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第3章
第32話
しおりを挟むその後も、文化祭の準備は順調に進んでいっていた。
とりあえず私は今回の文化祭では現状絵本の能力を活用していない。細かい事で失敗をしたな~と思う事はあったけど、流石にそんな細かい事に絵本の能力をいちいち活用はしていない。それまでも、自分の中で……かもだけど比較的大きい事にしかこの能力は活用させていないつもりだ。
つまり、今回はそこまで大きな事が起きていないと言っても良いだろう。
リリーから「……意外と行けそうね」と言われたり、クラスメイトからも結構悪くない反応を貰えているくらいには進行の練習が着実に上手く行っているっていう感じだし。……チャレンジするのも悪くないのかも?!
そう言う風に考えているのが現状の私だ。
「いやあ、これは行けるかもねーって」
「何がよ……」
リリーに軽く突っ込まれる。いかんいかん、休み時間とはいえこんな事を漏らすように呟いていたらそりゃ言われちゃう。私はゴホンッと咳払いをする。
「いや、なんていうか文化祭がね」
「ふ~ん……おっと、東谷じゃない」
リリーがふと、視線を違う方向に向ける。そこには東谷が立っていた。
「南さんどうしたんだい?」
「いや~、それがね。麻由美がちょっとニヤケついて行けるかも~って」
「わー! リリィー! そういうのバラさないでぇ!」
リリーが急な爆弾を!
「いや、割と近くにいたらバレてるでしょ。ね?」
「うん。南さんの言う通りかなそれは」
「え?! 嘘っ!」
それじゃあ私の恥ずかしいリアクションがすぐ周囲にはバレッバレだった……?! というか、この下り何回目?! 学習しろ私!
「本当に、知らなかったのね……」
リリーが割と本気で溜息を付く様子、そして私がたじろいでいる姿を東谷は苦笑している様子だった。おのれ他人事の様に……! そんな恨めし気に見る私だが、東谷はこちらには気に留めず話を進めていく。
「ところで南さん。こういう話、聞いた事ないかい?」
「あ、私に? 一体何々?」
「あー……ちょっとこっちに来て欲しいかな秘密話な訳で」
「ちょっと待った!」
私はいきなりながら話を止める。リリーが急にどうしたって感じで驚いているけど気にしてはいられない。これは……まず、何かがおかしい!
「東谷! リリーと仲良いの?! そんな話出来るくらいに?!」
「えっ、いやあそれは」
「秘密話って凄い怪しんだけど! 一体どんな話してんのよ!」
秘密話は流石に聞き捨てならない!
これ、内容によってはとっても怪しいものじゃないのか?! と私は真っ先に訴えかけていくわけだけど。
「あー……麻由美、大丈夫。確かに秘密話なんだけどぶっちゃけ犯罪とかそういうんじゃないから」
「……ホントにー?」
ホントホント、とリリーは即答するとそのまま席を立つ。
「じゃ、東谷行こうか」
「ごめんねいつも」
そして、二人はそのまま教室を出ていった……一体、何なのよー!
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