ヒートのこないオメガ男子はお百度を踏む

月歌(ツキウタ)

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1-2 子供が欲しい

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◆◆◆◆◆


何気に格好いいアルファ性ムカつく‥そんな事を考えていると、蓮太郎が僕に話しかけてきた。

「30回はまわったから続きは別日にしないか、春馬?参道で蕎麦食って帰ろうぜ。悩みがあるならそこで聞いてやる」

境内の端に寄った蓮太郎は、お百度参りを終えて帰る気満々だ。でも、僕は今日お百度参りを終えたい。

「蓮は先に帰っていいよ」

「お百度参りは数日に分けても問題ないんだろ?」

「そうだけど‥‥僕は早く神様に願いを叶えて欲しいの。蓮が神様に何を願ったのか知らないけど、きっと僕の願いの方が深刻だと思うしさ」

僕がそう言うと蓮太郎は不機嫌な顔をして応じる。

「俺の悩みが深刻じゃないと勝手に決めるなよ。失礼な奴だな。それにしても、春馬はそんなに早く尻処女を喪失したいのか?俺がアレを貸そうか?」

蓮太郎のアレを蹴り飛ばそうとしたが、うまく躱されてヒットしなかった。くそっ。

発情ヒートもしてないのに突っ込まれてたまるかよ。痛そうだし嫌だ。でも、オメガ性として‥‥子供は欲しい」

「子供が欲しいのか?」

蓮太郎に問われて僕は思わず俯いた。恥ずかしい‥‥こんな本音を漏らすつもりは無かったのに。

「子供が欲しくて悪いかよ?」

「いや、悪くない。少し意外だが。でも、子供が欲しいなら発情ヒートは必要だな。男オメガの場合、発情しないと妊娠率が下がる」

不意に過去の嫌な記憶が蘇り、僕は怒りを蓮太郎にぶつけていた。

「うなじを噛まれても発情ヒートしないオメガなんて欠陥品だって言いたいんだろ?子作りどころか、誰かに愛されることもなく枯れてっ‥!」

気がつくと蓮太郎に抱き寄せられていた。僕は驚いて蓮太郎の顔を仰ぎ見る。

「春馬」
「蓮?」

蓮太郎のアルファ性に包みこまれて体が強張る。そんな僕の背中を撫でながら、蓮太郎が言葉を発した。

「お前は欠陥品じゃない」
「欠陥品だよ」
「誰かにそう言われたのか?」
「‥‥‥」

僕は黙って身を離そうとしたが、蓮太郎がそれを許さない。

「誰だ?」
「誰って‥‥言いたくない」
「言え」
「っ!」

アルファ性の覇気に当てられて、僕は思わず答えてしまう。

「僕のうなじを噛んだ高校の先輩だよ。うなじを噛んでも発情ヒートしないオメガなんて欠陥品だから萎えるって‥‥少しも触ってくれなかった」

僕がそう答えると、蓮太郎のこめかみに血管が浮き出る。

「触らせるつもりだったのか?」
「え、まあ?」
「どこを?」
「は?」

「前か?まさか後も触らせるつもりだったのか?」

なぜそこに拘る。
引くんだけど‥‥。



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