三十歳、アレだと魔法使いになれるはずが、異世界転生したら"イケメンエルフ"になりました。

にのまえ

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空森島

十一

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 帰る前にオッサンは王都で焼き鳥屋を始めてもいいかと俺に聞いた――俺はいいよとこたえた。いま王都では仕事がない者が増えてきたという。森に魔物が現れて住む場所を失い避難してきた者。または冒険者を夢みて王都にやって、夢破れた者もが盗賊、盗人になるそうだ――女性は歓楽街に行く者もいる。

 ギルドだって仕事がないわけではない。薬草集めから魔物の討伐まで数ある。しかし、夢見る若者は人気のある討伐の仕事ばかり受けて、薬草などの依頼を受けるものは少ないらしい。

 ――薬草集めもそれなりに稼げるから、俺だったら喜んで受けるけどな。

 力の丈にあわない討伐にでて、やられて、やる気をなくして盗賊、盗人になる若者がいる。それで話に上がったのが中央広場に屋台街を作り、彼らに仕事を斡旋してはどうかと話がでたらしい。クレープ、唐揚げ、ハンバーガー、ピザの話はでていて、それに焼き鳥も加わる。

(この話をしたのが。いま十歳になったばかりの、王子だったいうから驚いた――カンペキ転生者だな)

 それだけでは終わらず。空いた土地にアパートまで建てるとも言っていたから、周りは驚くどころか、さすが勇者の末裔だと賞賛したとか。来るものあればでていく者もいる。空いた土地にアパートを作るのは賛成だな。



 この日の俺は――魔王からの攻撃に耐えて、疲れた体を月明かりとライトの魔法で照らし、露天風呂で癒していた。そこに。いつもは俺しか使わない魔法陣に魔力の反応を感じた。

 ――こんな時間に誰かきた? 急用でサン先生でもきたのか?

 そんな事を考えて風呂に浸かっていた。タッタタ、先生らしかぬ足音が聞こえ、一人の綺麗な猫耳女性が薄着で現れたのだ。

「なっ! えっ、誰?」

「た、頼まれてあなたを癒しにきました……私のこと気にいったのでしょう?」

 あ――っ、まえに。そんなことサン先生に言ったな。

 でもそれは可愛いから会いたいと言っただけで。そんな薄着の格好で、会いたいなんて言っていないし。俺は女性とその二人きりとか、その、心の準備ができていない。

「私、初めてなので、優しくしてください!」

 その猫耳の子は真っ赤な顎をして、耳と尻尾はペタンとたれている。ここに無理矢理連れてこられたのか?

「ま、まって、俺」

 慌てて立ちあがった。その俺の姿をみて固まる彼女――しまった、風呂に浸かっていたから裸だ。視線が下をみた……比べたことはないが、そんなに小さくはないと思う。

「ああ、妹に会うため!」

「えっ!」

 そんなことを叫んで俺に飛びついてきた。抱き止めはいいが、俺は魔導師で体力がない。魔法でどうにか体を支えたが――ザバッと露天風呂に浸かった。

 ほどよい彼女の胸が俺の薄い胸板に……ヤベッ、気持ちいい、じゃない!

「大丈夫か? 怪我していない?」

「はい、あなたこそ……」

 月夜とライトの灯りに照らされた白い髪と耳、濡れて体の線――と尻尾。だ、ダメだろう! こんな綺麗な子を年頃の俺のところに送ってくるなんて、サン先生のいつもの意地悪だな。

「きゃっ、あ!」

 彼女が何かに気付き叫ぶ。
 そうだ、元気になったさ!

「これは、あなたが綺麗で可愛いから……そ、その、生理現象です。やましい気持ちはあるが、これは違うから! ごめん、タオル持ってくる」

 俺は一目さんに露天風呂からでて、部屋に飛びはいった。
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