24 / 67
24. 機嫌が悪くなる前に
しおりを挟む
「アルノ様は、今しがた起きたのですが……」
朝早くから突然、大勢で家にやって来たナツメ達に困ったように話す家政婦達。同じく少し困ったようにナツメ達も家政婦達を見ている
「でも、どうにか会えない?」
そう話すナツメのそばにいるサクラの方を一人の家政婦が目を向けると、視線を合わせないように、サクラがミツバの背中に隠れた
「サクラ様も一緒なのですね……」
「そう、だからいいでしょ?」
「分かりました。ですが、あまり、刺激されますよう願います」
「うん……」
キィと玄関の扉の音が鳴り、少し扉を広げてナツメ達を中へと誘う。恐る恐る家の中に入って、一番最後、サクラが入ると家政婦がパタンと閉じた音に、ユリが一瞬驚き振り返った。ナツメ達も振り返ると、その間に、ナツメ達の前に来た家政婦達がアルノのいる部屋へと歩いていく
「サクラ様達がお見えになりました……」
リビングの扉を開け、アルノに声をかけた家政婦。紅茶を飲んでいたアルノ。リビングに入ってきたナツメ達を見て、クスッと微笑んだ
「あら、みんなどうしたの?」
「ミツバを連れてきました……」
と、ミツバを前に出すナツメ。背中を押されて、前に出されて戸惑うミツバ。大きなソファーに座る女の人にペコリと頭を下げた
「あら!ミツバちゃん!」
カチャンと紅茶の入ったコップを鳴らして、パタパタと早足でミツバに駆け寄っていくアルノ。優しく抱きしめて、少し体を離すと、ミツバの顔を見てまたぎゅっと抱きしめた
「久しぶりね、元気だった?」
「はい。あの……」
ミツバにとっては初めて見るアルノに抱きしめられ戸惑うミツバ。ナツメ達に顔を向けて、助けを求めているとそれに気づいたアルノがしょんぼりした表情でミツバを見た
「本当に覚えていないのね……」
と言うと、ミツバの頭を撫でてクスッと笑うアルノ。すると、リビングに入らず廊下で一人いたサクラに気づいたアルノが、頭を撫でていた手を止めて、サクラに声をかけた
「サクラ。今日はどうしたの?ミツバちゃんと会わせてくれたの?」
「いえ、あの……これを読んでほしくて……」
サクラが返事をする前に、アルノの話にナツメが割って入った
「これは……ミツバちゃんの本ね」
ナツメから本を受け取り、本をめくると一ページ目に書かれた文字を見つけて、少し困ったような表情で首をかしげた
「あら……。サクラ、読まなかったの?」
アルノの問いかけにプイッと顔を背けたサクラ。その様子にうろたえ始めるナツメ達
「もう。本当、困った子ね……」
アルノはサクラを見てクスッと笑うと、本をパタンと音を鳴らして閉じると、ミツバに渡した。急に本を返されて困っているミツバにまたアルノがクスッと笑った
「でも、私もこれを読むのはやめておくわ」
「えっ……どうして……」
「それより、朝ごはんは食べたかしら?」
「いえ、まだですが……」
思っていた返事が聞けず戸惑うナツメ達。ソファーに戻っていくアルノに更に戸惑っていると、家政婦達を呼び出したアルノ。何やら話をしている様子を不安そうに見ていると、ペコリとお辞儀をして、アルノから少し離れると、入り口付近にいたナツメ達にアルノが手招きをして呼んだ
「ミツバちゃんが、久しぶりに来たんだし、お話ししながら、ご飯を食べましょ」
朝早くから突然、大勢で家にやって来たナツメ達に困ったように話す家政婦達。同じく少し困ったようにナツメ達も家政婦達を見ている
「でも、どうにか会えない?」
そう話すナツメのそばにいるサクラの方を一人の家政婦が目を向けると、視線を合わせないように、サクラがミツバの背中に隠れた
「サクラ様も一緒なのですね……」
「そう、だからいいでしょ?」
「分かりました。ですが、あまり、刺激されますよう願います」
「うん……」
キィと玄関の扉の音が鳴り、少し扉を広げてナツメ達を中へと誘う。恐る恐る家の中に入って、一番最後、サクラが入ると家政婦がパタンと閉じた音に、ユリが一瞬驚き振り返った。ナツメ達も振り返ると、その間に、ナツメ達の前に来た家政婦達がアルノのいる部屋へと歩いていく
「サクラ様達がお見えになりました……」
リビングの扉を開け、アルノに声をかけた家政婦。紅茶を飲んでいたアルノ。リビングに入ってきたナツメ達を見て、クスッと微笑んだ
「あら、みんなどうしたの?」
「ミツバを連れてきました……」
と、ミツバを前に出すナツメ。背中を押されて、前に出されて戸惑うミツバ。大きなソファーに座る女の人にペコリと頭を下げた
「あら!ミツバちゃん!」
カチャンと紅茶の入ったコップを鳴らして、パタパタと早足でミツバに駆け寄っていくアルノ。優しく抱きしめて、少し体を離すと、ミツバの顔を見てまたぎゅっと抱きしめた
「久しぶりね、元気だった?」
「はい。あの……」
ミツバにとっては初めて見るアルノに抱きしめられ戸惑うミツバ。ナツメ達に顔を向けて、助けを求めているとそれに気づいたアルノがしょんぼりした表情でミツバを見た
「本当に覚えていないのね……」
と言うと、ミツバの頭を撫でてクスッと笑うアルノ。すると、リビングに入らず廊下で一人いたサクラに気づいたアルノが、頭を撫でていた手を止めて、サクラに声をかけた
「サクラ。今日はどうしたの?ミツバちゃんと会わせてくれたの?」
「いえ、あの……これを読んでほしくて……」
サクラが返事をする前に、アルノの話にナツメが割って入った
「これは……ミツバちゃんの本ね」
ナツメから本を受け取り、本をめくると一ページ目に書かれた文字を見つけて、少し困ったような表情で首をかしげた
「あら……。サクラ、読まなかったの?」
アルノの問いかけにプイッと顔を背けたサクラ。その様子にうろたえ始めるナツメ達
「もう。本当、困った子ね……」
アルノはサクラを見てクスッと笑うと、本をパタンと音を鳴らして閉じると、ミツバに渡した。急に本を返されて困っているミツバにまたアルノがクスッと笑った
「でも、私もこれを読むのはやめておくわ」
「えっ……どうして……」
「それより、朝ごはんは食べたかしら?」
「いえ、まだですが……」
思っていた返事が聞けず戸惑うナツメ達。ソファーに戻っていくアルノに更に戸惑っていると、家政婦達を呼び出したアルノ。何やら話をしている様子を不安そうに見ていると、ペコリとお辞儀をして、アルノから少し離れると、入り口付近にいたナツメ達にアルノが手招きをして呼んだ
「ミツバちゃんが、久しぶりに来たんだし、お話ししながら、ご飯を食べましょ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる