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第2章
第18話
しおりを挟む「へ~、なるほどね……」
具体的な情報を伏せて伝える事にしたものの、なんとか伝わったかも。
「……つまり、なんだかやっかみに来るやつがいてその人が嫉妬とかそういうのを理由にこっちにいちゃもん付けているかも……って感じかな?」
「そう! そういう感じ!」
「はー、高校生活いきなりそんな感じの奴に絡まれたの?」
「えっ……あ」
そうだ。リリーは知る訳ないんだった。この時はまだ藍春に明確な敵意を向けられる前だからこんな感想になっても不思議ではない。
予想外な反応に動転しちゃったけど、冷静に考えなおせばリリーがそんな反応になっても仕方ないんだ
「そ、そうなの。本当に困っちゃってさ」
「麻由美ぃ。そういうの、早めに相談するべきだって。だってそんな奴が何してくるかなんてわからないでしょ?」
うっ、リリーの言う事もわかる。
確かに、藍春が敵意を隠さなくなった要因の出来事だって私からすれば理由もなく急に怒鳴りつけてきたようなものだった。藍春が何故私にああいう視線を向けているか~という理由に関するヒントはわかったけど、それだけだ。
きっかけが些細な事でも、相手から見れば些細じゃないって事なんだよね。
「確かに……そうかもしんないけど」
「まあ、言える事は」
東谷がキリっとした真面目な表情に変わる。
いつもは何だか考えている事が読めない飄々とした表情だなあ、と私は感想を持つがこの時の表情は本当に真面目な事を話そうとしているんだって私は思った。
「その人の事、刺激しない様に気を配る必要があるかもね」
「……刺激」
東谷が言う事への心当たりはある。
確かに、あれは私が無意識に藍春に刺激を与えてしまったのが原因だ。つまり、刺激を与えない様な立ち回りを私がするべきである事は、東谷が送るアドバイスとしてはとても現実的なものである。
いくら私でもわかる。変に相手を刺激させない様に立ち回るのは必要だって。
そして私はそれに関するヒントを持っているのだから、前の時と違って無意識に刺激を与える事はどうにか回避する事は可能だ。
「……よしっ!」
私は両手で頬を軽くたたく。
所謂、元気チャージってやつだ。
「ありがと東谷! 相談して良かったかも」
「そっか。お役に立てたなら、なにより」
東谷もいつもの何考えているのかわからない顔に戻ったな~。リリーも「解決したっぽいじゃん」という軽い感想だった。まあ、そこまで深刻って訳じゃないしね……。それに、一応私は知れた事もあるし。
一応、このアドバイスを元に出来る事は例の日に、私が藍春を刺激しない様に動ける事だっていう話だ。
ここが一番肝心だなあ、と通学路のど真ん中で私は考えていた。
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