クローバーホリック

シャオえる

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24. 機嫌が悪くなる前に

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「アルノ様は、今しがた起きたのですが……」
 朝早くから突然、大勢で家にやって来たナツメ達に困ったように話す家政婦達。同じく少し困ったようにナツメ達も家政婦達を見ている
「でも、どうにか会えない?」
 そう話すナツメのそばにいるサクラの方を一人の家政婦が目を向けると、視線を合わせないように、サクラがミツバの背中に隠れた
「サクラ様も一緒なのですね……」
「そう、だからいいでしょ?」
「分かりました。ですが、あまり、刺激されますよう願います」
「うん……」
 キィと玄関の扉の音が鳴り、少し扉を広げてナツメ達を中へと誘う。恐る恐る家の中に入って、一番最後、サクラが入ると家政婦がパタンと閉じた音に、ユリが一瞬驚き振り返った。ナツメ達も振り返ると、その間に、ナツメ達の前に来た家政婦達がアルノのいる部屋へと歩いていく


「サクラ様達がお見えになりました……」
 リビングの扉を開け、アルノに声をかけた家政婦。紅茶を飲んでいたアルノ。リビングに入ってきたナツメ達を見て、クスッと微笑んだ
「あら、みんなどうしたの?」
「ミツバを連れてきました……」
 と、ミツバを前に出すナツメ。背中を押されて、前に出されて戸惑うミツバ。大きなソファーに座る女の人にペコリと頭を下げた
「あら!ミツバちゃん!」
 カチャンと紅茶の入ったコップを鳴らして、パタパタと早足でミツバに駆け寄っていくアルノ。優しく抱きしめて、少し体を離すと、ミツバの顔を見てまたぎゅっと抱きしめた
「久しぶりね、元気だった?」
「はい。あの……」
 ミツバにとっては初めて見るアルノに抱きしめられ戸惑うミツバ。ナツメ達に顔を向けて、助けを求めているとそれに気づいたアルノがしょんぼりした表情でミツバを見た
「本当に覚えていないのね……」
 と言うと、ミツバの頭を撫でてクスッと笑うアルノ。すると、リビングに入らず廊下で一人いたサクラに気づいたアルノが、頭を撫でていた手を止めて、サクラに声をかけた
「サクラ。今日はどうしたの?ミツバちゃんと会わせてくれたの?」
「いえ、あの……これを読んでほしくて……」
 サクラが返事をする前に、アルノの話にナツメが割って入った

「これは……ミツバちゃんの本ね」
  ナツメから本を受け取り、本をめくると一ページ目に書かれた文字を見つけて、少し困ったような表情で首をかしげた
「あら……。サクラ、読まなかったの?」
 アルノの問いかけにプイッと顔を背けたサクラ。その様子にうろたえ始めるナツメ達
「もう。本当、困った子ね……」
 アルノはサクラを見てクスッと笑うと、本をパタンと音を鳴らして閉じると、ミツバに渡した。急に本を返されて困っているミツバにまたアルノがクスッと笑った
「でも、私もこれを読むのはやめておくわ」
「えっ……どうして……」
「それより、朝ごはんは食べたかしら?」
「いえ、まだですが……」
 思っていた返事が聞けず戸惑うナツメ達。ソファーに戻っていくアルノに更に戸惑っていると、家政婦達を呼び出したアルノ。何やら話をしている様子を不安そうに見ていると、ペコリとお辞儀をして、アルノから少し離れると、入り口付近にいたナツメ達にアルノが手招きをして呼んだ
「ミツバちゃんが、久しぶりに来たんだし、お話ししながら、ご飯を食べましょ」
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