神様のあったかご飯。

にのまえ

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妖狐のシロウ

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「腐れ神にならなかったとはいえ、九は昔のことは全て忘れてしまった」

 嘘だと思っていたが大神様の言う通り、九は俺のことを忘れて、ただの不動産屋だと思っていた。

 九に久しぶり会った帰り道、胸の奥がじんと痛んだ。俺のことをシロウさんだとか他人みたいに呼ぶあいつに、悲しいやら、虚しいやら……なんとも言えない気持ちが押し寄せる。

 数百年前まで、いつも一緒だったのに。
 一緒に馬鹿も、やってきたというのにな。

「長年の友を忘れ、腐れ神の一歩手前まで落ちていたとは……。あいつを、一人にするんじゃなかった」

 まだ妖狐だった頃。「昔の友と会ってくる」と俺がいない間に、誰にそそのかされたのか、数年ぶりに戻った俺に、あいつは笑って神になると言った。

「おい冗談を言うな。神になんて、なれるわけねぇだろう」
「ううん。なれる、なるよ。なれたら一人で、シロウを待たなくていい」

 まさか、札付きの妖怪だった九が、神になるなんて思いもしなかった。

「シロウ、僕は神になれたよ。僕はここに、この神社に居るから、たまには会いにきて」

「……わかった」

 って、放っておいたらこのザマだ。

 神力の使い道? 決まっている。
 ――また九が俺のことを忘れたとき、ぶん殴って思い出させるためだ。

 二度と忘れさせてやるものか。
 それに、今回はずっとそばにいる。

 ……だけど、本当に良かった。
 九、おかえり。

 あの店の店主達の温かい料理が、九に“自分は神だ”ってことを思い出させてくれた。感謝してもしきれない。

 店が閉まり落ち込むと思ったが、料理なんかやったことがない、おまえが料理すると言い出すとは。

「ククク、店に立つおまえから、どんなおもしろ料理が飛び出すか……いまから楽しみだ」
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