デスパレートレアス

シャオえる

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19. あなたが笑顔になるように

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「調味料はたくさんあるね。あっ、これ美味しいよねー。私も好きなんだ」
 ガサゴソとレアスが家のキッチンを探るツムギ。戸棚にあった使えそうな調味料をテーブルに置いていくと、ふぅ。と深呼吸をして気合いを入れた
「それじゃあルト、ララ。お手伝いお願いね」
 ツムギの言葉に、ビシッと姿勢を正して気合いを入れるルトとララ。三人の様子をキッチンの入り口で見ていたレアスが、はぁ。とため息をついた

「あなた、誰か一緒にいたんじゃないの?」
「うん。さっきレアスと一緒にいるって、連絡したから大丈夫だよ」
 機嫌が悪そうに問いかけるレアスに対し、ガサガサと大きな買い物袋を探りながら呑気に答えるツムギ。レアスと一緒に追加でスーパーで買ってきた食材を手に取り、ニコッと微笑んでレアスの方に振り向いた
「それより、何か食べたいのある?」
「……特にない」
「えー。でも、レアス細いから、ちゃんと食べないとだから……。どうしようかな」
 また買い物袋を探り、悩みだしたツムギ。その様子をジーッと見ているレアスの視線に気づいて、またニコッと微笑んだ
「安心して、学園に来る前までは、毎日ご飯作ってたから、味には自信あるんだよ」
 その言葉を聞いても、不満げなレアス。その表情に気づいても気にせず、買い物袋から使う予定の食材を次から次へと取り出してく

「レアス、一人暮らしなんでしょ?寮に来たらいいのに」
 そう言いながら、カチャカチャと音を鳴らして食器を洗うルトとララの隣で食材を洗いはじめたツムギ。狭く楽しそうに洗い続けるルトとララを見たレアス。見て見ぬふりをしようと、すぐ目を背けた
「行く必要ないもの、それにこの家を守らなきゃいけないから……」
「そっかぁ。じゃあ時々来て、ご飯作るよ。一緒に食べた方がもっと美味しいし、ルトとララもその方が良いよね」
「必要ない……」
「そんなこと言ってるの今のうちだよ。私のご飯食べたら毎日来てほしいって思うから」
 自信ありげに笑って言い返すツムギの笑顔を見たレアスが、思わずクスッと笑ってしまった
「……そう。なら、そうなるように楽しみにしてるわ」
 そう言うと、キッチンから出ていったレアス。ちょうど、ルトとララが食器を洗い終えて、ふぅ。と深呼吸をした
「さてと、ルト、ララ。レアスが笑顔になるようなご飯たくさん作るよ。頑張ろう」
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