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第3章
第31話
しおりを挟む正直な所、この間の話し合い……要は担当についての確認を改めてした時、私はこれ出来るのかな? という気持ちの方が勝っていたのは否めない。
……精神的には色々と重い内容である。盛り上げるってどうやれば良いんだろう?! まさしく私がやる事はそんな大仕事に近い事だ。でも、私がやるって決めた訳だしちゃんと正攻法で担当も決まった訳で! ……皆やりたがらなかったからすんなり決まっただけかもしれないけど。
「とにかく、リリーが心配する程の事じゃないって! ……多分」
「うん、そういう所が心配なんだって」
否定できない……。
「でもこういうのもチャレンジよチャレンジ! ほら、今日のここのカフェに行ってみる位なもの!」
「いやそれはそうだけど……麻由美はそういうチャレンジ精神で行くって感じだものね」
「そっそ! リリーならわかるでしょ?!」
流石に完璧な理解をしてもらうって言うのはリリーでも無理だとは思うけど……。
「まあね……だから、麻由美とこうしている訳だし」
リリーはそう言いながら窓辺の方を眺める。カフェの中は比較的小さい店舗スペースとはいえ日当たりが悪いって訳じゃない。窓辺からは日がちゃんと差し込んでいる。
そんな差し込む光に逆行するように、リリーは窓の向こうを眺めていた。
どこを見ているんだろうかなあ……。
ちなみに、カフェの味そのものは全然普通に行ける。新規オープン故なのか多分味は確実に不評を買わない様に気合を入れて臨んだんだろうなってくらいには本当に良い味だったなあと私は思う。
なんというか、こういう日が心に残るんだよね。今日は大成功だったかも。
「はー、無事にお会計終わったし真っすぐ帰る?」
「そりゃそうでしょ。流石にこれ以上どっか見たら親に怒られるって」
「それもそうか」
カフェを出た私たちは帰宅する事を選ぶ。
理由はさっきの会話の通りぶっちゃけ遅い。これ以上どこか行ったら真っ暗になっちゃう。二人で行動していたとしても女子高生だ、変に親を心配させるよりは素直に帰った方が良かった。
「今日のカフェ、美味しかったよね」
「そうね。だからといってちょっと頼み過ぎじゃない? 何だか値段聞いた時少し青ざめてた様に見えたけど」
「ギクッ……」
目ざとい……確かに私のメニューの価格を見た時明らかにやばかったけど、そんな細かいリアクションが漏れていたなんて……。
「別に~、大丈夫よ本当に」
「そうですかい。大丈夫なら良いけど」
すぐに引いてくれたので助かった。
二人でそんな軽い会話をしながら、やや真っ暗になり始めた道を歩いていた。なんだか、こういう時って凄く怖い。隣にリリーがいるとはいえやっぱり後ろを振り向いたらヤバイ人とか……幽霊、みたいなのとかがいるのかもと感じちゃう。
……うん、素直に帰るの選んでよかった。こんなの寄り道したらもっとヤバかったわけだし。明らかに街灯付いているくらいに暗いなら余計にそうして良かった。
「とりあえず、明日からも頑張っていかないと……色々と」
「そうねー……とりあえず、麻由美は緊張を和らげる方法とかやる事リストとかまとめてみるべきじゃない? 結構色々やってる気がするし」
「えぇ~、そうかなあ?」
やる事リストに近い事は家で書いてはいるけどもね。……所謂絵本の能力の活用先まとめって奴。タイムリープの影響を考えるとちゃんと実行前に書かないと行けないなあなんて思う事もあるから結構慎重になって書いている訳で。
「そそ。こういうの、ちゃんとまとめないと後から大変になるって」
「う~ん、そういうものかもね」
でも、やる事リストは確かに書いた事がないかも。
闇雲に色々と実行していたのを考えるとここらでそういう今、私がやりたい事をまとめてみるのも良いのかもしれない。そういう青春っぽい事、よく考えたら発想出来た筈なのに発想していなかった!
リリーには感謝しかない。
「ありがと、試してみる」
「へへ……どういたしまして」
そうして私たちは笑い合いながら帰宅路を進めていった。
しばらくしたら別れ道。私とリリーの家は違う所にあって丁度その分岐点に差し掛かったのだ。私たちはその別れ道で「またね~」と声を掛け合ってその日は解散となった。
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