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愛とオルゴール
06. 恋人との逢瀬
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あの日の叔父と父の話し合いは結論が出ないままだったようだ。
私とネイサンは叔父から説明するために詳細を確認しなければならないから少し時間がほしいと言われていた。
父からは特に何も言われなかった。
姿を見かけるたびに父から寄せられる鬱陶しい視線を完全に無視して私はネイサンに寄り添った。
リカルド母子との面会はそんな中で得た明るい題材のひとつだった。父は完全に孤立している。いい気味だ。
ネイサンは、私がリカルド母子に会って彼らの気持ちを聞いてきた話をすると驚いていた。
私は祖父母とネイサンに約束どおりリカルド母子の無実を訴えたのだ。
祖父はここのところ少し体を悪くしているため手短に父の所業とリカルド達の話、私とネイサンの思いを伝えると、深く深く吐息をついたものだ。
また、祖父は気力まで衰えているわけではないので、父と上手く分担しながらも、実権は手にしているが、そのこともあって父は暴走しているのだろう、と言った。
祖母のほうは祖父の看病の傍ら女主人がいない侯爵家を今でも取り仕切っているのだが、この話を聞いて、あの子結局何もわかっていないのね、と肩を落としていた。
父はとんだ親不孝者でもある。
そんな中、私は恋人に誘われて久しぶりに華やいだ気持ちでいた。
一年前にデビュタントを済ませた私には家格も釣り合いがとれる相思相愛の恋人がいるのだ。
既に両家の間では婚約を前提とした話が進められていて、細かい内容を詰め終われば、あとは正式な婚約の手続きをするだけという状態の素敵な恋人が。
「どうしたの? ジェシー。今日はずっとどこか浮かない顔をしているよね」
ベンチで寄り添う私の最愛の人、ブロア公爵家の嫡男であるアンソニーが私の髪を弄びながら言った。
私たちは馬車で公園を散歩した後、薔薇が見ごろのアンソニーの家の庭園でお茶を飲み、その後、何を話すでもなく、互いの存在を感じながら過ごしているところだった。
「ごめんなさい、アンソニー。実は、家のことで色々あって」
「そうか」
アンソニーはそれ以上は聞かず、慰めるように私の手を取って優しくキスをしてくれた。
その後は気を取り直して楽しいことだけを考えるようにして他愛無い会話を交わしていたのだが、やはりあの日から何の進展もなければ説明もないまま曖昧になっている話を完全に頭の中から追い払うことなどできなかった。
ふと思いついてアンソニーに問いかけてみる。
「ねえ、フォンテーヌ伯爵家のこと、貴方はどれくらい知っているかしら?」
アンソニーは私の手を片手で握り、もう片方の手で額にかかった私の髪の毛を優しく撫でつけたりしていたが、私の言葉を聞いて不思議そうにその手を止めた。
「フォンテーヌ伯爵家? なぜ突然そんなことを?」
「少し、気になることがあって。何れお話しすることもあるかもしれないけれど、ごめんなさい、今は何も言えないの」
そうか、と言って少し考えるそぶりをしていたアンソニーが話し始めた。
「フォンテーヌ伯爵はかなりのやり手らしいね。王家の覚えもめでたい、有力な貴族の一人だ。
伯爵の一人娘はよく城に上がっていて、同じ年頃の従兄弟である王子たちと子供のころから仲良くしているよ。
知っていると思うけれど、彼女は王の実の姪で王子殿下達にとってはいとこにあたるからね。
早くに亡くした彼女の母親を兄である王や先王達は溺愛していたそうだから残された令嬢を不憫に思っているのもあるみたいだ」
その話は有名なものだったから私も聞いたことがあることを思いだした。ネイサンを婿養子になどという馬鹿馬鹿しさに気を取られすぎていて今まで忘れていたのだ。
「ああ、デビュタント前に大恋愛の末に結婚したという王女殿下とその恋人ね? 産褥で亡くなったという、あの悲劇の恋人達。
伯爵は今でも亡くなった王女殿下を愛していて、どんなに進められても後妻を娶らないって聞いたわ」
アンソニーは肩を竦めた。
私の言葉の調子にメロドラマを愛する女性特有の甘さを感じとったのか、少し引いているのかもしれない。
「そうらしいね。まあ、僕が見た感じフォンテーヌ伯爵は恋に溺れるってタイプには見えないけれど、とても愛らしい王女だったらしいからそういうこともあったのかもしれないな」
「愛する人を亡くしてから人が変わったって話だから、今の印象とは違っていて当たり前なのではないかしら?」
「確かに……そうだな、考えたくはないことだけど、そんなことになったらと考えると、伯爵の気持ちもわかる気もするかな」
そう言って、アンソニーは黙り込み、俯いたまま私の手を撫でている。
私は彼の手を握り、彼の注意を引いて言った。
「その令嬢はまだ社交界にでる年ではないのでしょう? デビュタント前のお茶会にもあまり足を運ぶことがないみたいで会ったことがないから、どのような方なのか私にはわからないのだけれど、貴方はお城で見かけることがあるのよね?
どんな方なのかしら?」
その時、アンソニーは少し表情を変えたように見えた。私はその事に少し違和感を感じたが、一瞬のことだったし、アンソニーを信じているからとりあえずは不問にして質問の答えをせっついた。
「確かに何度か見かけたことがある、というか挨拶を交わしたことくらいだな。
もちろん、個人的な関わりは一切無いよ。
王太子殿下と仕事の話をしている時に第二王子殿下が連れまわしているのに出くわしたり、逆に彼らが王太子殿下や我々がいる場にやってきたりといったことがあるんだ。
見た感じはどちらかというとまだ少女めいているというか、デビュタント前の令嬢だなと思わせる拙い感じがあるね。
顔立ちはまあ、可愛らしいといえば一般的にみて可愛らしい令嬢なのかもしれないね。
おっと、これは君が聞きたがったから言っているだけだよ。だから僕が彼女に対してどうこう思っているなんて誤解はしないでほしい。
僕の目にうつるのはいつだって君だけなんだからね」
私は彼の言葉を素直に受け入れた。
彼は私の頬を撫でると、そこに優しくキスをした。
付き添いのメイドの咳払いに私たちは微笑みあって適切な距離を取り戻す。
それから、彼が続けた。
「うーん、それから頻繁に城に上がっていたのはもっと幼い頃のことだ。今はそれほどではないんじゃないかな。
王太子殿下の話を聞く限りでは陛下は姪としてとても可愛がっているが、王妃殿下はいとことはいえ年頃の娘と王子たちが親しげに付き合うことをあまりよく思われていないようだ。
まあ、それは僕たち王太子殿下の側近にしてもそうだしね。
僕らは特定の人間が殿下にあまり馴れ馴れしく近づきすぎないよう気を配るようにしている。
王太子殿下より自由にされている第二王子殿下はよく一緒にいるようだけど」
たしか、令嬢は第二王子よりも一つ下だと言ったと思うとアンソニーは付け加えた。
「そうなの……あら、だけど、少し年は離れているけれど、実家の勢力が強く、王家と縁のある愛らしい令嬢なら引く手あまたかもしれないわよね。特に、偶然だとしても頻繁に出会うような関係だと」
私の言葉にアンソニーは面白そうに笑った。
「嫉妬かい? 僕にはとびっきり美しい、愛しい恋人がいるんだから他の令嬢なんて目に入らないよ」
「本当に?」
「本当だよ。信じないの?」
「信じているわ」
「愛しているよ僕のジェシー。ああ、早く皆に君は僕のものだと正式に発表したいな。
僕だって君のことを信じているけれど、君のことを狙ってる男は山ほどいるから心配なんだよ。他の誰にも目を向けたりしないで」
アンソニーの言葉に今度は私が微笑んだ。
「それは私だって同じよ。愛しているわアンソニー。だから、貴方こそ他の人に目を奪われたりしないでね。そんなことになったら私、どうしていいかわからない」
「そんなことはないと誓うよ。愛してる、ジェシカ。僕には君だけだ」
「私もよ、アンソニー」
私たちはメイドが邪魔する前に、甘い甘いキスを交わした。
既に巻き込まれている騒動のことなんて想像もせずに。
私とネイサンは叔父から説明するために詳細を確認しなければならないから少し時間がほしいと言われていた。
父からは特に何も言われなかった。
姿を見かけるたびに父から寄せられる鬱陶しい視線を完全に無視して私はネイサンに寄り添った。
リカルド母子との面会はそんな中で得た明るい題材のひとつだった。父は完全に孤立している。いい気味だ。
ネイサンは、私がリカルド母子に会って彼らの気持ちを聞いてきた話をすると驚いていた。
私は祖父母とネイサンに約束どおりリカルド母子の無実を訴えたのだ。
祖父はここのところ少し体を悪くしているため手短に父の所業とリカルド達の話、私とネイサンの思いを伝えると、深く深く吐息をついたものだ。
また、祖父は気力まで衰えているわけではないので、父と上手く分担しながらも、実権は手にしているが、そのこともあって父は暴走しているのだろう、と言った。
祖母のほうは祖父の看病の傍ら女主人がいない侯爵家を今でも取り仕切っているのだが、この話を聞いて、あの子結局何もわかっていないのね、と肩を落としていた。
父はとんだ親不孝者でもある。
そんな中、私は恋人に誘われて久しぶりに華やいだ気持ちでいた。
一年前にデビュタントを済ませた私には家格も釣り合いがとれる相思相愛の恋人がいるのだ。
既に両家の間では婚約を前提とした話が進められていて、細かい内容を詰め終われば、あとは正式な婚約の手続きをするだけという状態の素敵な恋人が。
「どうしたの? ジェシー。今日はずっとどこか浮かない顔をしているよね」
ベンチで寄り添う私の最愛の人、ブロア公爵家の嫡男であるアンソニーが私の髪を弄びながら言った。
私たちは馬車で公園を散歩した後、薔薇が見ごろのアンソニーの家の庭園でお茶を飲み、その後、何を話すでもなく、互いの存在を感じながら過ごしているところだった。
「ごめんなさい、アンソニー。実は、家のことで色々あって」
「そうか」
アンソニーはそれ以上は聞かず、慰めるように私の手を取って優しくキスをしてくれた。
その後は気を取り直して楽しいことだけを考えるようにして他愛無い会話を交わしていたのだが、やはりあの日から何の進展もなければ説明もないまま曖昧になっている話を完全に頭の中から追い払うことなどできなかった。
ふと思いついてアンソニーに問いかけてみる。
「ねえ、フォンテーヌ伯爵家のこと、貴方はどれくらい知っているかしら?」
アンソニーは私の手を片手で握り、もう片方の手で額にかかった私の髪の毛を優しく撫でつけたりしていたが、私の言葉を聞いて不思議そうにその手を止めた。
「フォンテーヌ伯爵家? なぜ突然そんなことを?」
「少し、気になることがあって。何れお話しすることもあるかもしれないけれど、ごめんなさい、今は何も言えないの」
そうか、と言って少し考えるそぶりをしていたアンソニーが話し始めた。
「フォンテーヌ伯爵はかなりのやり手らしいね。王家の覚えもめでたい、有力な貴族の一人だ。
伯爵の一人娘はよく城に上がっていて、同じ年頃の従兄弟である王子たちと子供のころから仲良くしているよ。
知っていると思うけれど、彼女は王の実の姪で王子殿下達にとってはいとこにあたるからね。
早くに亡くした彼女の母親を兄である王や先王達は溺愛していたそうだから残された令嬢を不憫に思っているのもあるみたいだ」
その話は有名なものだったから私も聞いたことがあることを思いだした。ネイサンを婿養子になどという馬鹿馬鹿しさに気を取られすぎていて今まで忘れていたのだ。
「ああ、デビュタント前に大恋愛の末に結婚したという王女殿下とその恋人ね? 産褥で亡くなったという、あの悲劇の恋人達。
伯爵は今でも亡くなった王女殿下を愛していて、どんなに進められても後妻を娶らないって聞いたわ」
アンソニーは肩を竦めた。
私の言葉の調子にメロドラマを愛する女性特有の甘さを感じとったのか、少し引いているのかもしれない。
「そうらしいね。まあ、僕が見た感じフォンテーヌ伯爵は恋に溺れるってタイプには見えないけれど、とても愛らしい王女だったらしいからそういうこともあったのかもしれないな」
「愛する人を亡くしてから人が変わったって話だから、今の印象とは違っていて当たり前なのではないかしら?」
「確かに……そうだな、考えたくはないことだけど、そんなことになったらと考えると、伯爵の気持ちもわかる気もするかな」
そう言って、アンソニーは黙り込み、俯いたまま私の手を撫でている。
私は彼の手を握り、彼の注意を引いて言った。
「その令嬢はまだ社交界にでる年ではないのでしょう? デビュタント前のお茶会にもあまり足を運ぶことがないみたいで会ったことがないから、どのような方なのか私にはわからないのだけれど、貴方はお城で見かけることがあるのよね?
どんな方なのかしら?」
その時、アンソニーは少し表情を変えたように見えた。私はその事に少し違和感を感じたが、一瞬のことだったし、アンソニーを信じているからとりあえずは不問にして質問の答えをせっついた。
「確かに何度か見かけたことがある、というか挨拶を交わしたことくらいだな。
もちろん、個人的な関わりは一切無いよ。
王太子殿下と仕事の話をしている時に第二王子殿下が連れまわしているのに出くわしたり、逆に彼らが王太子殿下や我々がいる場にやってきたりといったことがあるんだ。
見た感じはどちらかというとまだ少女めいているというか、デビュタント前の令嬢だなと思わせる拙い感じがあるね。
顔立ちはまあ、可愛らしいといえば一般的にみて可愛らしい令嬢なのかもしれないね。
おっと、これは君が聞きたがったから言っているだけだよ。だから僕が彼女に対してどうこう思っているなんて誤解はしないでほしい。
僕の目にうつるのはいつだって君だけなんだからね」
私は彼の言葉を素直に受け入れた。
彼は私の頬を撫でると、そこに優しくキスをした。
付き添いのメイドの咳払いに私たちは微笑みあって適切な距離を取り戻す。
それから、彼が続けた。
「うーん、それから頻繁に城に上がっていたのはもっと幼い頃のことだ。今はそれほどではないんじゃないかな。
王太子殿下の話を聞く限りでは陛下は姪としてとても可愛がっているが、王妃殿下はいとことはいえ年頃の娘と王子たちが親しげに付き合うことをあまりよく思われていないようだ。
まあ、それは僕たち王太子殿下の側近にしてもそうだしね。
僕らは特定の人間が殿下にあまり馴れ馴れしく近づきすぎないよう気を配るようにしている。
王太子殿下より自由にされている第二王子殿下はよく一緒にいるようだけど」
たしか、令嬢は第二王子よりも一つ下だと言ったと思うとアンソニーは付け加えた。
「そうなの……あら、だけど、少し年は離れているけれど、実家の勢力が強く、王家と縁のある愛らしい令嬢なら引く手あまたかもしれないわよね。特に、偶然だとしても頻繁に出会うような関係だと」
私の言葉にアンソニーは面白そうに笑った。
「嫉妬かい? 僕にはとびっきり美しい、愛しい恋人がいるんだから他の令嬢なんて目に入らないよ」
「本当に?」
「本当だよ。信じないの?」
「信じているわ」
「愛しているよ僕のジェシー。ああ、早く皆に君は僕のものだと正式に発表したいな。
僕だって君のことを信じているけれど、君のことを狙ってる男は山ほどいるから心配なんだよ。他の誰にも目を向けたりしないで」
アンソニーの言葉に今度は私が微笑んだ。
「それは私だって同じよ。愛しているわアンソニー。だから、貴方こそ他の人に目を奪われたりしないでね。そんなことになったら私、どうしていいかわからない」
「そんなことはないと誓うよ。愛してる、ジェシカ。僕には君だけだ」
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