35 / 52
縁日の夜(前)
しおりを挟む
毎年、五穀豊穣を祈る豊穣祭が近くの村で行われる。その祭りを行う為にモードラー公爵は個人で神様を祀る神社を国のあちこちに建造した。
その神社では豊穣の神を祀っているらしい。まだ俺は国王陛下に任せられていないから、詳しいことは紙面上でしか知らない。
(お正月には国民がお参りするんだよな)
そして、今日。祭りが開催されていることは知っている。村人たちは神輿というものを担ぎ村を回る。夜には盆踊りお踊り、食べ物などを売る出店が神社の周りに並ぶ。
村人、1人1人に代金の代わりに2000バル券が配布されると聞いた。
(その券は国民から納められた、税金から出されているんだよな)
人々はその券を持ち屋台で食べ物と交換する。前モードラー公爵は無料でと言ったが、前国王はそれでは、国民たちの物の価値が分からなくなる。
(モードラー公爵のおかげで、食べ物が安く手に入り、国民は困らなくなった)
2000バルの券を握り子供たちは友達と計算しながら、食べ物を交換したりゲームで遊んで学ぶのも楽しみだ、と前国王に言われて。前モードラー公爵は素晴らしいと手を叩き、絶賛したと父上に話を聞いた。
一屋台50バルから高くても200バル。皆は2000バルあれば、大人から子供まで腹いっぱい食べられるだろう。
メニューは、たこ焼き、モンスター焼き、リンゴ飴、イチゴ飴、綿菓子まだまだあるらしい。
(俺も行ってみたいが、セバスと2人で行けば目立つな)
行けない俺たちの為に別荘にも、出張屋台が毎年来てくれる。去年はたこ焼きと果実水の屋台だった。今年はどんな屋台が来るか楽しみだ。そして、祭りの終わりに夜空に上がる花火も楽しみの一つだ。
「レオール様、戻りました。食堂で空間魔法(ドーム)を覚えてきました」
「お疲れさん、セバス。魔力を使ったのだろう? ゆっくり休んでくれ……、……ん? どうした? セバス、何かあったのか?」
俺に何か言いたそうなセバス。
「それが、2人はさっそく別荘の庭にドームを作り、その中で……何かやっているようです」
(アーサー、はやいな)
「そうか、想定内だ」
体力が余り、やりたい盛りなのか。しかし、相手のリュートの体のケアー出来ているのだろうか? 無理をさせていないだろうな。
(……心配だな)
「セバス、アーサーの側近に体は平気かと聞いてやってくれ。あと何か悩みがないかも聞いてくれ」
「はい、昼食の後にでも聞いてみます」
「そうしてくれ、セバスも体調が悪い時には俺にすぐ言えよ」
「ありがとうございます、レオール様」
+
「リュート・いま話せますか。」
向こうも忙しくて、すぐに返事は返って来ないと思って。紙を見える位置に置き部屋のミニキッチンで、明日の果実水の仕込みを始めた。
(レオール様のお好きなオレンジの果実水と、苺の果実水を作りましょう)
美味いセバスと彼の喜ぶ顔を思い浮かべて、愛を込めて作る果実水。少し愛が重すぎでしょうか。
「いいえ、私の好きな人ですからいいんです」
明日のお昼はサラダと食べる、パンケーキを焼きましょうか? だとするとスープもいりますね。
「セバス兄・話ってなに?。」
リュートから返信が返ってきた。作ったばかりの果実水を冷やし庫にしまい、机に移動した。
「リュート・アーサー弟王子殿下との交接で疲れていないか、体は平気か聞いて欲しいと言われましたね。」
「セバス兄・レオール王太子殿下が? 俺を心配してくださった? セバス兄、体は平気だよ、それにアーサー様は前よりガツガツしなくなって優しいし、触り合いっこで終わる日もある。」
(2人の関係も変わった?)
「リュート・そうレオール様に伝えますね、他に悩み事もないか聞いておられました。」
「セバス兄・悩み事ですか……アーサー様に婚約者様ではなく、愛する、俺と一生暮らしたいと告白されました。」
(私と同様!)
「リュート・アーサー弟王子殿下はリュートを愛したのですね、この話は月末に屋敷に帰ったときに当主に相談いたしましょう。」
「セバス兄・俺はアーサー様と婚約者様が結婚しても……最後まで尽くそうと決めていた、なのに、アーサー様に告白されてその気持ちが揺らぎ、アーサー様の全てが欲しくなった。」
「リュート・私と同じですね、私もレオール様の全てが欲しい、王族に支えるだけで幸せなのに私たちは欲張りですね。」
「セバス兄・欲張りか……そうだな、俺とセバス兄は欲張りだ。」
アーサー弟王子殿下に呼ばれたからと、リュートとの話は終わった。
その神社では豊穣の神を祀っているらしい。まだ俺は国王陛下に任せられていないから、詳しいことは紙面上でしか知らない。
(お正月には国民がお参りするんだよな)
そして、今日。祭りが開催されていることは知っている。村人たちは神輿というものを担ぎ村を回る。夜には盆踊りお踊り、食べ物などを売る出店が神社の周りに並ぶ。
村人、1人1人に代金の代わりに2000バル券が配布されると聞いた。
(その券は国民から納められた、税金から出されているんだよな)
人々はその券を持ち屋台で食べ物と交換する。前モードラー公爵は無料でと言ったが、前国王はそれでは、国民たちの物の価値が分からなくなる。
(モードラー公爵のおかげで、食べ物が安く手に入り、国民は困らなくなった)
2000バルの券を握り子供たちは友達と計算しながら、食べ物を交換したりゲームで遊んで学ぶのも楽しみだ、と前国王に言われて。前モードラー公爵は素晴らしいと手を叩き、絶賛したと父上に話を聞いた。
一屋台50バルから高くても200バル。皆は2000バルあれば、大人から子供まで腹いっぱい食べられるだろう。
メニューは、たこ焼き、モンスター焼き、リンゴ飴、イチゴ飴、綿菓子まだまだあるらしい。
(俺も行ってみたいが、セバスと2人で行けば目立つな)
行けない俺たちの為に別荘にも、出張屋台が毎年来てくれる。去年はたこ焼きと果実水の屋台だった。今年はどんな屋台が来るか楽しみだ。そして、祭りの終わりに夜空に上がる花火も楽しみの一つだ。
「レオール様、戻りました。食堂で空間魔法(ドーム)を覚えてきました」
「お疲れさん、セバス。魔力を使ったのだろう? ゆっくり休んでくれ……、……ん? どうした? セバス、何かあったのか?」
俺に何か言いたそうなセバス。
「それが、2人はさっそく別荘の庭にドームを作り、その中で……何かやっているようです」
(アーサー、はやいな)
「そうか、想定内だ」
体力が余り、やりたい盛りなのか。しかし、相手のリュートの体のケアー出来ているのだろうか? 無理をさせていないだろうな。
(……心配だな)
「セバス、アーサーの側近に体は平気かと聞いてやってくれ。あと何か悩みがないかも聞いてくれ」
「はい、昼食の後にでも聞いてみます」
「そうしてくれ、セバスも体調が悪い時には俺にすぐ言えよ」
「ありがとうございます、レオール様」
+
「リュート・いま話せますか。」
向こうも忙しくて、すぐに返事は返って来ないと思って。紙を見える位置に置き部屋のミニキッチンで、明日の果実水の仕込みを始めた。
(レオール様のお好きなオレンジの果実水と、苺の果実水を作りましょう)
美味いセバスと彼の喜ぶ顔を思い浮かべて、愛を込めて作る果実水。少し愛が重すぎでしょうか。
「いいえ、私の好きな人ですからいいんです」
明日のお昼はサラダと食べる、パンケーキを焼きましょうか? だとするとスープもいりますね。
「セバス兄・話ってなに?。」
リュートから返信が返ってきた。作ったばかりの果実水を冷やし庫にしまい、机に移動した。
「リュート・アーサー弟王子殿下との交接で疲れていないか、体は平気か聞いて欲しいと言われましたね。」
「セバス兄・レオール王太子殿下が? 俺を心配してくださった? セバス兄、体は平気だよ、それにアーサー様は前よりガツガツしなくなって優しいし、触り合いっこで終わる日もある。」
(2人の関係も変わった?)
「リュート・そうレオール様に伝えますね、他に悩み事もないか聞いておられました。」
「セバス兄・悩み事ですか……アーサー様に婚約者様ではなく、愛する、俺と一生暮らしたいと告白されました。」
(私と同様!)
「リュート・アーサー弟王子殿下はリュートを愛したのですね、この話は月末に屋敷に帰ったときに当主に相談いたしましょう。」
「セバス兄・俺はアーサー様と婚約者様が結婚しても……最後まで尽くそうと決めていた、なのに、アーサー様に告白されてその気持ちが揺らぎ、アーサー様の全てが欲しくなった。」
「リュート・私と同じですね、私もレオール様の全てが欲しい、王族に支えるだけで幸せなのに私たちは欲張りですね。」
「セバス兄・欲張りか……そうだな、俺とセバス兄は欲張りだ。」
アーサー弟王子殿下に呼ばれたからと、リュートとの話は終わった。
0
あなたにおすすめの小説
禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる