デスパレートレアス

48. 一緒に安らぎを求めに

「はぁ。やっと着いた……」
　レアスの家にやっと辿り着いたツムギ達。玄関ではなく、なぜかレアスの部屋の窓から家の中に入って、疲れたのか、窓際にペタンと座り込んだツムギ。一方、ただツムギに途中からおんぶされて来たレアスは疲れた顔をせず、リンから貰った本を机に置いていた
「空飛ぶのは大変だね。レアスも疲れた？大丈夫？」
　ゆっくりと立ち上がり、ツムギもレアスから預かっていた本を机に置くと、うーんと背伸びをして、隣で二冊の本を見つめるレアスの顔を覗き込んだ
「レアス、お茶持ってくる？」
「いらないわ」
「そっか。でも、ルトとララの飲み物持ってくるから、ついでに飲み物持ってくるよ」
　ニコッと微笑むと、一人キッチンに向かっていったツムギ。パタパタと歩く足音が遠く聞こえなくなると、心配そうな顔をしてルトとララがレアスの側に近づいてきた
「ララ。ごめんね。心配かけて。あなたも無理させてごめんね」
　そう言いながら、ルトとララをぎゅっと抱きしめたレアス。力強く抱きしめられて動けず、ルトとララもレアスにぎゅっと抱きついた。静かになった部屋に、またパタパタと足音が聞こえてきて、バンッと勢いよく部屋の扉が開いた



「お待たせ！ジュースがたくさん残ってたから、全部持ってきた！何飲む？」
　たくさんのジュースとコップを抱えて持ってきたツムギ。ジュースとコップをテーブルに置いていると、ルトとララが、嬉しそうに駆け寄ってきた。好きな飲み物を選んで飲んでいると、ツムギ達の様子を見ていたレアスが、音を立てないようにそっと部屋から出ようとした時、ガシッとツムギがレアスの手をつかんだ
「出てっちゃダメ。勝手にどっか行っちゃうでしょ」
　突然止められ、ニコニコと笑ってそう言うツムギに、見破れて一瞬ムッとするレアス。ふとルトとララを見ると、コップを持ったまま不安そうにレアスを見ているのに気づいて、渋々ツムギの隣に座って、テーブルにあるコップを取った
「ねぇ、今日レアスの家に泊まってもいい？今から寮に戻ったら怒られちゃうし、レアスも心配だし。良い？良いよね？」
　レアスのコップにジュースを注ぎながら、問いかけるツムギ。だが、レアスはコップに注がれてくジュースを見つめ返事をせずにいる。それでもツムギがニコニコと微笑み、返事を待っていると一気にジュースを飲み干したレアスが突然立ち上がった
「あれ？どこ行くの？」
「……お風呂。泊まりたいなら好きにしたら」
「私も一緒にお風呂入る！」
　レアスの言葉を聞いて、勢いよく立ち上がり、手を上げたツムギ。その行動に、ルトとララが驚いている
「ルトもララも一緒に入ろう！」
　そう言いながら二人を抱きしめたツムギ。一人テンション高くエヘヘと笑う姿に、ルトとララは戸惑うばかり。すると、そんなツムギの様子を黙って見ていたレアスが、はぁ。とため息ついて、クローゼットを指差した
「新しい服とかその棚にあるから、勝手に選んで」
「うん！選んだらすぐ行くね」
　ルトとララを離して、レアスが指差したクローゼットを開けたツムギ。綺麗に畳まれた服を見て感心しながら、ララと一緒に新しい服を探してく。その様子を見たレアスが、またため息をついて部屋を出ていった



「この本はここでいいかな……」
　部屋から出た後、本棚のある部屋にやって来たレアス。机に置いていたリンから貰った本を本棚にしまうと、そっと本の背表紙に触れた
「ごめんなさい、お母様。本を取られてしまって……」
　そう呟きうつ向いていると、ドタバタと騒がしい足音が聞こえてきた
「レアスー。お風呂場どこー？ララ！教えてよー。もー」
　大声で叫ぶツムギの声が聞こえて、思わずまたため息をついたレアス。ツムギの声やドタバタと騒ぐルトとララの足音がレアスのいる部屋まで近づいてきて、今度はクスッと笑った
「お母様、たまには騒がしいのも悪くないのかもね」