デスパレートレアス

シャオえる

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78. 私の書いた本と思い出

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「あれ?ここ……レアスの家の本棚のお部屋?」
 パッと目を開けると、見覚えのある場所に突然いて、驚きつつも、ちょっとホッとするツムギ。だが、すぐ側にレアスがいないことに気づいて狼狽えていると、ギィと椅子の軋む音が聞こえて、音のする方に振り向くと、本棚の前で椅子に座って本を読む女の人がいた
「あの人……」
 その女の人を見て、ツムギが呟いていると、バンッと勢いよく扉が開く音が聞こえて、バタバタと大きな足音を立てながら、ツムギの横を誰かが通りすぎていった
「お母様!やっと見つけた!」
 小さな女の子が、椅子に座る女の人に飛び乗るように抱きついた。突然ぎゅっと強く抱きしめられ困った顔で女の子の頭を撫でた
「こらレアス。ここに来ちゃダメって言ったでしょ」
「えー、聞いてないもん。ねっ、ララ」
 レアスという女の子が振り向くと、ツムギの隣をゆっくりとしたスピードで、今よりも小さなララが飛んでレアスの所に向かっていた
「もー、困った子ね」
 クスッと笑いながら、女の人がレアスをぎゅっと抱きしめ返す様子を呆然と見ていたツムギ。すると、女の人がツムギを見てニコッと微笑んだ。女の人と目線が合い、後退りするツムギ。すると、女の人がレアスの背中をポンッと軽く叩きながら優しい声で話しかけた
「レアス、もう少しでお友達が来るの。後で行くから、お部屋で待っててくれる?」
「うん。お母様、待ってるね!」
 ニコッと笑って女の人に返事をすると、パタパタと足音を立ててツムギの横を通っていく
「……レアス、あの」
 ツムギが恐る恐る声をかけると、そのまま無視してララと一緒に部屋を出ていってしまったレアス。その様子を困った顔でツムギが見ていると、クスッと微笑む女の人の声が聞こえてきた


「ごめんなさいね、今あの子にあなたは見えてないから……」
 話し声が聞こえて、驚き振り向くと女の人がツムギの方を見てまたクスッと微笑んだ
「ここは私が書いた本の中よ。私の思い出というか記憶の中」
「記憶の中……」
 女の人の言葉を聞いて、部屋の中を見渡しはじめるツムギ。窓も開いて今よりも明るい本棚の部屋に、ちょっと違和感を感じていると、突然家のチャイムが鳴った
「あら、来たみたいね。悪いけど出てもらえる?」
「えっ?はい……」
 女の人のお願いに、ちょっと驚きつつも返事をすると、女の人に背を向け歩きだすツムギ。その後ろ姿を見ていた女の人が、ツムギが本棚の部屋の扉を開けた時に、声をかけた
「ツムギさん」
「……はい」
 名前を呼ばれて、戸惑いつつも振り返ながら返事をすると、いつの間にかツムギの側に女の人が本を持って立っていた
「あの子にあまり意固地にならず、本と魔術に向き合いなさいと伝えてね。あと、あなたの事好きならちゃんと言いなさいとも」
 そう言うとツムギに持っている本を差し出した。微笑む女の人と本を見て戸惑いながらも、真新しい本を受けとるツムギ。その本の表紙に見覚えがあり、じっと見ていると、女の人がクスッと笑ってツムギの手にそっと手を置いた
「ツムギさん。お客様が待ってるわ。ほらほら、急いでお迎えしてあげて」
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