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54. その眼差しに秘めた意味
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「まだ目が覚めないの?」
「はい。傷はオンプさん達が完治させたのですが、すごい魔力の側にいたので影響が大きく、しばらくは起きないかもと」
ベッドでスヤスヤと寝息をたてて眠るサクラを見ながらノオトが家政婦と話している。ミクもサクラの側から離れず、異変はないかと心配そうにしていると、突然ノックもなくソナタが部屋に入ってきた
「確かに相当な術だったそうね」
家政婦の話を聞いていたのか、そう言いながらサクラが眠るベッドに近づく。ソナタが来たことで一気に部屋に緊張感が溢れ、ノオトとミクが目を合わせた
「リディの様子は?」
「今、メメと一緒にお風呂に入っています。さっき、ご飯も食べているので体調は良好です」
「そう。なら二人は大丈夫ね。後の問題はノイズだけね」
ソナタがため息混じりにミクが話した内容に答えるように呟くと、しんと静かになった部屋。するとソナタがふぅ。とまた一つため息をまたついた
「モモ。出ておいで」
部屋のどこかで隠れていたモモを呼び出すと、ページの音をたてないようにゆっくりソナタの側に来たモモ。落ちつかないのか、止まることなく側でゆらゆらと動いている
「ノイズの所に居なさい。今日は戻りたくないのなら許可するとも伝えてて」
ニコッと微笑みながらモモに言うと、逃げるようにすぐ姿を消したモモ。その様子を見ていたノオト達も表情を強張らせている
「さて、私は戻るわね。二人ともよろしくね」
ノオトとミクにも微笑むと、部屋を出たソナタ。バタンと扉が閉まる音が聞こえると、ふぅ。と部屋中にため息の音が響いた
「ねえ、ノオトは誰の術だと思う?」
と、ミクが部屋の雰囲気を変えようと眠るサクラを見ながらノオトに話しかける
「リディはあんな元気に動いている。あんな術を使ったとは思えないの」
「でも、ノイズの本とはいえ、モモが勝手にあんな魔力を使えるとは思えない」
ミクの言葉を遮るようにノオトが言うと、ミクがふと天井を見上げた
「私の術だけでサクラちゃんを囲って大丈夫かしら」
「一応、寝ている間は大丈夫と思うけど、不安?」
「ええ、私は補助が得意だからね、あまり戦線には行かないから」
「補助の術は来てほしいとオンプがいつも行っているけど」
「そうね、無理言って私はリディと一緒の時以外は外してもらっているものね。今回も私が一緒に居ておくべきだったのかも」
そう言うと少しうつ向いたミクにノオトが返事できずにいると、部屋の外から急にガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた
「メメ、やめろってば!私に触るな、肩に乗るな!」
「あら、ミクには良くて私はダメなの?」
「当たり前だろ!ミクは良いんだよ!」
お風呂が終わったリディとメメが言い合いながら廊下を歩いていた。その騒がしい声に家政婦達がクスクスと笑う
「サクラが起きるというのに……」
ノオトが呆れながら呟くと、リディの元気そうな声を聞いて少し元気が出たミクがフフッと微笑むと、ミクの体ほどある細長い杖を右手に取り出した
「ノオト、悪いけど術を交代してくれる?私はリディを寝かしてくるから。何かあったらすぐに呼んでね」
「はい。傷はオンプさん達が完治させたのですが、すごい魔力の側にいたので影響が大きく、しばらくは起きないかもと」
ベッドでスヤスヤと寝息をたてて眠るサクラを見ながらノオトが家政婦と話している。ミクもサクラの側から離れず、異変はないかと心配そうにしていると、突然ノックもなくソナタが部屋に入ってきた
「確かに相当な術だったそうね」
家政婦の話を聞いていたのか、そう言いながらサクラが眠るベッドに近づく。ソナタが来たことで一気に部屋に緊張感が溢れ、ノオトとミクが目を合わせた
「リディの様子は?」
「今、メメと一緒にお風呂に入っています。さっき、ご飯も食べているので体調は良好です」
「そう。なら二人は大丈夫ね。後の問題はノイズだけね」
ソナタがため息混じりにミクが話した内容に答えるように呟くと、しんと静かになった部屋。するとソナタがふぅ。とまた一つため息をまたついた
「モモ。出ておいで」
部屋のどこかで隠れていたモモを呼び出すと、ページの音をたてないようにゆっくりソナタの側に来たモモ。落ちつかないのか、止まることなく側でゆらゆらと動いている
「ノイズの所に居なさい。今日は戻りたくないのなら許可するとも伝えてて」
ニコッと微笑みながらモモに言うと、逃げるようにすぐ姿を消したモモ。その様子を見ていたノオト達も表情を強張らせている
「さて、私は戻るわね。二人ともよろしくね」
ノオトとミクにも微笑むと、部屋を出たソナタ。バタンと扉が閉まる音が聞こえると、ふぅ。と部屋中にため息の音が響いた
「ねえ、ノオトは誰の術だと思う?」
と、ミクが部屋の雰囲気を変えようと眠るサクラを見ながらノオトに話しかける
「リディはあんな元気に動いている。あんな術を使ったとは思えないの」
「でも、ノイズの本とはいえ、モモが勝手にあんな魔力を使えるとは思えない」
ミクの言葉を遮るようにノオトが言うと、ミクがふと天井を見上げた
「私の術だけでサクラちゃんを囲って大丈夫かしら」
「一応、寝ている間は大丈夫と思うけど、不安?」
「ええ、私は補助が得意だからね、あまり戦線には行かないから」
「補助の術は来てほしいとオンプがいつも行っているけど」
「そうね、無理言って私はリディと一緒の時以外は外してもらっているものね。今回も私が一緒に居ておくべきだったのかも」
そう言うと少しうつ向いたミクにノオトが返事できずにいると、部屋の外から急にガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた
「メメ、やめろってば!私に触るな、肩に乗るな!」
「あら、ミクには良くて私はダメなの?」
「当たり前だろ!ミクは良いんだよ!」
お風呂が終わったリディとメメが言い合いながら廊下を歩いていた。その騒がしい声に家政婦達がクスクスと笑う
「サクラが起きるというのに……」
ノオトが呆れながら呟くと、リディの元気そうな声を聞いて少し元気が出たミクがフフッと微笑むと、ミクの体ほどある細長い杖を右手に取り出した
「ノオト、悪いけど術を交代してくれる?私はリディを寝かしてくるから。何かあったらすぐに呼んでね」
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