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冷やしうどんを食べよう(前)
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(ん? セバス?)
目を覚ますと隣にセバスはいなかった。何時だと時間を見れば昼過ぎ……寝過ぎたようだ。
ベッドを抜けて裸のままリビングに行くと、セバスがキッチンで何か作っている。その後ろから近付き声をかけた。
「おはよう、なに作ってんだ?」
「お、おはようございます、レオール様」
裸でくっついてきた俺に驚いたようだ。そのままセバスにくっついて手元を見ると、大きめな鍋でうどんを茹でていた。
「その、うどん、どうしたんだ?」
「食堂でうどんの打ち方を習い、いま打ちました」
「それじゃ、昼食はサラダうどん?」
「いいえ、それも習いましたが。いまからお作りするのは冷やしうどんです。レオール様、お風呂の準備が終わっていますので、ごゆっくりお入りください」
「ありがとう、入ってくるよ」
+
風呂から出るとリビングの食卓には、冷えた果実水と冷やしうどんが出来ていた。
「ダシのいい香り、美味そうだな」
「あ、レオール様。服を着てから食卓に座ってください!」
下着姿で食卓に座ろうとした俺を注意して。近くにアイロンされたアロハシャツと半ズボンを持ってきた。ここでの洗濯は全てモードラークリーニング店がやってくれる。専用の箱に朝出せば夜には綺麗に仕上げて持ってくる。なんとも便利だ。
「腹減った、食べよう」
「はい」
ガラスの器に綺麗に盛り付けられた、冷やしうどん。
「セバス、このうどんの上にかかる、薄く、茶色いこれはなんだ?」
「これはハルトペスという1メートル級のモンスター魚を3枚におろして、熟成と乾燥をさせて薄く削ったハルトペス節だと聞きております。本来はカツオという魚で作るのですが、バルバロッサの国は生存していなかったようです」
「苦労して作られ物なんだな。だからか、噛めば噛むほど味わい深いな」
「他の料理のダシ取りにも使われておりますよ」
「俺たちの食事には多くの、人の手によって作られているんだな。だから美味いんだな。昨日のサラダうどんにかかっていたマヨネーズも好きだ」
「私もマヨネーズは好きです。今度一緒に手作りしてみますか?」
「手作りか、いいな。今度一緒にサラダうどんを作ろう」
「はい、かしこまりました」
セバスが調理した冷やしうどんは、ハルトペス節と大根おろし、温泉卵がのり、ダシもハルトペス節がきいていて美味かった。
「レオール様、食後にフルーツを食べますか?」
「あぁ、いただくよ。林檎か苺がいいな、ある?」
「はい、今朝、近くのビニールハウスで苺とスイカ。果樹園からは林檎、梨などが届きました」
「梨もあるのか、それも食べる」
+
いつもより遅く始まった執務。送られてきた書類に魔力を使用してた、ビニールハウスで作られるじゃがいも、さつまいもなどの野菜、果物は隣国でも人気とのこと。
(食料は各隣国にも行き渡り。人々は3食、食べるのが当たり前となり、いまでは食糧難がない)
他にもパン、ケーキ、麺類などの小麦粉料理の発案。この国、隣国にはびこる危険なモンスターの討伐、その肉を食料に変える技術。
(隣国にも恋愛物の小説、漫画の他に『保存食の作り方』『初めてのモンスター料理入門』『初心者でも捌けるモンスター肉』など本が多く出版されている)
我が国。バルバロッサに隣接するのはジェダ王子の国と残り2つの国とは仲が良い。前国王時代は戦争、国境などの警備強化などがしばしば行われていたが。父上の時代となったいま隣国との交易が上手くいき、ここ10年以上は戦争は起こっていない。
(次の国王となる俺はこの平和を、引き継がなければならない)
「レオール様、アップルティーです」
コトっと執務机に、いれたてのアップティーが置かれた。
「セバス?」
「なにやら、その書類を見て考え事をされているようでしたので、甘いもので一息ついてください」
「ありがとう、落ち着く香りと甘さだな」
(気がきく側近……俺にだけ甘い、俺だけの者)
セバス、モードラー公爵、父上、母上、弟アーサー、妹ミッシェル、俺の周りには頼もしい者ばかり。
(俺だけが道を外さなければ、この国は平和を保つ)
セバスが入れてくれた、アップルティーで心が落ち着き、その後の執務がはかどった。
「ふわぁ、書類整理が終わった……夕食まで時間があるな仮眠するか。セバスは俺の抱き枕な」
「私もですか?」
驚いた顔をした。
「嫌なのか?」
「あ、いえ……」
躊躇するセバス。まさか俺の足に我慢できなくなった、己の杭を擦り寄せたことを気にしているのか。
(あれは可愛いだけだ)
「すり寄りたければ、いくらでも遠慮せずに擦り寄ればいい」
「……レオール様」
セバスの顎を持ち上げキスを落とす。少し頬を赤らめて、セバスは嬉しそうにはにかんだ。
その後。2人揃って夕食に呼ばれるまでぐっすり眠ったよ。
+
「よく寝た。抱き心地の良い、抱き枕がよかったんだな。セバスも気持ちよさそうに寝ていたな」
ちょっと、からかっただけなのに。しゅんとするセバス。
「すみません、いつもならレオール様が目覚める前に目が覚めるのに……」
「ははっ、責めてはいない。可愛い寝顔だった……欲情して、抱きたくなったよ」
腰を引き寄せて耳元で囁くと、ぽっと頬を赤らめたセバス。
(あーやべっ、今晩も辛抱できないかもな)
目を覚ますと隣にセバスはいなかった。何時だと時間を見れば昼過ぎ……寝過ぎたようだ。
ベッドを抜けて裸のままリビングに行くと、セバスがキッチンで何か作っている。その後ろから近付き声をかけた。
「おはよう、なに作ってんだ?」
「お、おはようございます、レオール様」
裸でくっついてきた俺に驚いたようだ。そのままセバスにくっついて手元を見ると、大きめな鍋でうどんを茹でていた。
「その、うどん、どうしたんだ?」
「食堂でうどんの打ち方を習い、いま打ちました」
「それじゃ、昼食はサラダうどん?」
「いいえ、それも習いましたが。いまからお作りするのは冷やしうどんです。レオール様、お風呂の準備が終わっていますので、ごゆっくりお入りください」
「ありがとう、入ってくるよ」
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風呂から出るとリビングの食卓には、冷えた果実水と冷やしうどんが出来ていた。
「ダシのいい香り、美味そうだな」
「あ、レオール様。服を着てから食卓に座ってください!」
下着姿で食卓に座ろうとした俺を注意して。近くにアイロンされたアロハシャツと半ズボンを持ってきた。ここでの洗濯は全てモードラークリーニング店がやってくれる。専用の箱に朝出せば夜には綺麗に仕上げて持ってくる。なんとも便利だ。
「腹減った、食べよう」
「はい」
ガラスの器に綺麗に盛り付けられた、冷やしうどん。
「セバス、このうどんの上にかかる、薄く、茶色いこれはなんだ?」
「これはハルトペスという1メートル級のモンスター魚を3枚におろして、熟成と乾燥をさせて薄く削ったハルトペス節だと聞きております。本来はカツオという魚で作るのですが、バルバロッサの国は生存していなかったようです」
「苦労して作られ物なんだな。だからか、噛めば噛むほど味わい深いな」
「他の料理のダシ取りにも使われておりますよ」
「俺たちの食事には多くの、人の手によって作られているんだな。だから美味いんだな。昨日のサラダうどんにかかっていたマヨネーズも好きだ」
「私もマヨネーズは好きです。今度一緒に手作りしてみますか?」
「手作りか、いいな。今度一緒にサラダうどんを作ろう」
「はい、かしこまりました」
セバスが調理した冷やしうどんは、ハルトペス節と大根おろし、温泉卵がのり、ダシもハルトペス節がきいていて美味かった。
「レオール様、食後にフルーツを食べますか?」
「あぁ、いただくよ。林檎か苺がいいな、ある?」
「はい、今朝、近くのビニールハウスで苺とスイカ。果樹園からは林檎、梨などが届きました」
「梨もあるのか、それも食べる」
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いつもより遅く始まった執務。送られてきた書類に魔力を使用してた、ビニールハウスで作られるじゃがいも、さつまいもなどの野菜、果物は隣国でも人気とのこと。
(食料は各隣国にも行き渡り。人々は3食、食べるのが当たり前となり、いまでは食糧難がない)
他にもパン、ケーキ、麺類などの小麦粉料理の発案。この国、隣国にはびこる危険なモンスターの討伐、その肉を食料に変える技術。
(隣国にも恋愛物の小説、漫画の他に『保存食の作り方』『初めてのモンスター料理入門』『初心者でも捌けるモンスター肉』など本が多く出版されている)
我が国。バルバロッサに隣接するのはジェダ王子の国と残り2つの国とは仲が良い。前国王時代は戦争、国境などの警備強化などがしばしば行われていたが。父上の時代となったいま隣国との交易が上手くいき、ここ10年以上は戦争は起こっていない。
(次の国王となる俺はこの平和を、引き継がなければならない)
「レオール様、アップルティーです」
コトっと執務机に、いれたてのアップティーが置かれた。
「セバス?」
「なにやら、その書類を見て考え事をされているようでしたので、甘いもので一息ついてください」
「ありがとう、落ち着く香りと甘さだな」
(気がきく側近……俺にだけ甘い、俺だけの者)
セバス、モードラー公爵、父上、母上、弟アーサー、妹ミッシェル、俺の周りには頼もしい者ばかり。
(俺だけが道を外さなければ、この国は平和を保つ)
セバスが入れてくれた、アップルティーで心が落ち着き、その後の執務がはかどった。
「ふわぁ、書類整理が終わった……夕食まで時間があるな仮眠するか。セバスは俺の抱き枕な」
「私もですか?」
驚いた顔をした。
「嫌なのか?」
「あ、いえ……」
躊躇するセバス。まさか俺の足に我慢できなくなった、己の杭を擦り寄せたことを気にしているのか。
(あれは可愛いだけだ)
「すり寄りたければ、いくらでも遠慮せずに擦り寄ればいい」
「……レオール様」
セバスの顎を持ち上げキスを落とす。少し頬を赤らめて、セバスは嬉しそうにはにかんだ。
その後。2人揃って夕食に呼ばれるまでぐっすり眠ったよ。
+
「よく寝た。抱き心地の良い、抱き枕がよかったんだな。セバスも気持ちよさそうに寝ていたな」
ちょっと、からかっただけなのに。しゅんとするセバス。
「すみません、いつもならレオール様が目覚める前に目が覚めるのに……」
「ははっ、責めてはいない。可愛い寝顔だった……欲情して、抱きたくなったよ」
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