デスパレートレアス

シャオえる

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89. 少しだけ説教がてらに

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 ヒカリの周りに、更に本が増えページがめくられていくその様子に、怖くなったツムギが呆然としているレアスの手をぎゅっと強くつかんだ
「レアス、逃げよう!」
 そう言うと、レアスの手を引っ張って、ヒカリから離れようとするツムギ。だが、レアスはそれを嫌がって大きく手を振りツムギの手を払おうとする
「離して!お母様が」
「こんな強い魔力と魔術、今のルトとララに耐えられないよ!二人のために逃げないと!」
「……でも」
 ツムギの言葉に、払おうとしていた手を止めて、抱きしめていたララを見ると、さっきよりも少し息が荒く苦しそうな顔をしていた
「レアス一人なら私一人で飛んで運べるから、一先ず逃げて、ルトとララの魔力を戻さないと!」
「……わかった」
 返事をしてツムギの手をぎゅっと繋ぎ返すと、ツムギが気合いを入れるために、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、ヒカリに背を向け二人一緒に走り出した。そんな二人の姿を、ヒカリはニコニコと笑って見ている
「あら、二人もどこかに行っちゃうのね……。でも、大丈夫。この本があれば、きっと……」
 そう言うと、ぎゅっと本を抱きしめるとヒカリの足元に大きな魔方陣が現れ、周りに浮かんでいた本達がバタンと地面に落ちた








「メルガ……。良かった、帰って来れて」
 その頃、リンに呼ばれたメルガがリンの魔方陣の真ん中に現れた。無事に姿を現して、リンがホッと胸を撫で下ろしていると、リンの姿を見たメルガが嬉しそうに尻尾を振るが、すぐにペタンと座りこんでしまった
「だいぶ弱っていそうだが、無事そうか?」
「うーん、何があったかわかりませんが、無事ではなさそう。少し休ませないと……」
 と、メルガを擦りながら、ミナモと話をしていると、バシャッと水が跳ねる音が聞こえて振り向くと、さっきまで無かったはずの本が一冊、魔方陣の端っこで水の上に浮かんでいた
「本まで戻したのか?」
「いや、そんなはずは……。メルガが持ってきたのかも」
 リンとミナモが話をしていると、ノスカがその本を取り本を開き中を読みはじめた
「うーん、確かにレアス君のためになりそうな魔術ですが……」
 ノスカが読む横からリンも本の中を確認すると、困った顔でそう言うと、同じく本を横から見ていたミナモがはぁ。とため息をついた

「少しヒカリの魔術の手伝いをしようか」
「えっ、いいの?」
 ミナモの意外な反応に、リンがちょっと驚いていると、ミナモがクロウの頬を撫でながらまたため息をついた
「ああ。昔から人の話を聞かないから、こう面倒なことを起こすと、少し説教がてらにな。その前に、メルガとクロウは娘二人の救出の為に、少し休んでもらおう」
 ミナモに誘導されながら、ゆっくりと部屋の隅に移動して、まだいた高等魔術師達に守られながら休むメルガとクロウ。ミナモがずっとクロウが抱いて守っていた本を取っていると、ずっと本を険しい顔をして読んでいたノスカがパタンと本を閉じて、はぁ。とため息をついた
「さてと、新たな本が濡れる前に早々に終わらせようか」
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