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十四
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恥ずかしいけど彼を求めてしまう。
リュート様の私の呼び名が、屋敷の中だけリリアに変わった。
「リリア、今日は何を作る?」
彼に呼ばれるたびに心が躍る。
それに、あの時の香りが忘れれず、私はそれを求めて、夜に彼の部屋に訪れてしまう。
まだ、王子の婚約者の立場なのに。
私の専属のメイドカーリー、屋敷のみんなだって、気付いていても何も言わず温かく見守ってくれてる。
「リュート様、お父様から手紙が返ってきました」
リュート様と庭先のテーブルで、その届いた手紙を開いた。
「リリア、その話はまだ出来ない。一緒に同封した紙の右下に、一枚はリリアお前の名前と判、もう一枚にはリュート王子とリリアお前の名前と、判を押して送り返してくれ、悪いようにはしない。しばし待ってくれ」
手紙と一緒に入っていた、何も書いていない羊皮紙、二枚。リュート様はそれを手に取り。
「この羊皮紙の右下に、名前と判を押せばいいのか?」
「そうお父様の手紙には書いてありました」
お父様の言う通り、名前を書いて送り返した。
「リュート様、今日はスコーンを焼いて苺のジャムで食べましょう」
「いいね、焼こう」
お父様に送り返した手紙が何なのか、聞いてみたのだけど、詳しい話は教えてはくれない。
『悪いようにはならない』
お父様はそうおっしゃっただけだった。
その日は満月の夜だった。
薔薇の見頃が終えた庭の薔薇が、一夜の間に満開に咲いたのだ。
「見頃が終わったのに、何故かしら?」
「そうだね……リリア、どこか体に変化はないかい?」
「ありませんけど?」
リュート様は何か知っているのか、考えるそぶりを見せた。
♢
満月の夜。
薔薇を咲かせたのはリリアだ。彼女は精霊獣なのかもしれない。
夜遅く足音に目を覚ました。
「リリア?」
夜になると、たびたび俺の部屋に照れながら、訪れる彼女。
この日は違った、満月の光りの下で彼女は銀色に輝く耳に尻尾をなびかせて、庭先で歌をっていた。
彼女が踊り、歌うたびに、季節外れの薔薇が庭に咲いて行く。
それは父上や母上から聞いた、言い伝えではなく、実際に僕の目の前で起こっている。
なんで綺麗なんだ。
「リリア……君を」
僕は守らなくてはならない。
彼女が精霊獣だと知られたら、この国だけでなく他国まで動き出す。
リリアはしばらく歌い、躍ると、眠るように、その場にパタリと倒れた。
僕はその場に走り彼女を抱き抱えた。
愛しい僕の番さん。
次の日僕のベッドの中で目覚めた、彼女は驚きを隠せないでいた。
「どうしましょう、リュート様の香りを求めて無意識にここまできてしまうなんて、恥ずかしいわ」
なんて、可愛いこと言ったんだ。
リュート様の私の呼び名が、屋敷の中だけリリアに変わった。
「リリア、今日は何を作る?」
彼に呼ばれるたびに心が躍る。
それに、あの時の香りが忘れれず、私はそれを求めて、夜に彼の部屋に訪れてしまう。
まだ、王子の婚約者の立場なのに。
私の専属のメイドカーリー、屋敷のみんなだって、気付いていても何も言わず温かく見守ってくれてる。
「リュート様、お父様から手紙が返ってきました」
リュート様と庭先のテーブルで、その届いた手紙を開いた。
「リリア、その話はまだ出来ない。一緒に同封した紙の右下に、一枚はリリアお前の名前と判、もう一枚にはリュート王子とリリアお前の名前と、判を押して送り返してくれ、悪いようにはしない。しばし待ってくれ」
手紙と一緒に入っていた、何も書いていない羊皮紙、二枚。リュート様はそれを手に取り。
「この羊皮紙の右下に、名前と判を押せばいいのか?」
「そうお父様の手紙には書いてありました」
お父様の言う通り、名前を書いて送り返した。
「リュート様、今日はスコーンを焼いて苺のジャムで食べましょう」
「いいね、焼こう」
お父様に送り返した手紙が何なのか、聞いてみたのだけど、詳しい話は教えてはくれない。
『悪いようにはならない』
お父様はそうおっしゃっただけだった。
その日は満月の夜だった。
薔薇の見頃が終えた庭の薔薇が、一夜の間に満開に咲いたのだ。
「見頃が終わったのに、何故かしら?」
「そうだね……リリア、どこか体に変化はないかい?」
「ありませんけど?」
リュート様は何か知っているのか、考えるそぶりを見せた。
♢
満月の夜。
薔薇を咲かせたのはリリアだ。彼女は精霊獣なのかもしれない。
夜遅く足音に目を覚ました。
「リリア?」
夜になると、たびたび俺の部屋に照れながら、訪れる彼女。
この日は違った、満月の光りの下で彼女は銀色に輝く耳に尻尾をなびかせて、庭先で歌をっていた。
彼女が踊り、歌うたびに、季節外れの薔薇が庭に咲いて行く。
それは父上や母上から聞いた、言い伝えではなく、実際に僕の目の前で起こっている。
なんで綺麗なんだ。
「リリア……君を」
僕は守らなくてはならない。
彼女が精霊獣だと知られたら、この国だけでなく他国まで動き出す。
リリアはしばらく歌い、躍ると、眠るように、その場にパタリと倒れた。
僕はその場に走り彼女を抱き抱えた。
愛しい僕の番さん。
次の日僕のベッドの中で目覚めた、彼女は驚きを隠せないでいた。
「どうしましょう、リュート様の香りを求めて無意識にここまできてしまうなんて、恥ずかしいわ」
なんて、可愛いこと言ったんだ。
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