17 / 41
第2章
第17話
しおりを挟む12
恐らく、今後発生するであろうトラブルの原因となるヒントを私は獲得する事が出来た訳だけど……。
「うーん……」
「麻由美、今朝はずっと悩んでない?」
「あ、そう? そうかな?」
「そうだって」
リリーに心配されるくらいには、私は頭を悩ませていた。
藍春が言っていた事を考えると、多分あれは八つ当たり……要は、あの出来事が原因で敵視したっていうよりはあれがきっかけで敵視を隠さなくなったという事、だよね……。
そうなると、少なくともあのトラブルさえ起こさなきゃ良いんだろうけど、どうなるんだろう……でも、これ以上の解決方法は現状思いつかない私には、やはり回避する様に働きかけなきゃいけない気もする。
一番は、変にギスギスとさせない方が私としても藍春としても身のためになるっていうのが……大きいかな。
「ちょっと麻由美ー。あんた、本当に珍しいくらい悩んでない?」
「あっ、そう? そうかな~?」
「そうだよ、北野さん本当に目に見えて悩んでいたし」
「きゃあぁ?!」
不意打ちの様に声を掛けられて私は悲鳴をあげる。
周囲の悲鳴がとても痛いが、一瞬で興味を失くした様に皆は元の動きに戻っていた。もう、通学路でこんな不意打ちはあんまりだって……。
「ほ、本当に何なのよ東谷ぁ~!」
「ごめんごめん。本当にビックリする程悩んでいたし」
「……いや、まあ東谷には同情するわ。いきなり過ぎて麻由美悲鳴あげちゃったけど」
「そこはごめんだってっ」
リリーと東谷が軽くやり取りをしている姿を見て私は完全に冷や汗をかいていた。本当に何で東谷が急にここで遭遇するのよぉ~?!
この時から東谷って変な奴だよね~みたいな話はあったけど、ここまで急に横やり入れてくる事なんて無かったからビックリするんだけど!
「とにかく! 東谷は急に声掛けするの禁止ね! 本当にビックリしたんだから!」
「ごめんごめん。次からは事前に声かけるよ。せめて挨拶とかね」
……本当に、東谷は飄々とした態度をその口調から示してきている。こいつぅ……本当にわかっているの?
「もう、でも級に話しかけてくるなんて珍しいじゃん」
「まあねえ。ちょっと気になる事があったし」
気になる事……?
「へえ、あんたが気になる事って相当珍しいんじゃない?」
リリーが東谷への関心を抱くような感想を抱いている。……この感想、なんかこいつは基本他の事を気にしないだろう、と思っていないと出てこないやつでは。
「おっ、南さんはこれがわかる?」
「いや自覚あったの?」
私は反射的にノリツッコミを入れる。まさかリリーの変な感想にのるとは。
「僕、ちょっと北野さんの困り方が不思議だなあって思ってさ……」
「えっ、そこまでなの?!」
「そう……だから、ちょっと聞きたいなって思ってさ」
何なのこいつ……でも、私一人じゃ解決できるかどうかわからないし……。
それに、こういう時こそ相談が必要になるとも思う。こういう他人に悩みを打ち明けるっていうのも青春体験としてはとっても良い感じがするし!
……あっ、でも具体的な話は伏せとこう。色々と説明がややこしいし。
「麻由美、やっぱり悩みあったの?」
リリーが心配そうに見つめてくる。
「あー……うん、そうかも。ちょっと気になる事があってさ」
とりあえずどこから話すべきか……手探りで具体的な情報、例えば藍春の名前とか出さずに私はここまでにあった事を二人に話す事にした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる