こねくとノイズ

69. 甘いお菓子と紅茶で一息を

　ソナタが仮眠室から出てすぐ、扉をノックせずノオトが部屋に入ってきた。眠るサクラの隣にいるノイズを見てふぅ。と一つため息をついて二人の側へと歩いていく
「ノイズ、帰って少し休もう。オンプ達がサクラを見てくれるらしいから」
「……うん」
「モモが居なくて落ち込んでいるの？」
「……うん、それもあるけど」
　ノオトと話をするにつれ、ノオトの声が小さくなっていく。会話も続かず、すぐに部屋が静かになった時、コンコンと部屋の扉が叩かれ、オンプが部屋の扉を開け入ってきた
「お二人とも、まだ居ましたか」
　ノイズの顔とは逆にニコニコと笑顔で話しかけてくるオンプ。その笑顔を見ないようにノイズが少しうつ向いた
「ソナタさんから色々お話聞きましたか？せっかく来てくれたサクラさんには、私達もこの世界を楽しんで欲しかったのですが、仕方ないですね」
　オンプがサクラを見ながら寂しそうに話すとノイズが自分の手をぎゅっと強く握った
「ノイズさん、ソナタさんのこと怒らないでくださいね」
　そう言うと、何もなかった部屋の片隅に突然丸いテーブルとティーポットやカップが現れ、オンプが手慣れた手つきで紅茶を淹れはじめた
「ソナタさんも小さな頃、魔力のせいでとても大変だったそうですから」
　紅茶のお供にとお菓子もテーブルに現れると、オンプが二人を呼ぶ。ノオトがノイズの背中をポンッと軽く叩き一緒にオンプの側に来ると、椅子が二つ
二人の側に現れた
「魔力の強さを知られてから、ソナタさんを狙って毎日色んな人が来ていたそうです。寝る時さえも怖かったそうですが、いつもロンドさんが側に居て守ってくれていたと」
　二人に紅茶を淹れたティーカップとお菓子を渡しながらオンプが話しはじめると、渡されたティーカップをぎゅっと強く握りながらオンプを見た
「私、そんな話し聞いたことない……」
「お二人はもう昔の事だと気にしていませんし、あまりお話ししませんから」
　そうノイズに返事をすると、サクラの眠るベッドの隣にふわふわで大きな一人掛けのソファーがポンッと現れオンプがボフッとソファーの音をたてるように少しジャンプして座った
「この後は、私達がサクラさんの側に居ますから、お二人はゆっくり頂いた後、帰ってお休みください」
　ニコッと微笑み言うと、オンプの手元に分厚い本が現れパラパラとめくり読みはじめた


「リディがまだ寝てくれていたら休めるけれど。ノイズの家はどうなっているのか」
　オンプからのお菓子と紅茶をたくさん食べた後、仮眠室から出て施設の中を足取り遅く歩いていると、ノオトが少しため息まじりに話しはじめると、少しうつ向いていた顔を上げてノイズがポツリと小声で返事をした
「さっき、お母様が結界を張り直してくれたみたいだから大丈夫って」
「そうじゃなくて……」
　ノオトがノイズの方に振り向きながら言い返そうとすると、ノオトのいる場所から大分後ろで立ち止まっているノイズを見つけ、少し困った顔をしながら、ノイズの所に戻ると頬を軽くつまんだ
「今日は一緒に寝てあげるから帰るよ」