青春少女 北野麻由美はたった一度の青春を謳歌する

益木 永

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第2章

第17話

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12

 恐らく、今後発生するであろうトラブルの原因となるヒントを私は獲得する事が出来た訳だけど……。
「うーん……」
「麻由美、今朝はずっと悩んでない?」
「あ、そう? そうかな?」
「そうだって」
 リリーに心配されるくらいには、私は頭を悩ませていた。
 藍春が言っていた事を考えると、多分あれは八つ当たり……要は、あの出来事が原因で敵視したっていうよりはあれがきっかけで敵視を隠さなくなったという事、だよね……。
 そうなると、少なくともあのトラブルさえ起こさなきゃ良いんだろうけど、どうなるんだろう……でも、これ以上の解決方法は現状思いつかない私には、やはり回避する様に働きかけなきゃいけない気もする。
 一番は、変にギスギスとさせない方が私としても藍春としても身のためになるっていうのが……大きいかな。
「ちょっと麻由美ー。あんた、本当に珍しいくらい悩んでない?」
「あっ、そう? そうかな~?」
「そうだよ、北野さん本当に目に見えて悩んでいたし」
「きゃあぁ?!」
 不意打ちの様に声を掛けられて私は悲鳴をあげる。
 周囲の悲鳴がとても痛いが、一瞬で興味を失くした様に皆は元の動きに戻っていた。もう、通学路でこんな不意打ちはあんまりだって……。
「ほ、本当に何なのよ東谷ぁ~!」
「ごめんごめん。本当にビックリする程悩んでいたし」
「……いや、まあ東谷には同情するわ。いきなり過ぎて麻由美悲鳴あげちゃったけど」
「そこはごめんだってっ」
 リリーと東谷が軽くやり取りをしている姿を見て私は完全に冷や汗をかいていた。本当に何で東谷が急にここで遭遇するのよぉ~?!
 この時から東谷って変な奴だよね~みたいな話はあったけど、ここまで急に横やり入れてくる事なんて無かったからビックリするんだけど!
「とにかく! 東谷は急に声掛けするの禁止ね! 本当にビックリしたんだから!」
「ごめんごめん。次からは事前に声かけるよ。せめて挨拶とかね」
 ……本当に、東谷は飄々とした態度をその口調から示してきている。こいつぅ……本当にわかっているの?
「もう、でも級に話しかけてくるなんて珍しいじゃん」
「まあねえ。ちょっと気になる事があったし」
 気になる事……?
「へえ、あんたが気になる事って相当珍しいんじゃない?」
 リリーが東谷への関心を抱くような感想を抱いている。……この感想、なんかこいつは基本他の事を気にしないだろう、と思っていないと出てこないやつでは。
「おっ、南さんはこれがわかる?」
「いや自覚あったの?」
 私は反射的にノリツッコミを入れる。まさかリリーの変な感想にのるとは。
「僕、ちょっと北野さんの困り方が不思議だなあって思ってさ……」
「えっ、そこまでなの?!」
「そう……だから、ちょっと聞きたいなって思ってさ」
 何なのこいつ……でも、私一人じゃ解決できるかどうかわからないし……。
 それに、こういう時こそ相談が必要になるとも思う。こういう他人に悩みを打ち明けるっていうのも青春体験としてはとっても良い感じがするし!
 ……あっ、でも具体的な話は伏せとこう。色々と説明がややこしいし。
「麻由美、やっぱり悩みあったの?」
 リリーが心配そうに見つめてくる。
「あー……うん、そうかも。ちょっと気になる事があってさ」
 とりあえずどこから話すべきか……手探りで具体的な情報、例えば藍春の名前とか出さずに私はここまでにあった事を二人に話す事にした。
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