大学の図書館で手に取った本が何故か異世界への扉でした

山下レ央

文字の大きさ
18 / 24
第1章:エルフの国編

第17話 大和&ヴォルドVSナズエル&エルザ①

しおりを挟む
 大和が大広場に降り立つと、ナズエルが攻撃を仕掛けてくる。
 大和はその攻撃を上手く感覚で流しつつ、攻撃するタイミングを狙っている。

「守ってるだけじゃ面白くないわよ!燃え尽きなさい!焼死炎葬壊デスコンサート

 大和はナズエルが描いた魔法陣から出現した、銀色の炎に囲まれる。

「抜刀術・魔法物崩壊斬マジッククラッシュ!」
 
 大和はセーナを救った技で、魔法で創られた炎を消した・・・と思ったが、どういうわけか炎は消えることなく燃え盛っている。

「なんだこれ!?魔法で創られたんじゃないのか?」
 
「ははははは!残念だったな異世界人!この炎は魔法で妖魔界から呼び寄せたものだ。この世界の大気に反応して威力を増し、そして対象物を焼き尽くす。それに私の本来の姿でこの魔法を使った以上、お前に勝ち目はないのだよ」

(まじかよ・・・どうすりゃいいんだ?見た感じ5秒ごとに威力と範囲が上がってるみたいだな。幸い相手は俺を殺すつもりはないらしいから規模を抑えられてる気がするが、どっちにしろこのまま何もしなきゃ1分後にあの世行きだ・・・)

 大和は無言で周りを見回しながら解決策を考える。

「どうやら為す術もないようね。残念」

 ナズエルは勝ちを確信しているようだ。

「どうかしら?このまま私に大人しく着いて来るのなら、その炎を消して差しあげてもいいのよ?」

「へっ、誰がお前なんかに」

 大和とナズエルが話している間にも炎の威力と範囲は大きくなっていき、大和に少しづつダメージを与えていく。

(仕方ない。さっきみたいに魔法を即興で創るしかないな)

「あら?まさかこの炎から逃げられるとでも思っているのかしら?」

 ナズエルは大和を嘲笑あざわらうかのように言うが、大和は自信に満ちているように笑い返す。

「当たり前だろ?今からやってやるよ」

 大和はイメージを頭の中で整理し、帝王眼エンペラーアイで魔法の構成を確認する。
 そして大和は剣を握りしめ、水属性と破壊属性の魔力を纏わせる。

散水壊転斬スプリンクラー!!」

 大和が剣を振ると、紺色の水が散水される。
 そしてその散水された水をは銀色の炎を消し去ったのだった。

「馬鹿な!?妖魔界の炎が消えただと!?」

「消してねーよ!炎の構造そのものを破壊しただけだ!食らいやがれ!壊転死滅脚かいてんしめつきゃく

 ナズエルは驚いていたようだが、そんなこととは関係なく大和の蹴り技を食らい、大広場の地面を転がるように飛ばされた。 

(やったか!?)

 大和は蹴り飛ばしたナズエルを観察している。

「・・・貴様ぁぁああ!もう許さんぞ!この私に恥をかかせやがって!」

(まあこれくらいじゃ死なないよね)

 大和がそんなことを考えていると、後ろから女性の声が聞こえた。

「あらナズエル、どうしたのかしら?みっともない姿を晒して」

「誰だ!!」

 大和が振り返ると、そこにはナズエルと同族と思われる女性が立っていた。

「エルザは黙ってろ!でないとお前も殺すぞ!」

「わー怖い怖い。でも目の前の異世界人に勝てもしないのに私に勝てるのかしら?そんなことよりさっさとそいつとっ捕まえるわよ。ただでさえ暗殺失敗してるんだからこっちの方は成功しておかないと」

「わかった・・・そういえばヴェルジオはどうした?」

「ヴェルジオのバカは今王室特殊兵団スターライツ3番隊隊長に足止め食らってるわよ。そんなことはいいからさっさとやるわよ」

(他にも仲間がいるのか!?でもジェイルさんが足止めしてくれてるのか。なら少し安心な気がするが今絶望的なのは俺の状況だ。ナズエル1人でもキツそうなのにそれより強そうなやつが来ちまった・・・どうするか・・・)

 大和がそんなことを考えている隙に、エルザが襲いかかってくる。

「何ボーッとしてんのよ?雷魔電光殺サンダーキリング

「しまった!」

 銀色の稲妻が大和の方へ向かってくる。

(クソ!防御魔法が間に合わない!)

 今度こそ為す術がないと思ったその時、大和に心強い助けが入る。

「シャーリス剣術・導雷どうらい!!」

 大和が上を見ると、ヴォルドが剣を抜き、エルザが放った雷をその剣で吸収し、剣をさやに収める。

「抜刀術・雷返かみなりがえしし!」

 そして今度は剣を抜き、吸収した雷をそのままエルザに放ったのだ。
 ヴォルドが雷を放った次の瞬間、大広場一体で爆発が起きた。

「大和!大丈夫か!?」

「はい、ですが危なかったので助かりました。ありがとうございます」

「無事なら問題ない。それよりこいつらか?セーナ様を暗殺しようとしたのは」

「はい、間違いありません。実行したのはナズエルというやつですが、今雷を放ったエルザとかいう奴も仲間みたいです」

「そうか、わかった。俺はとりあえずエルザの方をやるからお前はナズエルを頼んだ。もし可能ならでいいが、生かして捕らえて欲しい。あいつは暗殺を失敗したとはいえは実行犯だからな。ただあまり無理はするな?わかったか?」

「了解です。ヴォルド隊長もお気をつけて」

「ああ、心配すんな。じゃあいくぞ!」

 ヴォルドの掛け声と共に、2人はそれぞれ戦う相手に向かっていく。
 大和VSナズエル、ヴォルドVSエルザが開戦した。

□□□□□

「あら?あなたは確か、王室特殊兵団スターライツの1番隊長のヴォルド・ハイツじゃないかしら?」

「さあな?戦ってみたらわかるんじゃないか?」

「ふふふ、面白い事を言うのねとにかく、私たちの邪魔をするなら容赦しないわよ!焼死炎葬壊デスコンサート

 エルザはナズエルが大和に使った魔法と同じものをヴォルドに放つ。
 ただやはり、ナズエルが大和に使ったのは、初めから威力と範囲を抑えたものであった。
 今エルザがヴォルドに放ったものは、ナズエルの4倍以上の威力と範囲だ。

「さて、あなたはどうするかしら?」

 エルザはヴォルドを挑発する。
 しかしヴォルドはその挑発を全く気にせず、冷静に対処した。

「シャーリス剣術・導炎どうえん

 ヴォルドは先程雷を吸収したのと同じように炎を吸収してみせ、剣を鞘に収める。

「抜刀術・炎返ほのおがえし」

 そしてヴォルドは雷を返したのと同じように炎を放つ。

 エルザは予想してたのか、難なくその炎をかわした。

「あら、やるじゃない。さすがは隊長格といったところかしら?でもさっきの雷を吸収して返したのと同じ原理なら効かないわよ?」

「ならこれはどうだ?」

 ヴォルドはそう言うと、抜刀術で抜いた剣を鞘に収める。
 そして何故か地面に座り込んだのだ。

「あなた・・・何するつもり?」

 エルザは突然座りだしたヴォルドに警戒心を抱きつつ、ヴォルドの攻撃を迎え撃つ用意をする。

「居合術・連昇大風斬コンテライズタイフーン!」

 ヴォルドは体中に風属性魔法をまとわせ、鞘から剣を抜いて、一瞬のうちにエルザを斬りつける。
 
「あら?なにかしたかし・・・ら!?」

 エルザはヴォルドの一瞬の斬撃を確認することが出来なかったようで、エルザの体中から血が吹き出し、地面に倒れ込む。

「貴様・・・なにをした・・・」

 エルザは悔しそうにヴォルドを睨んでいる。

「知るか、自分で考えるんだな」

 ヴォルドはエルザに冷酷に言い放つ。
 エルザはヴォルドになにか言い返したそうにこちらを睨み、口をパクパクとさせているが、力尽きたのか、もうエルザの動きは止まっていた。

「悪いな。最初の技を見た時、お前の生け捕りは困難と判断した。まあお前は実行犯じゃないし、元々生け捕りにする程ではなかったがな」

 ヴォルドはそう言うと、まだナズエル
との戦闘が続いている大和の方を見る。
 手助けをしてやろうと思ったが、その必要はなさそうだった。

「もうそろそろ終わりそうだな」

 ヴォルドはそう言うと、エルザの死体を見張りつつ、新たな敵が来ないか辺りを見張っておくことにしたのだ。
 
 

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...