
「本当は先に治療方法を説明したほうが良いのですが、一度、荷物を持ってきていただくためにクララさんは戻られますよね」
彼女の確認にはい、と頷くクララ。
「では、そのときにお母さまがいらっしゃるところでお話ししましょう」
続けられた言葉に驚きをみせた。しかし、その提案に反対はしなかった。
ちょうどそのとき。ドーラは何か気づいたようで、立ち上がった。応接間の外に行き、玄関を見に行ったドーラは来たようですね、とクララに馬車の到着を告げた。
「クララ! 待っていたわ」
コレンルファ伯爵邸でドーラたちを待ち構えていたのは彼女の母親であるアンナだった。クララと同じ瑠璃色の髪の毛を綺麗に結えていたが、その艶は少しなくなっていた。
やはりスキャンダルのせいか、短時間の外出、しかも、自分のいきつけの店へ行くだけなのに、待ちわびていたようで、かなり心配した様子だった。
彼女の後ろにいたメイドたちも同じようにクララを気にかけていた。
「ただいま、お母さま」
クララは勢いよくアンナに抱きつき、アンナも大丈夫だったみたいね、と強く娘を抱きしめた。
「ドーラさんも娘を気にかけてくれてありがとう」
応接間に案内されたドーラの前に紅茶と菓子が運ばれ、一口飲んだところで、アンナが感謝の言葉をかけた。
クララは本調子ではないのか、深くソファに腰掛けて、ひとりの年かさの侍女、もしくは乳母に支えられていた。
「いえ、ハヴルスク公爵子息さまに教えていただけなければ、クララさんのことを知りませんでした」
しょうがないことだが、ドーラの店で貴族の噂を聞くことはほとんどない。顧客のプライベートの話はお茶会や夜会以外では聞き流す。
それにこの手のスキャンダルは当然だが、身内以外に話せない。だから、普段、来店するアンナから聞いていなくても、仕方ないものであり、アンナもドーラの言葉にいいえ、とかすかに首を横に振った。
「それで、今日は娘のためになにかしてくれるの?」
いかにも貴族らしい、少し見定めるような言葉をドーラにかけた。
「はい」
彼女は真剣な眼差しで頷いた。
「アンナさんはご存知だと思いますが、私がおこなっているのは本物の医学ではないので、『薬』ではありません。そのことをクララさんもご承知おきください」
ドーラの説明に頷く二人。
「では、治療方法について説明いたします。今回、クララさんは私の店『ステルラ』で泊まり込みでの治療をさせていただきます」
メイドたちに治療方法を書いた紙を預け、伯爵夫人にそれを渡してもらった。
アンナはそれを軽く読むと、ドーラをしっかり見た。
「まずは軽めにハーブティーと芳香浴からはいります。不眠もありますので、ハーブはあまり強くないものを使わせていただきます。数日間から十日ほど経過を見て、症状が変わらないようでしたら、もうしばらく続け、良くなりそうでしたら、次の段階に入らせていただきます」
ドーラはそこでひと呼吸おいた。
アンナもメイドたちもなにも言わず、ただ真剣な目をして彼女の説明を聞いている。
それだけクララのことが心配だったのだろう。
「次の段階ではハーブティーや芳香浴とともに、オイルマッサージを取り入れていきます。それでよくなればよいかと思います。もちろん、先ほども言いましたけれど、これは医学的なものではありませんし、なによりも根本的な原因は私ではなんともしようがありません。だから私ができない部分はよろしくお願いいたします」
しっかりとした説明に深く頷いたアンナやメイドたち。
彼女たちには精油の説明をしなかったが、アンナと同じ治療をしていたし、処方をしていたせいか、効果などについては身をもって実感しているのだろう。
それに彼女が落ち込んだ原因は明らかだ。だから、おそらく伯爵夫人自身が動くに違いない。ドーラひとりだけのはたらきだけではクララの不調は治せない。
そういう気持ちを込めて訴えた。
「分かりました。あなたの『香り』の効果は十分に私も分かっています。だから、それをクララにもしてあげてちょうだい。その間に、こちらでやれることはやっておきましょう」
ドーラの気持ちが十分に伝わったのだろう。
アンナも覚悟を決めた言葉で応えた。メイドたちも何度も頷いていた。
「では、クララさん。よろしくお願いします」
今まで一言も喋らなかったクララにドーラは手を差し出した。少し間があったものの、クララはその手を弱々しく握り返した。
よろしくお願いします、と微かな声だったが、聞こえた。
けれども、その声はしっかりと何かを決めている、そんな覚悟の声にも聞こえた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる