デスパレートレアス

シャオえる

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40. 誘い導かれる気配

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 ツムギが本を読もうとしていたその時、学園の職員室でククルとニーナと話し合いをしていたリンの足元で休んでいたメルガが、急にそわそわと落ち着きなく、リンの周りを動き服の袖をグイグイと噛んで引っ張りだしていた
「メルガ、もう少し待っておくれ」
 クスッと笑ってメルガの頭を撫でるリンに、ククルとニーナが不思議そうな顔をしている
「リン、なに言ってるの?」
「いや、独り言さ」
 ニコニコと笑って返事をするリンに、ムッとイラついククルが、バンッと軽く机を叩くとリンを指差した
「あのね、レアスのこと心配してないの?あれからずっと姿がないのよ、どう探すか聞いてるの」
「ああ、聞いてるよ。近くは探してみたのか?」
「もちろんよ」
「家は?」
「何度も行った。けど、どんな術をかけてるのか分からないけど、入り口が分かりづらいくて、未だにちゃんと入れてないのよ」
 ため息混じりに話すククルの言葉を聞いて、リンがフフッと笑うと、メルガを呼んで職員室の入り口へと歩きだした

「えょっと!どこ行くの?」
「メルガが疲れたようだから、もう帰るよ。後は頼んだから」
 返事をした後もククルがリンを呼び止める声を無視して、職員室から出ていくとメルガと一緒に裏庭に着くと、レアスの家から持ってきた本を取り出し、はぁ。とため息ついた
「本はまだ直していないが、仕方ない。一度、戻しておくか」




「ルト、準備はいい?」
 ツムギの言葉にルトが頷くと、持っている本をめくり、ゆっくりと本に書かれている術を読み出した。ルトが床で眠るレアスの上に浮かび、ゆっくりと降りてお腹にそっと手を置いて座った。その様子をレアスから少し離れた本棚でララが息を呑み見守っている。レアスのいる床に、本に書かれた魔方陣と小さな魔方陣が現れると、ツムギ本を読むのを止めてパタンと本を閉じた
「ララ、レアスはどう?大丈夫そう?」
 ツムギに呼ばれて、急いでレアスの体を触るララ。熱かった体が治まっていて、ツムギに向かって何度も頷いた
「そう……。良かった」
 ララの反応に、ホッと胸を撫で下ろすツムギ。すると、ララが側にいたルトをぎゅっと抱きしめた。その様子をクスッと微笑み見ていたツムギが、突然バタンと倒れてしまった。大きな物音に慌てるララ。ルトを離してツムギを見ていると、ルトもレアスのお腹の上でぐったりと動かなくなってしまった
「メルガ、二人を部屋に連れていけそうか」
 突然聞こえてきた声に、泣きそうな顔をしたララが声のする方に振り向くと、メルガが二人のところに走って駆け寄り、リンは呆れた顔でツムギとレアスの方へと歩いてきた
「先に部屋に行ってておくれ。少しこの本にようがあるからね」
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