青春少女 北野麻由美はたった一度の青春を謳歌する

益木 永

文字の大きさ
18 / 41
第2章

第18話

しおりを挟む


「へ~、なるほどね……」
 具体的な情報を伏せて伝える事にしたものの、なんとか伝わったかも。
「……つまり、なんだかやっかみに来るやつがいてその人が嫉妬とかそういうのを理由にこっちにいちゃもん付けているかも……って感じかな?」
「そう! そういう感じ!」
「はー、高校生活いきなりそんな感じの奴に絡まれたの?」
「えっ……あ」
 そうだ。リリーは知る訳ないんだった。この時はまだ藍春に明確な敵意を向けられる前だからこんな感想になっても不思議ではない。
 予想外な反応に動転しちゃったけど、冷静に考えなおせばリリーがそんな反応になっても仕方ないんだ
「そ、そうなの。本当に困っちゃってさ」
「麻由美ぃ。そういうの、早めに相談するべきだって。だってそんな奴が何してくるかなんてわからないでしょ?」
 うっ、リリーの言う事もわかる。
 確かに、藍春が敵意を隠さなくなった要因の出来事だって私からすれば理由もなく急に怒鳴りつけてきたようなものだった。藍春が何故私にああいう視線を向けているか~という理由に関するヒントはわかったけど、それだけだ。
 きっかけが些細な事でも、相手から見れば些細じゃないって事なんだよね。
「確かに……そうかもしんないけど」
「まあ、言える事は」
 東谷がキリっとした真面目な表情に変わる。
 いつもは何だか考えている事が読めない飄々とした表情だなあ、と私は感想を持つがこの時の表情は本当に真面目な事を話そうとしているんだって私は思った。
「その人の事、刺激しない様に気を配る必要があるかもね」
「……刺激」
 東谷が言う事への心当たりはある。
 確かに、あれは私が無意識に藍春に刺激を与えてしまったのが原因だ。つまり、刺激を与えない様な立ち回りを私がするべきである事は、東谷が送るアドバイスとしてはとても現実的なものである。
 いくら私でもわかる。変に相手を刺激させない様に立ち回るのは必要だって。
 そして私はそれに関するヒントを持っているのだから、前の時と違って無意識に刺激を与える事はどうにか回避する事は可能だ。
「……よしっ!」
 私は両手で頬を軽くたたく。
 所謂、元気チャージってやつだ。
「ありがと東谷! 相談して良かったかも」
「そっか。お役に立てたなら、なにより」
 東谷もいつもの何考えているのかわからない顔に戻ったな~。リリーも「解決したっぽいじゃん」という軽い感想だった。まあ、そこまで深刻って訳じゃないしね……。それに、一応私は知れた事もあるし。
 一応、このアドバイスを元に出来る事は例の日に、私が藍春を刺激しない様に動ける事だっていう話だ。
 ここが一番肝心だなあ、と通学路のど真ん中で私は考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...