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第1章
第9話
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……まるで今まではしっかりしていなかったみたいに思われていた事はちょっと傷ついたけど。
「はい! そういう雑談は後にしてさっさとノートに写しなさいよ!」
「はぁ~い……」
そうして、リリーに見せられたノートの内容を確認……する。……これってつまり、どういう授業をしていたのか? びっしりと並んだ文字列に私は理解が追い付かなかった。……それもそうだ。順番にやっていくならともかく一年分の授業を実質飛ばして未来にやってきた現状の私からすれば、ノートの内容は来年にやる予定のものだ。
つまり……いきなり順序を無視して難しい問題を解こうとしている様な行動と大差がない。
「こ……これって一体……」
「嘘でしょ……? わからないの……?」
そりゃ中身が一年生の時の私ですし。
もちろん口に出して言う訳ない。真っ先に頭がおかしくなったと疑われる事しか想像ができない。
「はあ~、やっと授業終わったわー」
「本当に。なんか麻由美、去年の時とそんな変わらない感じがするわ」
ぎくっ。
「え、えぇ~そうかなあ?」
「そうよ。思えば今よりもっとずっとのほほんとしていたなぁ」
リリーにそう思われていたのか……私は戻ったらもう少ししっかりしていかないといけないかもとか内心考えていた。
とりあえず、ノートを写し終えたら間髪入れずに次の授業、次の授業……と本当に休む間もなく準備をするだけで精一杯だった私は全ての授業が終わるまでに、しっかりとした調査が行えなかった。
どうしよう、折角未来に飛んだのに目的を調査できないなんて……。
それに変に長居したら不自然さもどんどん出そうだし……この放課後を駆使して、しっかり調査を行わなければ!
「「きゃあああぁぁぁあぁ!!」」
そこに、突然悲鳴が響き渡ってきた。どっちかというと悲壮な感じというより興奮によって自然に発生した悲鳴って感じだけど。
「更に勢いが増しているわねーサッカー部も」
「ほ、本当にねえ」
なるほど。どうやら去年よりサッカー部の人気は上がっているという事なのか。私とリリーはサッカー部の所に集まっているファンクラブの皆さんの近くまで歩いていく。
「おぉー! 西城のサッカーの腕も更に磨きがかかっているんじゃない?」
「わっ、ホントだ!」
一年経っても相変わらず黄色い悲鳴を上げながらサッカー部の練習を見ているファンクラブの方々が見る方を向くと西城がシュートを決める所だった。
素人知識しかない私が見ても……そのシュートは直感で凄いと思うものだった。去年のものから更に成長している事を実感する!
凄いなあ……西城も一年経ったらちゃんと成長していっているんだなあ。
「いやあ、御伽さんと付き合ってから本当により強くなっていったわねえ」
「うんうん……ん?」
あれ? なんか、リリーが今とんでもない事を言い出した様な……。
「……待って、リリー。今なんて?」
「えっ? あんたも知ってるでしょ? 西城が御伽さんと付き合った事」
「……え?」
「え?」
その場の空気は、とても異様なものだった。
リリーは私の反応のおかしさで思考が止まり……私は、リリーが言い出した事実によって思考が止まった。
……西城が、付き合った……? それもあのサッカー部のマネージャーの子と?
嘘……でしょ?
「はい! そういう雑談は後にしてさっさとノートに写しなさいよ!」
「はぁ~い……」
そうして、リリーに見せられたノートの内容を確認……する。……これってつまり、どういう授業をしていたのか? びっしりと並んだ文字列に私は理解が追い付かなかった。……それもそうだ。順番にやっていくならともかく一年分の授業を実質飛ばして未来にやってきた現状の私からすれば、ノートの内容は来年にやる予定のものだ。
つまり……いきなり順序を無視して難しい問題を解こうとしている様な行動と大差がない。
「こ……これって一体……」
「嘘でしょ……? わからないの……?」
そりゃ中身が一年生の時の私ですし。
もちろん口に出して言う訳ない。真っ先に頭がおかしくなったと疑われる事しか想像ができない。
「はあ~、やっと授業終わったわー」
「本当に。なんか麻由美、去年の時とそんな変わらない感じがするわ」
ぎくっ。
「え、えぇ~そうかなあ?」
「そうよ。思えば今よりもっとずっとのほほんとしていたなぁ」
リリーにそう思われていたのか……私は戻ったらもう少ししっかりしていかないといけないかもとか内心考えていた。
とりあえず、ノートを写し終えたら間髪入れずに次の授業、次の授業……と本当に休む間もなく準備をするだけで精一杯だった私は全ての授業が終わるまでに、しっかりとした調査が行えなかった。
どうしよう、折角未来に飛んだのに目的を調査できないなんて……。
それに変に長居したら不自然さもどんどん出そうだし……この放課後を駆使して、しっかり調査を行わなければ!
「「きゃあああぁぁぁあぁ!!」」
そこに、突然悲鳴が響き渡ってきた。どっちかというと悲壮な感じというより興奮によって自然に発生した悲鳴って感じだけど。
「更に勢いが増しているわねーサッカー部も」
「ほ、本当にねえ」
なるほど。どうやら去年よりサッカー部の人気は上がっているという事なのか。私とリリーはサッカー部の所に集まっているファンクラブの皆さんの近くまで歩いていく。
「おぉー! 西城のサッカーの腕も更に磨きがかかっているんじゃない?」
「わっ、ホントだ!」
一年経っても相変わらず黄色い悲鳴を上げながらサッカー部の練習を見ているファンクラブの方々が見る方を向くと西城がシュートを決める所だった。
素人知識しかない私が見ても……そのシュートは直感で凄いと思うものだった。去年のものから更に成長している事を実感する!
凄いなあ……西城も一年経ったらちゃんと成長していっているんだなあ。
「いやあ、御伽さんと付き合ってから本当により強くなっていったわねえ」
「うんうん……ん?」
あれ? なんか、リリーが今とんでもない事を言い出した様な……。
「……待って、リリー。今なんて?」
「えっ? あんたも知ってるでしょ? 西城が御伽さんと付き合った事」
「……え?」
「え?」
その場の空気は、とても異様なものだった。
リリーは私の反応のおかしさで思考が止まり……私は、リリーが言い出した事実によって思考が止まった。
……西城が、付き合った……? それもあのサッカー部のマネージャーの子と?
嘘……でしょ?
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