デスパレートレアス

シャオえる

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57. ここは、帰り道の散歩道

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「返して!それは、レアスから預かってる本なの!」
 本を持つ男性に向かって叫ぶツムギ。だがその言葉を無視しながら本を読み進めていく人達。苛立つツムギが、本を取り返そうと、一歩踏み出そうとしたその時、ツムギのすぐ側からガサガサと草木が大きく揺れる音が響いた
「メルガ!」
 聞き覚えのある声がすぐ側から聞こえてきて、驚き声のする方に振り向くと、息を切らしたレアスがツムギとメルガの背中でぐったりしているルトとララを見つけて駆け寄ってきた
「レアス……良かった。探したんだよ」
「あのね、そんなこと言ってる場合じゃ……」
 緊迫した雰囲気とは違い、ホット胸を撫で下ろしながらレアスに話しかけるツムギに、レアスがララを抱きしめながら呆れたように言い返していると、レアスが出てき場所からミナモが遅れて現れた

「ミナモ。本はどうした?」
「今、探してます。ですが、その本では……」
 ミナモの姿を見てすぐに問いかける男性に、戸惑いながら答えるミナモ。不穏な雰囲気が流れる中、レアスが男性が本を持っていることに気づいた
「あの本、あなたに渡した本……」
「えっと、ごめんなさい……」
 レアスに睨まれながら話しかけられて、ツムギがうろたえながら深く頭を下げて謝っていると、パンッと本を閉じる音が響いた
「まあ、君たちが持っていても勿体ない本だ。ぜひこちらの本棚で預からせて貰おうか」
「そんなのダメだよ!それはレアスのお母さんの……」
「そうか、我らの邪魔ばかりする君がレアスというのか」
「邪魔って……。あなた達が私の邪魔をするくせに」
 今度は話しかけてきた男性に向かってレアスが睨みながら返事をしていると、ツムギ達がいる場所から少し離れた場所からまた聞き覚えのある声が聞こえてきた
「メルガ、おいで」
 と、その声を聞いて、メルガがルトを背中に乗せたままツムギ達の所に歩いてくるリンの隣までふわりと飛び跳ねた
「リンか。なぜ君も邪魔をする」
「通行の邪魔をしているのはあなた達ですよ。早々に帰って貰えると嬉しいのですが」
 呆れながら答えるリンに、老人が思わずクスッと笑う
「そうだな。では、我々は失礼するよ」
「本を返して!」
「それは、本棚の思い次第というところかな」
 そう言うとレアスの本を持ったまま歩き始めた男性達。慌ててレアスが追いかけていくが、使い魔を呼び姿を消していた。レアスの後を追いかけていたツムギが怒った顔で辺りを見渡しているレアスに、声をかけられずにいる二人の姿をリンがニコニコと見ていると、ミナモがため息まじりに、話しかけてきた

「リン、なぜここに?」
「メルガのおやつを買いにね、その帰りだよ」
 ミナモの質問に、たくさんの袋を見せてリンが微笑んでいると、メルガの背中に乗って眠っていたルトとレアスに抱きしめられていたララも目を覚ました。それを見たリンがまたクスッと笑って、メルガの頭を撫でながらツムギ達に話しかけた
「君達の使い魔も目を覚ましたし、みんな疲れたでしょ。近くにミナモの家があるから、そこで休もう」
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