26 / 98
26. お願いを叶えて
しおりを挟む
「レアス……。いる?」
寮へと帰る前に、レアスの家にやって来たツムギ。鍵の空いていた玄関から恐る恐る入って、すぐに朝ごはんを置いていたリビングへと向かってく
「良かった。ご飯食べてるね」
空になり残されていた食器を見て、ホッと胸を撫で下ろすツムギ。ルトとララも嬉しそうに空になっている食器を見ていると、突然ツムギがレアスの部屋へとバタバタと足音を立てて走り出した
「レアス、いるの」
レアスの部屋の前で、ふぅ。と深呼吸をしてノックもせずに、ゆっくりと扉を開けた。すると、開けてすぐ着替えをしているレアスが目に入って慌ててバタンと扉を閉じた
「ゴメンね、わざとじゃないよ!」
慌てて扉越しに、あたふたと大声と身振り手振りでレアスに話しかける
「あの、心配になって……。本当はナオとカホも来る予定だったんだけど、ココとナツメを見るって突然ニーナ先生に言われて、それで……」
と、そう言っているとガチャと部屋の扉が開いてレアスが出てきた
「着替えた。入りたいなら入れば」
「……じゃあ、入ります」
恐る恐る部屋の中に入ると、レアスが鏡の前に立ち髪の毛を梳かしていた
「どこかお出掛けするの?」
「……ええ」
「一緒に行ってもいい?」
ツムギがそう言うと、レアスの動きがピタッと止まった。少しツムギの方に振り向くと、ツムギが慌ててレアスにペコリと頭を下げた
「えっと、ゴメン……」
「それより、お願いがあるの」
ツムギの言葉を遮るように、そう言いながら横を通り過ぎ、部屋の扉を開けたレアスに、ツムギが不思議そうな顔をして話しかけた
「お願い?なに?」
「本を取ってきてほしいの」
「えーっと、どこにあるの……」
本棚がある部屋に移動して、天井を見上げるツムギ、その少し離れた場所で、レアスが天井を見上げて指差した
「この一番上。ララなら本を見れば分かると思うから」
そう言うと、レアスに抱かれていたララが何度も頷くとツムギの肩に乗って本のある方に目を向けた
「じゃあ、取りに行ってくるよ」
レアスにそう言うと、ルトとララを肩に乗せたまま、一緒に本のあるという場所に飛んで行く。地上で見守るレアスが少し小さく見える程の大きな本棚の天井近くで、前に取った本よりも少し小さな本を見つけたララが、グイグイと本棚から取り出そうとし始めた
「これ?」
ツムギがララに聞くと何度も頷いて本を取ろうと引っ張り続けるララ。ツムギとルトもたくさんの本に挟まれ取れない本を無理矢理引っ張り取り出すと、落とさないようにそーっとレアスの所に降りていく
「はい、どうぞ。この本であってる?」
「……ええ」
ツムギから本を受け取ると、すぐに本をめくり読みはじめたレアス。険しい顔をして読むその姿を見て、ツムギが恐る恐る話しかけた
「ねえ。私もその本、読んでもいい?」
そう話しかけると、パタンと本を閉じたレアス。ふぅ。と深呼吸をしてスタスタと歩きはじめた
「出掛けるの?一緒に……」
慌ててレアスの後を追っていくが、振り向くことなく部屋を出ていった。すぐに扉を開けて、廊下をキョロキョロと見渡すが、レアスは居らず、リビングや部屋に行って探しても姿は見当たらず、ララがしょんぼりとうつ向いてしまった。そんなララをぎゅっと抱きしめるツムギ。ルトも頭を撫でてララを励ましながら、リビングに戻ると、まだ残していた食器をカチャカチャと重ね始めたツムギ。ふぅ。と深呼吸すると、ルトと一緒にテーブルに座って、まだしょんぼりとしているララに気づいて、励ますようにニコッと微笑んで話しかけた
「宿題しながら、ちょっと待ってみようか。すぐ帰ってくるかもしれないもんね」
寮へと帰る前に、レアスの家にやって来たツムギ。鍵の空いていた玄関から恐る恐る入って、すぐに朝ごはんを置いていたリビングへと向かってく
「良かった。ご飯食べてるね」
空になり残されていた食器を見て、ホッと胸を撫で下ろすツムギ。ルトとララも嬉しそうに空になっている食器を見ていると、突然ツムギがレアスの部屋へとバタバタと足音を立てて走り出した
「レアス、いるの」
レアスの部屋の前で、ふぅ。と深呼吸をしてノックもせずに、ゆっくりと扉を開けた。すると、開けてすぐ着替えをしているレアスが目に入って慌ててバタンと扉を閉じた
「ゴメンね、わざとじゃないよ!」
慌てて扉越しに、あたふたと大声と身振り手振りでレアスに話しかける
「あの、心配になって……。本当はナオとカホも来る予定だったんだけど、ココとナツメを見るって突然ニーナ先生に言われて、それで……」
と、そう言っているとガチャと部屋の扉が開いてレアスが出てきた
「着替えた。入りたいなら入れば」
「……じゃあ、入ります」
恐る恐る部屋の中に入ると、レアスが鏡の前に立ち髪の毛を梳かしていた
「どこかお出掛けするの?」
「……ええ」
「一緒に行ってもいい?」
ツムギがそう言うと、レアスの動きがピタッと止まった。少しツムギの方に振り向くと、ツムギが慌ててレアスにペコリと頭を下げた
「えっと、ゴメン……」
「それより、お願いがあるの」
ツムギの言葉を遮るように、そう言いながら横を通り過ぎ、部屋の扉を開けたレアスに、ツムギが不思議そうな顔をして話しかけた
「お願い?なに?」
「本を取ってきてほしいの」
「えーっと、どこにあるの……」
本棚がある部屋に移動して、天井を見上げるツムギ、その少し離れた場所で、レアスが天井を見上げて指差した
「この一番上。ララなら本を見れば分かると思うから」
そう言うと、レアスに抱かれていたララが何度も頷くとツムギの肩に乗って本のある方に目を向けた
「じゃあ、取りに行ってくるよ」
レアスにそう言うと、ルトとララを肩に乗せたまま、一緒に本のあるという場所に飛んで行く。地上で見守るレアスが少し小さく見える程の大きな本棚の天井近くで、前に取った本よりも少し小さな本を見つけたララが、グイグイと本棚から取り出そうとし始めた
「これ?」
ツムギがララに聞くと何度も頷いて本を取ろうと引っ張り続けるララ。ツムギとルトもたくさんの本に挟まれ取れない本を無理矢理引っ張り取り出すと、落とさないようにそーっとレアスの所に降りていく
「はい、どうぞ。この本であってる?」
「……ええ」
ツムギから本を受け取ると、すぐに本をめくり読みはじめたレアス。険しい顔をして読むその姿を見て、ツムギが恐る恐る話しかけた
「ねえ。私もその本、読んでもいい?」
そう話しかけると、パタンと本を閉じたレアス。ふぅ。と深呼吸をしてスタスタと歩きはじめた
「出掛けるの?一緒に……」
慌ててレアスの後を追っていくが、振り向くことなく部屋を出ていった。すぐに扉を開けて、廊下をキョロキョロと見渡すが、レアスは居らず、リビングや部屋に行って探しても姿は見当たらず、ララがしょんぼりとうつ向いてしまった。そんなララをぎゅっと抱きしめるツムギ。ルトも頭を撫でてララを励ましながら、リビングに戻ると、まだ残していた食器をカチャカチャと重ね始めたツムギ。ふぅ。と深呼吸すると、ルトと一緒にテーブルに座って、まだしょんぼりとしているララに気づいて、励ますようにニコッと微笑んで話しかけた
「宿題しながら、ちょっと待ってみようか。すぐ帰ってくるかもしれないもんね」
0
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる