王子とヒロインに騙された私を救ったのは、優しいもふもふの王子様でした。

にのまえ

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 リュート様が留学して三ヶ月。彼と毎日、楽しくお菓子作りをしている。
 彼の好きな、食べ物にお菓子も覚えた。


 しかし、今日は憂鬱だわ。ふぅっ、ため息しかでない。


「胸元を測りますので、両手をあげてください」
「これでいいかしら?」

 学園の後、王城に呼ばれて出向いた。
 理由は一週間後に行われる、殿下の誕生祭の舞踏会のドレスの採寸に髪型、化粧などを決めだ。

 一応は、婚約者だからと来たけど。あー早く帰って、リュート様とお菓子作りをしたい。
 今日はカップケーキを作ろうと、話しをしていたのに。


「リリア様、採寸が終わりました」
「終わった? もう用がないのでしたら、帰っていいかしら?」


 髪型も化粧も決めたから、今から帰って、リュート様と一緒に過ごせる。


「あのリリア様。先程からレーオン王子が庭園にて、お待ちになっております」


 えーレーオン殿下が庭園に、待たなくていいのに。


 メイドに付いて庭園に行くと、バラ園の真ん中に、パラソル付きのテーブルにレーオン殿下がいた。

「レーオン王子、リリア様をお連れしました」

 メイドは一礼して下がると、他のメイドがカートを引きやって来て、お茶の準備が始まった。

「久しぶりだな、リリア嬢」
「そうですわね」

「なんだ? ご機嫌斜めだな、まあいい」


 メイドに椅子を引かれて反対側に座っても、話す会話もなく退屈なお茶会。

 よく考えてみれば、殿下の趣味と好きなものを知らない。
 あのことがある前までは、側に入れるだけで舞い上がり、触れられるだけで幸せに浸っていた。


 もうあの頃は戻ってこないけど。


 ただ時間だけが過ぎる、他愛もない会話をして。


「リリア嬢、誕生会はよろしく頼むよ」
「かしこまりました、殿下」


 彼は私を誕生会の舞踏会で、エスコートすると言い帰っていかれた。

 
 屋敷に戻り、リュート様とお菓子作りをして、癒された。


 ♢


 そして、レーオン殿下の誕生会の日。
 あぁ、やはり私をからかったのですね。メイドに案内をされた控室から、私の着るはずのドレスを着て現れたララーナさん。


「あなたよりも、私の方がこのドレス似合うわね、レーオン様もそう仰ってくれたわ」
「あぁ、似合っているよ、ララーナ嬢」

 同じ控室から出てきたレーオン殿下は笑い、ララーナさんの腰を引き寄せた。

 また、前の様に無様に泣いて、倒れるとでも思ったのかしら……ご期待に添えませんわ。


「レーオン殿下、私は必要なさそうですね」


 二人に会釈をして踵を返した。

 
 悲しい気持ちなんてない、胸がムカムカして腹ただしい。

「どうせ最後に婚約破棄するから、悪役令嬢には何をしてもいいとでも思っているの?」

 貴方達、二人は私の無様な姿を見いだけ。

 ただそれだけ。


 もー私が何したのよ……私はレーオン殿下に恋をしていただけなのに、何もしてないわ。


 泣かないと唇を噛んだけど、あの人達の思惑通りポロッと涙が落ちる。


 声を出さず泣いていた。その、足の止めた部屋の扉が開く。

 泣いているところを見られると、構えた。


「いたいた、リリア嬢。こっち、こっち来て」
「リュート様?」
 
 その部屋からはリュート様が顔を出した。
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