水鏡に照らされた嘘

鶯埜 餡

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『大雨のち、満天の星空』

夜は満天の星空が見れるでしょう

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 その日の夕方、康太は八月朔日教授と百合さんに付き添われて、警察に被害届を出した。空港の一件があるので、受理されるかどうかは別としても、被害届は出しやすかった。
 その足で研究室に行くわけにもいかず、優木教授からしばらくの休暇をもぎ取った。
 アパートに戻った康太は昨日から閉じたままになっているスマホを開く勇気もなく、ただこれからどうしようか迷っていた。

 康太のアパートは立地や設備と値段があっていないほど安い。だが、不思議と安心感を覚えるほど心地良い。ベッドで微睡ながら、今後どうなるのだろうかと考えていると、チャイムが鳴った。モニターで誰が来たのか確認したら、想像していなかった女性だった。仕事は終わっていたのだろうか。
 彼は解錠ボタンを押さずに、部屋を飛び出した。エレベーターが待つのがもどかしく、階段で駆け下りた。
 やがてエントランスにたどり着くと、そこには戸惑った表情の彼女と苦笑いしている管理人さんがいた。

「――――いろいろとごめん」
 事情を聞いて、ごゆっくりと言った管理人さんが控室に戻っていった後、康太は優華に頭を下げた。頭上からため息が聞こえた。
「本当だよ」
 優華は涙声になっていた。
「でもね。お母さんからも梓さんからもいろいろ聞いたんだ。私も早とちりしてごめん」
 康太は何も言えなかった。頭を上げた康太は首を横に振った。
「言われてみれば、あの時とは違って、あの女の人からは私への悪意は感じなかった。というか、他の人の事なんか眼中になかったみたいだし、ね」
 優華の言葉はまさしくその通りだった。おそらく大東は優華のことを知らない。なので、優華に敵意を向けることもないだろうから、彼女も二人の言葉に納得できたのだろう。

 しばらく二人の間には沈黙がおりていた。そして、康太はおとといから悩みに悩んだ質問を優華にした。

「これからどうする?」

 その疑問に優華は信じられない、という表情をしていた。
「こんな遅いのに泊めてくれないの?」
 疑問に疑問で返された康太は、驚いた。自分の質問したいことと彼女がどう質問の意味を取ったのか、理解した時、そういう彼女だったな、と思い出した。
「――――ったく。おまえがこうだから、俺もそれに甘えるんだよな」
 と言いつつも、管理人さんのところに行き、一言断っておいた。
「おいで、優華」
 彼女の荷物を持って、一緒に自分の部屋に戻った。部屋に入ると優華は康太に抱き着いた。彼女の頭を撫でてやると、嬉しそうにしていた。



「おかえり、康太」
「ただいま、優華」



 大雨のち、満天の星空。
 多分、これからも何事も二人でいたら、乗り越えられるだろう。きっとね。
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