89 / 98
89. 少しだけ説教がてらに
しおりを挟む
ヒカリの周りに、更に本が増えページがめくられていくその様子に、怖くなったツムギが呆然としているレアスの手をぎゅっと強くつかんだ
「レアス、逃げよう!」
そう言うと、レアスの手を引っ張って、ヒカリから離れようとするツムギ。だが、レアスはそれを嫌がって大きく手を振りツムギの手を払おうとする
「離して!お母様が」
「こんな強い魔力と魔術、今のルトとララに耐えられないよ!二人のために逃げないと!」
「……でも」
ツムギの言葉に、払おうとしていた手を止めて、抱きしめていたララを見ると、さっきよりも少し息が荒く苦しそうな顔をしていた
「レアス一人なら私一人で飛んで運べるから、一先ず逃げて、ルトとララの魔力を戻さないと!」
「……わかった」
返事をしてツムギの手をぎゅっと繋ぎ返すと、ツムギが気合いを入れるために、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、ヒカリに背を向け二人一緒に走り出した。そんな二人の姿を、ヒカリはニコニコと笑って見ている
「あら、二人もどこかに行っちゃうのね……。でも、大丈夫。この本があれば、きっと……」
そう言うと、ぎゅっと本を抱きしめるとヒカリの足元に大きな魔方陣が現れ、周りに浮かんでいた本達がバタンと地面に落ちた
「メルガ……。良かった、帰って来れて」
その頃、リンに呼ばれたメルガがリンの魔方陣の真ん中に現れた。無事に姿を現して、リンがホッと胸を撫で下ろしていると、リンの姿を見たメルガが嬉しそうに尻尾を振るが、すぐにペタンと座りこんでしまった
「だいぶ弱っていそうだが、無事そうか?」
「うーん、何があったかわかりませんが、無事ではなさそう。少し休ませないと……」
と、メルガを擦りながら、ミナモと話をしていると、バシャッと水が跳ねる音が聞こえて振り向くと、さっきまで無かったはずの本が一冊、魔方陣の端っこで水の上に浮かんでいた
「本まで戻したのか?」
「いや、そんなはずは……。メルガが持ってきたのかも」
リンとミナモが話をしていると、ノスカがその本を取り本を開き中を読みはじめた
「うーん、確かにレアス君のためになりそうな魔術ですが……」
ノスカが読む横からリンも本の中を確認すると、困った顔でそう言うと、同じく本を横から見ていたミナモがはぁ。とため息をついた
「少しヒカリの魔術の手伝いをしようか」
「えっ、いいの?」
ミナモの意外な反応に、リンがちょっと驚いていると、ミナモがクロウの頬を撫でながらまたため息をついた
「ああ。昔から人の話を聞かないから、こう面倒なことを起こすと、少し説教がてらにな。その前に、メルガとクロウは娘二人の救出の為に、少し休んでもらおう」
ミナモに誘導されながら、ゆっくりと部屋の隅に移動して、まだいた高等魔術師達に守られながら休むメルガとクロウ。ミナモがずっとクロウが抱いて守っていた本を取っていると、ずっと本を険しい顔をして読んでいたノスカがパタンと本を閉じて、はぁ。とため息をついた
「さてと、新たな本が濡れる前に早々に終わらせようか」
「レアス、逃げよう!」
そう言うと、レアスの手を引っ張って、ヒカリから離れようとするツムギ。だが、レアスはそれを嫌がって大きく手を振りツムギの手を払おうとする
「離して!お母様が」
「こんな強い魔力と魔術、今のルトとララに耐えられないよ!二人のために逃げないと!」
「……でも」
ツムギの言葉に、払おうとしていた手を止めて、抱きしめていたララを見ると、さっきよりも少し息が荒く苦しそうな顔をしていた
「レアス一人なら私一人で飛んで運べるから、一先ず逃げて、ルトとララの魔力を戻さないと!」
「……わかった」
返事をしてツムギの手をぎゅっと繋ぎ返すと、ツムギが気合いを入れるために、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、ヒカリに背を向け二人一緒に走り出した。そんな二人の姿を、ヒカリはニコニコと笑って見ている
「あら、二人もどこかに行っちゃうのね……。でも、大丈夫。この本があれば、きっと……」
そう言うと、ぎゅっと本を抱きしめるとヒカリの足元に大きな魔方陣が現れ、周りに浮かんでいた本達がバタンと地面に落ちた
「メルガ……。良かった、帰って来れて」
その頃、リンに呼ばれたメルガがリンの魔方陣の真ん中に現れた。無事に姿を現して、リンがホッと胸を撫で下ろしていると、リンの姿を見たメルガが嬉しそうに尻尾を振るが、すぐにペタンと座りこんでしまった
「だいぶ弱っていそうだが、無事そうか?」
「うーん、何があったかわかりませんが、無事ではなさそう。少し休ませないと……」
と、メルガを擦りながら、ミナモと話をしていると、バシャッと水が跳ねる音が聞こえて振り向くと、さっきまで無かったはずの本が一冊、魔方陣の端っこで水の上に浮かんでいた
「本まで戻したのか?」
「いや、そんなはずは……。メルガが持ってきたのかも」
リンとミナモが話をしていると、ノスカがその本を取り本を開き中を読みはじめた
「うーん、確かにレアス君のためになりそうな魔術ですが……」
ノスカが読む横からリンも本の中を確認すると、困った顔でそう言うと、同じく本を横から見ていたミナモがはぁ。とため息をついた
「少しヒカリの魔術の手伝いをしようか」
「えっ、いいの?」
ミナモの意外な反応に、リンがちょっと驚いていると、ミナモがクロウの頬を撫でながらまたため息をついた
「ああ。昔から人の話を聞かないから、こう面倒なことを起こすと、少し説教がてらにな。その前に、メルガとクロウは娘二人の救出の為に、少し休んでもらおう」
ミナモに誘導されながら、ゆっくりと部屋の隅に移動して、まだいた高等魔術師達に守られながら休むメルガとクロウ。ミナモがずっとクロウが抱いて守っていた本を取っていると、ずっと本を険しい顔をして読んでいたノスカがパタンと本を閉じて、はぁ。とため息をついた
「さてと、新たな本が濡れる前に早々に終わらせようか」
0
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる