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51.下校中のいざない
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橙色に染まった国道沿い。俺は待ってくれていたコズハとユーと、駄弁りながら帰路に就いていた。
「あー……今日の古文の小テスト大変だったゆー」
「はあ、お前日本語読む時翻訳ソフト使ってんだろ?あのくらいササッと読めるんじゃねえの?」
「ぼくが使ってる翻訳ソフトは古語まで対象じゃないから、自力で古語を日本語にする必要があるんだゆー。分からない言葉を分からない言葉に直す苦悩が分かるかゆー?」
「分かります。古文をブリヤート語にした時、もはや何をどうしているのか分からなくなりました」
「なんで共感できるんだよお前は。それとどこの言葉だよ」
「先生のブログで交流のあったモンゴル在住の方が、見たこともないような御伽草子を出してきまして。それの翻訳を少々」
コズハはスマホを俺に突きつけてきた。画面には筆記体と挿絵の書かれた古めかしい本。日本語の対訳がありそうな位置に、比較的真っ直ぐな線の文字が書かれている。おそらくこっちがブリヤート語ってやつだろう。
今思えば家庭科室の鏡に付いてあった文字は、こんな形をしていた気もする。時間をかけさせるためのブラフだとばかり思っていたが、もしかして全部解読可能な言葉だったのか?
己の無学をひっそりと恥じていると、コズハが何か思い出したようで足を止めた。
「ナナイ君、古文で思い出したのですが大幣先生とはどんなお話を?」
「なんで古文で思い出したんだよ。あれか、古文使ってそうだなーとかって思いつきか?」
「Exactly。それで何をお話になられたので?」
「ぼくも気になるゆー!何話したんだゆー!?」
「なんつーかなぁ……人生相談?」
かなりぼかして俺は言った。
「へぇ、あの方も先生らしいことをされるのですね」
「確かに、なんだか意外だゆー」
「あとなんだっけ、お茶くれたな」
「人を待たせておいて、先生とお茶をするとはいいご身分ですねナナイ君」
「落ち着けって飲んでねえよ」
「人に差し出されたものを飲まないだなんて、常識ないのかゆー!?」
「しまった、やぶ蛇だった」
俺がそう言うと、コズハはユーに目配せしつつ手を打った。
「どう足掻いても大罪人のナナイ君に、贖いとしてコンビニで何か奢ってもらいましょうか」
「何でそうなるんだよ!おかしいだろ!」
「ゆー?コンビニってなんだゆー?」
「大丈夫ですよ着いてきてくれれば分かりますから。ユーちゃんはただ一言、店の前で『ご馳走になります』と大きな声でナナイ君に仰ってくれれば良いのです。さあ行きますよ」
「わかったゆー!」
「ああっ、待ちやがれ!店に迷惑かけるのだけはやめろ!!」
コズハに手を引かれたユーを大急ぎで追いかける。結果として、俺は865円の支払いをすることになり、片道5分の帰り道は片道20分になった。
帰り道を歩きながら思う、この世は理不尽だ。
「ふふふ。伸びが足りませんよ伸びが」
と、炭酸片手にフライドチキンを頬張るコズハ。人の金で得意気に飯を食う選手権があったら、こいつのためにシード枠が用意されそうだ。
「ありがとうだゆーナナイ!これ、めちゃくちゃ美味しいゆー!!」
一方アメリカンドックに目を輝かせるのはユー。コズハからケチャップとマスタードのかけ方を教わり、満面の笑みの口元にワンポイントの彩を添えている。
「……お前もこのくらい純真で居られないのか」
「私が笑顔になったら、まず腰を抜かすでしょう?」
「ああ、そうだな。すっげえ腑に落ちたわ」
「ユーちゃん、ナナイ君の持っている唐揚げ棒も食べていいですよ」
「事実だろうが!振ったのお前だし!弁明すらさせねえのかよ!」
「ええい問答無用です。それではユーちゃん冷めないうちにどうぞ」
コズハは唐揚げ棒を持っている方の腕を掴んでユーに向けた。
「い、いいのかゆー?それナナイのやつじゃないかゆー?」
ユーは少し困惑しつつも、垂らしたヨダレを手で拭いた。
「いいのですよ、分かち合うために唐揚げ棒にはひと串に4つもついているのです」
「別に分け合うためじゃねえだろ……まあ構わねえけどさ」
「やった!!ありがとうだゆー!!」
言うが早いか、ユーは唐揚げ一個を口で器用に抜き取った。
「うわぁ……サックサクで肉汁が溢れ出てくるゆー……アメリカンドックで甘くなってた口にいいアクセントが来たゆー……」
目を細め、幸せそうに口を動かす。
「もぐっ……ごくっ、ごくっ、ぷはぁっ!!」
続けざまにアメリカンドックにかぶりつき、ジュースで流し込む。あまりに気持ちよさそうで、最近まで味覚すらなかった宇宙人の姿だとは思えない。随分と俗っぽくなったというか、角が無くなった気がする。
そんな様子をしばらく眺めていたコズハは、少し口をすぼめた。
「なんだ、どうかしたか?」
「杞憂ならば良いのですが……最近ユーちゃんが心做しか丸くなっている来ているような気がします」
「性格か?」
「物理的に、というお話です。カロリー超過なのではありませんか?」
「別に俺と変わらねえぞ?ご飯中心に三食……あっ」
ふと思い出した。ここ最近、一人でやるのは勿体ないからと封じていた揚げ物をついに解禁したのだ。そしてユーのリクエストに応えて数日天ぷら、竜田揚げ、コロッケを量産している。俺は無垢な異星人に油の味を覚えさせてしまったのだ。
自身の犯した罪の深さに気づいた俺は、思わず口を覆った。
「……俺とんでもねえことをやっちまったかもしれねぇ」
「ええ。これは余罪がありそうですね。今日あたり視察がてら、お料理させていただきませんと」
「えっ。お前料理とかできたっけ?」
「コズハも今日来るのかゆー!?」
コズハの一言に、目を輝かせてユーが食いついた。
「ちょっと待て順番があるだろ!確認してからにしろよ!第一食材がねえよ!お前ら俺より食うだろうが!っていうかなんでそんなにノリノリなんだお前らは!!」
「うちからも少し持っていきますのでそこはご安心を。善は急げと言いますし、それでは突撃いたしましょう」
コズハは俺とユーの手を力強く引いた。
「やったー!!楽しみだゆー!!」
「待ちやがれ!少しは遠慮しろ!」
こうして、突如俺の家でお料理会が開催されることになったのである。
「あー……今日の古文の小テスト大変だったゆー」
「はあ、お前日本語読む時翻訳ソフト使ってんだろ?あのくらいササッと読めるんじゃねえの?」
「ぼくが使ってる翻訳ソフトは古語まで対象じゃないから、自力で古語を日本語にする必要があるんだゆー。分からない言葉を分からない言葉に直す苦悩が分かるかゆー?」
「分かります。古文をブリヤート語にした時、もはや何をどうしているのか分からなくなりました」
「なんで共感できるんだよお前は。それとどこの言葉だよ」
「先生のブログで交流のあったモンゴル在住の方が、見たこともないような御伽草子を出してきまして。それの翻訳を少々」
コズハはスマホを俺に突きつけてきた。画面には筆記体と挿絵の書かれた古めかしい本。日本語の対訳がありそうな位置に、比較的真っ直ぐな線の文字が書かれている。おそらくこっちがブリヤート語ってやつだろう。
今思えば家庭科室の鏡に付いてあった文字は、こんな形をしていた気もする。時間をかけさせるためのブラフだとばかり思っていたが、もしかして全部解読可能な言葉だったのか?
己の無学をひっそりと恥じていると、コズハが何か思い出したようで足を止めた。
「ナナイ君、古文で思い出したのですが大幣先生とはどんなお話を?」
「なんで古文で思い出したんだよ。あれか、古文使ってそうだなーとかって思いつきか?」
「Exactly。それで何をお話になられたので?」
「ぼくも気になるゆー!何話したんだゆー!?」
「なんつーかなぁ……人生相談?」
かなりぼかして俺は言った。
「へぇ、あの方も先生らしいことをされるのですね」
「確かに、なんだか意外だゆー」
「あとなんだっけ、お茶くれたな」
「人を待たせておいて、先生とお茶をするとはいいご身分ですねナナイ君」
「落ち着けって飲んでねえよ」
「人に差し出されたものを飲まないだなんて、常識ないのかゆー!?」
「しまった、やぶ蛇だった」
俺がそう言うと、コズハはユーに目配せしつつ手を打った。
「どう足掻いても大罪人のナナイ君に、贖いとしてコンビニで何か奢ってもらいましょうか」
「何でそうなるんだよ!おかしいだろ!」
「ゆー?コンビニってなんだゆー?」
「大丈夫ですよ着いてきてくれれば分かりますから。ユーちゃんはただ一言、店の前で『ご馳走になります』と大きな声でナナイ君に仰ってくれれば良いのです。さあ行きますよ」
「わかったゆー!」
「ああっ、待ちやがれ!店に迷惑かけるのだけはやめろ!!」
コズハに手を引かれたユーを大急ぎで追いかける。結果として、俺は865円の支払いをすることになり、片道5分の帰り道は片道20分になった。
帰り道を歩きながら思う、この世は理不尽だ。
「ふふふ。伸びが足りませんよ伸びが」
と、炭酸片手にフライドチキンを頬張るコズハ。人の金で得意気に飯を食う選手権があったら、こいつのためにシード枠が用意されそうだ。
「ありがとうだゆーナナイ!これ、めちゃくちゃ美味しいゆー!!」
一方アメリカンドックに目を輝かせるのはユー。コズハからケチャップとマスタードのかけ方を教わり、満面の笑みの口元にワンポイントの彩を添えている。
「……お前もこのくらい純真で居られないのか」
「私が笑顔になったら、まず腰を抜かすでしょう?」
「ああ、そうだな。すっげえ腑に落ちたわ」
「ユーちゃん、ナナイ君の持っている唐揚げ棒も食べていいですよ」
「事実だろうが!振ったのお前だし!弁明すらさせねえのかよ!」
「ええい問答無用です。それではユーちゃん冷めないうちにどうぞ」
コズハは唐揚げ棒を持っている方の腕を掴んでユーに向けた。
「い、いいのかゆー?それナナイのやつじゃないかゆー?」
ユーは少し困惑しつつも、垂らしたヨダレを手で拭いた。
「いいのですよ、分かち合うために唐揚げ棒にはひと串に4つもついているのです」
「別に分け合うためじゃねえだろ……まあ構わねえけどさ」
「やった!!ありがとうだゆー!!」
言うが早いか、ユーは唐揚げ一個を口で器用に抜き取った。
「うわぁ……サックサクで肉汁が溢れ出てくるゆー……アメリカンドックで甘くなってた口にいいアクセントが来たゆー……」
目を細め、幸せそうに口を動かす。
「もぐっ……ごくっ、ごくっ、ぷはぁっ!!」
続けざまにアメリカンドックにかぶりつき、ジュースで流し込む。あまりに気持ちよさそうで、最近まで味覚すらなかった宇宙人の姿だとは思えない。随分と俗っぽくなったというか、角が無くなった気がする。
そんな様子をしばらく眺めていたコズハは、少し口をすぼめた。
「なんだ、どうかしたか?」
「杞憂ならば良いのですが……最近ユーちゃんが心做しか丸くなっている来ているような気がします」
「性格か?」
「物理的に、というお話です。カロリー超過なのではありませんか?」
「別に俺と変わらねえぞ?ご飯中心に三食……あっ」
ふと思い出した。ここ最近、一人でやるのは勿体ないからと封じていた揚げ物をついに解禁したのだ。そしてユーのリクエストに応えて数日天ぷら、竜田揚げ、コロッケを量産している。俺は無垢な異星人に油の味を覚えさせてしまったのだ。
自身の犯した罪の深さに気づいた俺は、思わず口を覆った。
「……俺とんでもねえことをやっちまったかもしれねぇ」
「ええ。これは余罪がありそうですね。今日あたり視察がてら、お料理させていただきませんと」
「えっ。お前料理とかできたっけ?」
「コズハも今日来るのかゆー!?」
コズハの一言に、目を輝かせてユーが食いついた。
「ちょっと待て順番があるだろ!確認してからにしろよ!第一食材がねえよ!お前ら俺より食うだろうが!っていうかなんでそんなにノリノリなんだお前らは!!」
「うちからも少し持っていきますのでそこはご安心を。善は急げと言いますし、それでは突撃いたしましょう」
コズハは俺とユーの手を力強く引いた。
「やったー!!楽しみだゆー!!」
「待ちやがれ!少しは遠慮しろ!」
こうして、突如俺の家でお料理会が開催されることになったのである。
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