デスパレートレアス

シャオえる

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34. 何にも出来ないけれど

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「レアス、おはよう。いるの?」
 玄関の扉をドンドンと強く叩いて、レアスを呼ぶツムギ。いくら待ってもレアスが出てくる気配がなく、困り果てて側にいるメルガと目を合わせた
「勝手に入るよー。お邪魔します」
 家の外から声をかけ、玄関の扉を開けると、レアスのいる気配のない家にメルガと一緒に中に入ってく
「レアスの部屋に行こうか。まだ寝てるのかも」
 メルガに話しかけながら、ゆっくりと家の中を歩いていると、本棚の部屋の前に着いた。カバンに入っている本を思い出し、カバンの持ち手をぎゅっとつかんで、レアスの部屋へと早足で向かっていった

「レアス、おはよう。あのね……」
 コンコンと扉を叩きながら、声をかけるツムギ。だが、レアスのいる気配を感じず、どうしようかとまたメルガと見つめ合う
「……入るよ」
 ゆっくりと部屋の扉を開け、恐る恐る部屋の中へと入っていく。辺りを見渡してレアスがいるかと確認していくが、姿は見当たらない
「レアス、いないの?」
 と、一人呟いた瞬間、ガタガタと大きな音が家に響いた
「なんの音?」
 突然聞こえてきた物音のする方に慌てて行くと、玄関で、床に本を散らばらせ、ぐったりと倒れているレアスがいた
「レアス!」
 慌てて駆け寄りレアスを見ると、身体中に深い傷がついていた
「すごい傷……」
 ツムギが体に振れても目を覚まさないレアス。深刻そうな様子を見て、メルガの背中でうつ伏せになって寝ているルトとララを抱きしめた
「メルガ、レアスをさっきのお部屋で休ませよう」
 そう言うと、メルガの背中にそーっとレアスと床に落ちていた本を乗せて、体を揺らさないよう慎重に部屋へと運び、そーっとベッドに寝かせると、ふぅ。と深呼吸をした
「どうしよっか……。ルトとララもまだ目覚めないし、ナオとカホも実技の授業中だろうから連絡つかない……。困ったなぁ。どうしよう……」
 ルトとララをメルガの背中に乗せながら一人呟き、ウロウロと部屋の中を動き回っていると、ふとメルガの背中に乗せたままだった本を見つけ手に取った

「すごいボロボロ……。確か学園で修理出来る人は……」
 本の表紙を見ながら呟いていると、メルガが側に来て、じーっとツムギの顔を見た。それに気づいたツムギが困ったようにエヘヘと苦笑いをした
「私は直せないの。空も飛べないし、本も直せないし……。ダメだね」
 震える声を止めようと、ぎゅっとメルガを抱きしめたツムギ。動かず抱きしめていると、手に何かが動く感覚が来て顔を上げると、メルガの背中でボーッとした顔をしたルトが座っていた
「ルト!起きた!」
 ぎゅっと強く抱きしめて喜ぶツムギ。ルトも嬉しそうに抱きしめ返していると、ララも目が覚めたのかボーッとした顔で部屋を見つめている
「ララも……。本当に良かった」
 二人が目覚めてホッと胸を撫で下ろしていると、ベッドに寝ているレアスを見つけたララがメルガの頭をペシッと軽く叩いて、レアスの方へと歩かせた
「レアスは寝てるよ。すごい怪我で……」
 ツムギの話を聞き流しながら、ジーッとレアスの顔を見つめていたララ。すると、レアスの顔にちょこんと乗ると、突然頬を叩き出した

「ララ!ダメだよ!傷が広がっちゃう!」
 腕や胸を叩いて起こそうとするララを、大慌てて止めたツムギ。抱きしめられてもララの手は、ブンブンと叩くように手を上下に振り続けている
「ララ!」
 ツムギの声に、やっと手を止めしょんぼりとうつ向くララ。ツムギもふぅ。とため息ついて傷が広がってないかとレアスの顔を見た
「レアス、大丈夫?」
 ツムギの腕から離れたララも今度は優しくレアスの体を触る。それでも起きないレアスに不安になったララが頭を撫でて離れなくなった

「メルガ、レアスとララと居ててね。飲み物持ってくる」
 ララの様子を見ていたツムギがメルガにそう言うと、今度はルトを抱きしめ部屋を出ていった。部屋から大分離れたキッチンへ向かいながらも、うつ向き力なくゆっくりと廊下を歩いてくその様子に、心配になったルトが抱かれていた腕から離れて、ツムギの頭を優しく撫でた
「ルト、大丈夫だよ。それより、レアスが元気になるように、何か甘いお菓子でも作ろっか」
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