クローバーホリック

シャオえる

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23. 言いたくない思いを代わりに

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 ミツバがサクラの家に来た次の日の朝早く、夜中に散歩をしていて寝ていたサクラの家に呼び鈴が鳴った
「……はい」
 眠い目を擦りながら玄関の扉を開けると、困ったような顔をしたミツバが立っていた
「ミツバちゃん、どうしたの?こんな朝早く……」
「これ……」
 と言い、恐る恐る差し出したのは、昨日返してもらったばかりのミツバの本。ミツバの表情と本を見て、ただならぬ雰囲気を感じたサクラ。少し扉を開けた
「どうぞ、入って……」
 ペコリと少し頭を下げて、家の中に入ったミツバ。本を抱きしめサクラと一緒にリビングへと歩いていく
「昨日、みんな泊まってて、まだ寝てるんだけど……」
 と、起こさないように小声で話すサクラ。リビングから見える少し扉の開いたサクラの部屋から、三人が寝ている様子が見えた

「サクラさん、今日学校は?」
 キッチンでお茶を用意しているサクラに声をかけたミツバ。カチャカチャとコップを用意している音と一緒にサクラの返事も聞こえてきた
「休むよ。本当に手続きも少し残ってて……」
「寝ているみんなも休むの?」
「うん。みんな、本を書くことに夢中で学校に行ってないの」
 サクラの話を聞いて、また三人が寝ている部屋を見たミツバ。その横を通り、お茶を持ってきたサクラに案内されてソファーに座った

「それで、本がどうしたの?何かあった?」
 テーブルにお茶を置いて、ミツバに差し出しながら問いかけるサクラ。すると、大事に抱えていた本をまたサクラの前に差し出した
「机でいつの間にか寝ちゃってて、起きたら書かれていたの」
 と言い本をめくると、本の一ページ目には、見たことのない文字がたくさん書かれていた
「でも、何て書かれているか分からなくて、それで来たの」
「……そっか」
 文字が書かれた本を見て、ミツバが本を持つことに嫌がり叫び続けていた昨日までの反応とは違い、困ったように笑い本を見つめたサクラ。その様子をミツバが無言で見ている。サクラも無言になり静かになったリビングに、突然カタンと音がなった

「サクラ、おはよう……」
 と、少し眠そうな声で声をかけたのはナツメとユリ。ユリと手を繋ぎ、目を閉じてふらふらと歩くツバキも一緒にリビングに入ってきた
「あれ、ミツバ……」
 サクラの向かいにいたミツバを見つけ戸惑うナツメとユリ。二人が座るソファーに近づくと、二人の間にあるテーブルに置かれたミツバの本を見て、更に戸惑っていると、三人分のお茶を用意するために、キッチンへと向かっていくサクラ。空いたサクラが座っていたソファーに、三人が座った


「本当だ。書かれてる……」
 サクラがリビングに戻ってくると、お茶を飲みながら、ミツバの本を読みはじめたナツメ達。サクラ以外の三人が、困ったように顔を見合わせている
「何て書いているのか分かるの?」
「私達は、分からない……けど」
 ミツバの問いかけにナツメが答えながら、サクラの方を見た。ナツメだけでなく、ユリとツバキもサクラを見ている
「私は読まないよ。読むべきじゃないし」
 視線を合わせないように、フイッと反対の方に振り向いて、お茶を飲んだサクラ。その態度に少しムッと怒った表情でサクラを見ているナツメ。急にサクラ達が不穏な雰囲気になって、戸惑うミツバ。すると突然、ナツメが立ち上がり、不安そうな顔をしているミツバに声をかけた
「じゃ、ミツバ。行こうか」
「えっ?どこに?」
 話しかけられて戸惑うミツバ。サクラも嫌な予感を感じて、ナツメの方に振り向いた。その視線を感じたナツメが一瞬サクラを見たあと、大きくため息をついて、ミツバに話しかけながら、着替えのためにサクラの部屋へと歩いていった
「アルノさんに会いに行こう。読んでもらうついでに、会いたがっていたから」
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