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46. 辿り着いた場所に
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ツムギ達がレアスの家から帰ってすぐ、レアスは一人、薄暗くなった本棚のある部屋に残っていた。静かになった部屋を見渡して、はぁ。とため息ついた
「探さなきゃ。早く本棚に戻して……でも、その前に」
部屋を出ようと、本棚を背にしたその時、ガタガタと本棚が揺れる音が聞こえて振り向くと、一冊の本が本棚からの抜け出し、部屋の奥へと飛び立っていった
「いけない。戻さなきゃ……」
飛び立った本の後を追いかけてくレアス。本はレアスの家出て外へと飛びだした。外はいつの間にか暗くなり、本の姿がすぐに見失いそうになりながらも、追い続けていくと、家から遠く離れた丘山に辿り着いた。地面に降りて本を追いかけていると、大分前を浮かび歩む本を、誰かが取りため息ついた
「本を上手く扱えないなんて、本当に君はあの人の子供なのか」
「……だれ?」
暗闇の中、突然知らない声が聞こえて不安よりも本を取られた事に苛立ち、機嫌の悪そうな声で声をかけたレアス。すると、その声を聞いてか、クスッと笑って本を持った人物がレアスに近づいてきた
「魔力もそんなに強くないし、使い魔もいない。何しにここに来たんだ?」
奪い取った本を読みながら、ミナモが呆れた声で話しかけてきた。見知らぬ男の子が本を読んでいることに、不思議に思いつつも、本を持つミナモに手を伸ばした
「その本を探してたの。返して」
「それは困るよ。僕も探していたんだ。ただ、この本はあまり、気に入るような術は書かれていないけどね」
「返してよ!私の本よ!」
「君はどうせ、この本の術を使えないんだ。使える僕が持っててもいいじゃないか。なぁ、クロウ」
レアスの返事に、はぁ。とため息つくミナモ。その態度に、また苛立ったレアスがミナモを睨んでいる。二人に緊迫した雰囲気が流れていると、二人から少し遠く離れた木々が大きく揺らすほどの強い風が吹いて、レアスが一瞬目を閉じた
「二人とも、こんな場所で喧嘩はよくないな」
目を閉じた瞬間、すぐ側でため息混じりに聞こえてきた聞き覚えのある声に、驚きつつも目を開けると、レアスとミナモの間に、リンとメルガが立っていた
「リン。なんでここに?」
「君の本棚からの帰り道さ。あまり、面倒は起こさないでくれる?」
クスッと笑うリンに対し、今度はミナモが苛立った様子で話しかけていると、レアスがメルガの背中にある本を見つけ叫んだ
「その本!」
レアスの声に本に気づいていなかったミナモも、本があることに気づいて歯をグッと噛み締めた。二人の様子にリンが楽しそうに笑っている
「ララ!待ってってば!」
また突然どこからか聞こえてきた声に、振り返るレアス。すると、勢いよくレアスに向かって何かが飛んできた
「ララ。どうしてここに?」
驚くレアスに対し嬉しそうにレアスに抱きつくララ。すると、ララが飛んできた方向からまた大声でララを呼ぶ声が聞こえてきた
「えっ?ララとレアス……。リン先生もなんで?」
レアスを見つけて、ツムギがゆっくりと地面に降りてレアスの側に駆け寄ってく様子を見たリンも、レアスに近づきメルガの背中に乗せていた本をレアスに差し出した
「君にこれを返すよ。そして、ツムギ君と早く家に帰るように」
「探さなきゃ。早く本棚に戻して……でも、その前に」
部屋を出ようと、本棚を背にしたその時、ガタガタと本棚が揺れる音が聞こえて振り向くと、一冊の本が本棚からの抜け出し、部屋の奥へと飛び立っていった
「いけない。戻さなきゃ……」
飛び立った本の後を追いかけてくレアス。本はレアスの家出て外へと飛びだした。外はいつの間にか暗くなり、本の姿がすぐに見失いそうになりながらも、追い続けていくと、家から遠く離れた丘山に辿り着いた。地面に降りて本を追いかけていると、大分前を浮かび歩む本を、誰かが取りため息ついた
「本を上手く扱えないなんて、本当に君はあの人の子供なのか」
「……だれ?」
暗闇の中、突然知らない声が聞こえて不安よりも本を取られた事に苛立ち、機嫌の悪そうな声で声をかけたレアス。すると、その声を聞いてか、クスッと笑って本を持った人物がレアスに近づいてきた
「魔力もそんなに強くないし、使い魔もいない。何しにここに来たんだ?」
奪い取った本を読みながら、ミナモが呆れた声で話しかけてきた。見知らぬ男の子が本を読んでいることに、不思議に思いつつも、本を持つミナモに手を伸ばした
「その本を探してたの。返して」
「それは困るよ。僕も探していたんだ。ただ、この本はあまり、気に入るような術は書かれていないけどね」
「返してよ!私の本よ!」
「君はどうせ、この本の術を使えないんだ。使える僕が持っててもいいじゃないか。なぁ、クロウ」
レアスの返事に、はぁ。とため息つくミナモ。その態度に、また苛立ったレアスがミナモを睨んでいる。二人に緊迫した雰囲気が流れていると、二人から少し遠く離れた木々が大きく揺らすほどの強い風が吹いて、レアスが一瞬目を閉じた
「二人とも、こんな場所で喧嘩はよくないな」
目を閉じた瞬間、すぐ側でため息混じりに聞こえてきた聞き覚えのある声に、驚きつつも目を開けると、レアスとミナモの間に、リンとメルガが立っていた
「リン。なんでここに?」
「君の本棚からの帰り道さ。あまり、面倒は起こさないでくれる?」
クスッと笑うリンに対し、今度はミナモが苛立った様子で話しかけていると、レアスがメルガの背中にある本を見つけ叫んだ
「その本!」
レアスの声に本に気づいていなかったミナモも、本があることに気づいて歯をグッと噛み締めた。二人の様子にリンが楽しそうに笑っている
「ララ!待ってってば!」
また突然どこからか聞こえてきた声に、振り返るレアス。すると、勢いよくレアスに向かって何かが飛んできた
「ララ。どうしてここに?」
驚くレアスに対し嬉しそうにレアスに抱きつくララ。すると、ララが飛んできた方向からまた大声でララを呼ぶ声が聞こえてきた
「えっ?ララとレアス……。リン先生もなんで?」
レアスを見つけて、ツムギがゆっくりと地面に降りてレアスの側に駆け寄ってく様子を見たリンも、レアスに近づきメルガの背中に乗せていた本をレアスに差し出した
「君にこれを返すよ。そして、ツムギ君と早く家に帰るように」
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