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男聖女が癒されるもの

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疲れた・・

俺には癒しが必要だ。癒しが不足している。補給しなくては。

甘味物のチョコレート。
それから、神殿に行って・・。

「ブリギッタ殿下」
「はい、聖女様」

「殿下の仰る通り、情報を取り入れすぎて頭が混乱しているみたいです」

ブリギッタ殿下が心配そうに俺を見つめる。そして、気遣いの言葉を掛けてくれた。

「茶会はここまでに致しましょう、聖女様。自室で休息される事をお勧めします。ウルスラ、セツ様を自室にお連れしろ」

ブリギッタ殿下がウルスラに視線を向けた。ウルスラはそれに応じて頷く。

「ブリギッタ殿下のお言葉に従いましょう、セツ様」

俺は慌てて首を振る。そして、ウルスラに声を掛けた。

「待って、ウルスラ。私はこれから癒しを補給しに行く。自室に戻るのはその後にするよ」

「癒しの補給ですか?」
「大神官の補給が今の私には不可欠」
「は?」

「大神官に出世されたマルヘリート・デ・レーデル様に、お祝いを申し上げるの。それから、大神官様とチョコレート占いをしながらチョコを一緒に食べる。もう、癒ししかない。さあ、癒しの補給に行くよ、ウルスラ」

「お待ち下さい、聖女様!」
「え?どうかされましたか、ブリギッタ殿下?」

殿下はテーブルを指差し口を開いた。

「チョコレートならばここに沢山あります。聖女様の為に、様々なチョコを用意しております。どうぞ、こちらで癒しを補給してください!!」

ブリギッタ殿下が語気強く迫ってきた。俺はちょっとびびりながらも、殿下の誘いを断る事にした。だって、ここには癒しのマルヘリート先生がいないから!

「申し訳ございません。確かに沢山のチョコレートは魅力的なのですが、ここには癒しの大神官様がいらっしゃらないので。私は久しく言葉の師であるマルヘリート様に逢っておりません。逢いたいのです、殿下」

「うっ、ぐ!」

「でも、殿下が用意して下さったチョコレートを無駄にするのは申し訳ないですし・・よければ、持ち帰りしても宜しいでしょうか、殿下?」

「そ、それは。聖女様は持ち帰ったチョコレートを大神官とイチャイチャしながら・・失礼、大神官と共にお食べになるつもりですか?神殿で?大神官の部屋で?」

ブリギッタ殿下がちょっとややこしい。仕方ないので、彼も誘うことにした。

「ブリギッタ殿下、お時間はありますか?よければ、神殿に共に行きましょう。殿下に似合う装飾品を選びたいのです。呪いの魔方陣が再び体内に根付く様なことがあっては一大事。ブリギッタ殿下は・・大切なお方ですから」

「大切なお方・・大切なお方・・」

「ブリギッタ、しっかりしろ!騙されるな、ブリギッタ。今のセツ様の発言は明らかに意図的なものだ!」

ブリギッタ殿下はやはりウブだな。可愛い。そして、ウルスラ。俺のブリギッタ殿下攻略を邪魔しないでくれ。


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