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27. そよ風に誘われて
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ツムギがレアスの家に着いた頃、学園の裏庭でメルガの体をクシで梳かしてのんびりしていた
「……リン」
突然聞こえてきた声に、手を止めてニコニコと微笑んでいた表情が一瞬険しい顔になった。少し辺りを見渡すと、またニコニコと微笑みメルガの体にクシを梳かしはじめた
「この学園は関係者以外立入禁止ですが、どこから入ったのですか?」
リンがそう言うと、その言葉に答えるようにリンの近くにある木がガサガサと揺れた
「本の持ち主を見つけた。手伝ってほしいと伝言があったのだが……」
「困りましたね。まだまだ、授業の準備があるんですよ。そちらに、かまけている余裕はないのですが……」
クシを梳かしていた手を止めて困った様子で返事をするリン。すると、急に触られなくなり寂しくなったのかメルガがリンに体を擦り寄せて甘えだし、それを見たリンがフフッと微笑んだ
「近々そちらに出向くと伝えて、今日はもう帰ってもらえますか?」
メルガの頭を撫でながら、そう言うとまたガサガサと木々が揺れる音と、ため息混じりにリンに返事をする声も聞こえてきた
「……遅くなると色々面倒なことになる」
「知ってますよ。皆さん、せっかちさんですからね」
「……メルガ」
名前を呼ばれて、声のする方にメルガが振り向くと、またため息混じりの話し声が聞こえてきた
「リンをあまり長居させないよう、ちゃんと見張るように」
「メルガにまで言うなんて信用されてないですね」
メルガに言った言葉にクスクスと笑うリン。すると、急に強い風が吹いて、思わず目を閉じた。すぐに風が止んで目を開けると、人のいる気配が消えて、ふぅ。とため息をついていると、今度は学園の角からリンを見つけて驚く職員がバタバタと走って駆け寄ってきた
「リンさん!ちゃんと報告書は読んだんですか?ニーナさんとククルさんが、ずっとリンさんの返事を待ってますよ」
突然、さっきまで聞こえていた場所の反対方向から、大声で話しかけられて、険しい顔をしていたリンの表情が一変して、職員の来る方に振り向きながら、ニコニコと笑顔になった
「ああ、読んだよ。二人はどこに?」
「二人とも保健室にいます。なので、早々に二人の所に行ってくださいね」
「わかったよ。必ず行くよ」
「必ず行ってくださいね!」
語気を強めて言う職員に、苦笑いで頷くと納得したのか、ペコリとお辞儀をして、またバタバタと走り去っていく職員を見送ると、ずっとリンの顔を見ていたメルガの頭を撫でると、嬉しそうな顔になったメルガを見て、ふぅ。とため息ついた
「すまないね、メルガ。休憩は終わりみたいだ。また今度ゆっくりしようか」
「……リン」
突然聞こえてきた声に、手を止めてニコニコと微笑んでいた表情が一瞬険しい顔になった。少し辺りを見渡すと、またニコニコと微笑みメルガの体にクシを梳かしはじめた
「この学園は関係者以外立入禁止ですが、どこから入ったのですか?」
リンがそう言うと、その言葉に答えるようにリンの近くにある木がガサガサと揺れた
「本の持ち主を見つけた。手伝ってほしいと伝言があったのだが……」
「困りましたね。まだまだ、授業の準備があるんですよ。そちらに、かまけている余裕はないのですが……」
クシを梳かしていた手を止めて困った様子で返事をするリン。すると、急に触られなくなり寂しくなったのかメルガがリンに体を擦り寄せて甘えだし、それを見たリンがフフッと微笑んだ
「近々そちらに出向くと伝えて、今日はもう帰ってもらえますか?」
メルガの頭を撫でながら、そう言うとまたガサガサと木々が揺れる音と、ため息混じりにリンに返事をする声も聞こえてきた
「……遅くなると色々面倒なことになる」
「知ってますよ。皆さん、せっかちさんですからね」
「……メルガ」
名前を呼ばれて、声のする方にメルガが振り向くと、またため息混じりの話し声が聞こえてきた
「リンをあまり長居させないよう、ちゃんと見張るように」
「メルガにまで言うなんて信用されてないですね」
メルガに言った言葉にクスクスと笑うリン。すると、急に強い風が吹いて、思わず目を閉じた。すぐに風が止んで目を開けると、人のいる気配が消えて、ふぅ。とため息をついていると、今度は学園の角からリンを見つけて驚く職員がバタバタと走って駆け寄ってきた
「リンさん!ちゃんと報告書は読んだんですか?ニーナさんとククルさんが、ずっとリンさんの返事を待ってますよ」
突然、さっきまで聞こえていた場所の反対方向から、大声で話しかけられて、険しい顔をしていたリンの表情が一変して、職員の来る方に振り向きながら、ニコニコと笑顔になった
「ああ、読んだよ。二人はどこに?」
「二人とも保健室にいます。なので、早々に二人の所に行ってくださいね」
「わかったよ。必ず行くよ」
「必ず行ってくださいね!」
語気を強めて言う職員に、苦笑いで頷くと納得したのか、ペコリとお辞儀をして、またバタバタと走り去っていく職員を見送ると、ずっとリンの顔を見ていたメルガの頭を撫でると、嬉しそうな顔になったメルガを見て、ふぅ。とため息ついた
「すまないね、メルガ。休憩は終わりみたいだ。また今度ゆっくりしようか」
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