デスパレートレアス

シャオえる

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41. 機嫌の悪い理由

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 ツムギが、本を読んでほんの数分後、寝室のベッドで寝返りを打ったレアスが、ふと目を覚ますと、隣で眠るツムギの寝顔が目に入り、驚いてガバッと体を起こした
「えっ!なんで!」
 すぐ隣でレアスが叫んでも起きないツムギに呆然とレアスが見ていると、少し離れた場所からフフッと笑う声が聞こえてきた
「君が倒れていたところを助けたんだ。別に隣で寝てても構わないだろう」
 聞き覚えのある声に、また驚いてその声のする方に振り向くと、リンがレアスの部屋にあった椅子に座り本棚から持ってきた本を読んでいた
「メルガと君の使い魔がベッドに運んだよ。なかなか大変そうだったが……」
 視線は本に向いたままレアスに話していると、リンが読むその本に気づいたレアスがまた大声で叫んだ
「その本は!」
「ああ、この本は興味深くてね。つい読んでしまったよ」
「返して!」
 ベッドから勢いよく降りると、リンから本を奪い取り睨み付けるレアス。ドタバタと足音を立てていたせいか
、ベッドの側にいたメルガに寄り添って寝ていたララが目を覚ました

「ララ……」
 レアスの声が聞こえて、一気に目が覚めたララがレアスに駆け寄り抱きつくと、メルガもレアスの体にすり寄って甘えていると、リンも立ち上がりレアスに近づいてきた
「すまないが、この本は君が本棚に戻しておくれ。あまり、直せなかったが……」
 そう言いながら、持って帰っていた本を差し出すと、ガバッと奪い取りぎゅっと抱きしめた
「この本は……」
「お母様の本。何度も君から聞いたよ」
「だからこの本は……私以外読んだらダメなの。ララだってあまり、読んだら……」
 リンに言い返しながらも段々とうつ向いていくレアスを、メルガの頭に乗っているララとメルガが心配そうにレアスを見つめている

「私以外、この本の術は使えないはずなのに、どうして、あの子は使えるの?それにリン先生だって……本を使って、しかも直すなんて、そんなことありえない……」
 ベッドで寝ているツムギを見つめながら一人呟くレアスに対し、リンは何も言い返すことなくニコニコ微笑んだまま。すると、騒ぎに気づいたツムギがやっと目を覚まし、ゆっくりと体を起こした

「……あれ?」
 少しボーッとしながら部屋の中を見渡してくと、レアスを見つけてベッドから飛び降りた
「レアス、起きたの?熱は?もう大丈夫なの?」
 ぎゅっと強くレアスを抱きしめていると、まだ寝ているルトをララが叩いて起こそうとして、メルガが戸惑いあわてふためく。ツムギが起きてから、急に騒がしくなった部屋に、少し苛立ったレアスが、ツムギを突き放しバタバタと足音を立てて部屋を出ていった

「どうしたのかな?大丈夫かな?」
 何も言わず出ていったレアスに呆然とするツムギ。ララも部屋に残されて、しょんぼりとしていると、リンが少し呆れた顔をしてポツリと呟いた
「お腹でも空いているんじゃないかな?」
「あっ!そういえば、食材買ってきてたんだ!」
 廊下に置きっぱなしにしていた事を思い出して、慌てて部屋を出ていくツムギの後をルトとララも慌てて追いかけていく。置いていかれたメルガがしょんぼりとしていると、ドタバタと騒がしい音が一階から聞こえてきて、リンがクスッと笑った
「さてと。メルガ帰ろうか。本のことは、あの子達に任せて、僕らはミナモに会いに行ってみようか」
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