神様のあったかご飯。

にのまえ

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妖狐のシロウさん

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 半年前の神ラインで。

「九よ、そっちに古からの友、妖狐のシロウが行く。なんでも不動産屋を営んでいるらしくてな、忙しい奴だからいつ行くか分からん。来たら、店の話をしなさい」

 大神様が話した。

「ありがとうございます」

 とまぁ、いつ来るかわからない妖狐さんを、まだかなまだかなと待っている。花シゲが店仕舞いをしてから半年以上経っていた。

 ⭐︎

 僕が、花シゲの賄いをもらっていたのは一年くらい。シゲさんとお花さんはたくさんの、あったかい料理を僕に食べさせてくれた。

「それで、あの店が欲しいのですね」

「うん……そうだけど、僕にはお金がありません」

 大神様の友達、知り合いだったと言っていたかな、妖狐のシロウさんが神社へと来てくれた。

 整えられた茶色い髪と細い琥珀色の目、グレー色のスーツと鞄、彼は人に紛れて暮らすキツネの妖怪で不動産屋を経営していてかなり忙しいみたい。今日はそのなか、僕の願いのために時間を作って会いに来てくれた。

「大丈夫ですよ。あなたは神様ですので、人間のお代は結構です。あなたからは毎月、決まった神力をいただきます」

「僕の神力? 神様の力? シロウさんは妖狐、妖怪だったよね、神力を何に使うの?」

「ふふふ、いろいろ使い道があるのですよ。使えそうな神様を神力で釣るとかね」

 細い目をさらに細めた。何故か、僕の尻尾がブルっと震えた気がした。しかし、神力を渡すには、僕より身長がある彼と体の一部をくっつける必要がある。おでこ? 口? 手、尻尾……かな。

(渡すなら、お互いの尻尾をくるんと絡ませる、やり方がいいかなぁ?)

「それでシロウさん、僕の神力はいつ渡せばいいの?」

「九さんの神力ですか? まだ、あの物件は持ち主の方と交渉中ですので、いまはまだけっこうです。しばらくかかると思いまのでお待ちください」

「そうなんですか、わかりました」

 シロウさんは、あの土地の持ち主の方と話し合っていると言った。彼が出す値段が高ければ、それなりの神力を渡す必要があるだろう。まだ神様に戻ったばかりの僕に、渡せるだけの神力があるのかわからないけど。

 あの店が欲しいと願ったのだから、いまは不動産屋のシロウさんに頼むしかない。

 ブゥーブゥーとシロウさんのスマホが震える。画面を見た彼は「すみません」と少し離れた位置に移動して誰かと話している。それが終わると、こちらに来て微笑んだ。

「九さん、話はこれで終わりです。また会いましょう」
「は、はい、また会いましょう」

「では失礼します」

 彼は葛の葉の葉っぱを頭に乗せると、コンと姿を消した。一人になり、何もすることがない僕は石段の上に座って、もう開くことがない店を眺めた。

(はやく、シゲさんみたいに料理を早くやってみたいなぁ)

 まあ、それがどれだけ無謀だったと気付くのは、この話をしてから更に半年後だった。
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