こねくとノイズ

73. その手につかんだもの

「ノオト、ノイズに何かあったの？」
　オンプ達と分かれ、ノオトと一緒にノイズの家に戻って来たメメが話しかけるが、ノオトは返事をせずに家の中を歩き続ける
「ねぇ、ノオト……」
　メメの声をかき消すようにノオトがガチャと扉を開けると、突然開いた扉に驚いた顔をしたミクと家政婦達がいた
「ミク、リディは寝ているの？」
　と、部屋の中に入りながらミクに問いかけると、ベッドに近づき眠るリディを見た
「ええ、私の術でまだ寝ているわ」
「今すぐ起こして」
　急にノオトに言われ戸惑ったミクがメメを見る。家政婦達の視線も感じたメメが困ったように顔を横に振ると、ミクがノオトに近づきリディを見た
「わかった。すぐに起こすから」
　そうミクが言うと、リディの体が少し動いて、何度も小さくまぶたが動き、ゆっくりと目を開いた


「リディはどんな術を使えるの？」
　目を開けるなりすぐノオトがリディに問いかけると、少し寝ぼけているリディが不機嫌そうな顔でノオトを見た
「……起きてすぐなに？」
「いいから早く答えて。ノイズには一度でも勝てたことある？」
「……たぶん、ない」
「じゃあいいや、また寝てて。ミクはどう？」
　ミクを見ながらため息混じりにノオトが言うと、リディが頬を膨らませノオトを睨んでいる
「私はあまり対戦とか得意じゃないから……」
　と、リディの様子を見ながらミクが答えると、今度は入り口付近にいた家政婦達を見た
「私達はもう高度の術とかは……」
　家政婦が顔を見合わせながら答えると、ノオトがリディのベッドに座り一人考えはじめた。メメが音をたてないように、ゆっくりと動きリディの肩に乗ると、ノオトがふぅ。と一つ深呼吸をしてリディを見た
「リディはサクラの術、どんなのか分かる？」
「わかるわけないじゃん。今まで寝かされていたんだし」
　また不機嫌そうに答えると、ノオトがベッドから立ち上がりリディを見た
「リディ、施設に来て」
「……やだ」
　ノオトにプイッと顔を背けると、肩に乗っていたメメがふわりと浮かびノオトの肩に乗り直した
「リディ、施設に出さないといけない資料を全然出していないから行きたくないのかも」
　ミクがそう言うとリディが何度も頷くと、ノオトがリディの手をつかみグイッと強く引っ張った　
「嫌でも行くよ」
　少し言葉強めに言われ、はぁ。と深いため息をついたリディ。更に強くグイッと引っ張っぱられ諦めたようにベッドから降りた




「オンプは本当忙しいねぇ。ノオトさんとの約束の時間まで間に合いそう？」
　その頃、家に帰る予定だったはずのオンプとリズムは、施設の中にあるとある一室へと向かっていた。オンプが大事そうに抱える持つ本をチラリと見ながら話しかけると、オンプがフフッと微笑みながら本の表紙を見た
「サクラさんの魔力が入ったこの本をソナタさんに渡すだけだから」