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sideイリアス
15話 ※sideウィリテ
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「はぁぁぁあっ!?イリアス様が我慢?禁欲!?え、まさかの不能っ??」
ブシアの叫びを聞きながら、僕は立ち去ったイリアスを追うように扉を見つめた。
イリアスは獏の獣人だ。
聞いた話では、獏は夢を操るという。
現にイリアスは僕のあの夢に姿を現した訳で……。
「ふう…」と僕は息をついた。
多分、イリアスは僕の過去を知っているんだ……。
何度も繰り返し夢に見た、あの男からの凌辱。
あの夢は僕を苦しめたけど、あの受けた凌辱を僕は恥だとは思っていない。
僕は里の皆に庇って貰い、逃がして貰った自分の方が嫌だった。次々里の皆が血を流して倒れていくのに、何故か皆は僕だけを逃がそうと必死で……。
僕も襲ってくる兵士を避けるのに必死で。
そして気が付けば、一人森の中に逃げ込んでいた。
僕だけが、何も守らずに、逃げてしまった……。
そう気付いた時の、自己嫌悪を忘れることはない。
あの男に襲われたのは最悪のことだけど、僕は僕自身の力で、皆が守ってくれた『僕』を守ったんだ。
だから確かに長い間、人に触れられる事に忌避を感じて苦しんだけど、ちゃんと乗り越えられたって思ってる。
そして、その上でイリアスに触れてもらいたいとも思っているんだ。その気持ちを、イリアスにも伝えたい。
だから僕はイリアスの所に来たんだ。
ぱしゃん、と湯が揺れる。
睦み合うような口付けの後、イリアスは僕をぎゅっと抱きしめて首筋に顔を埋めた。
どんな顔をしているのか見えなくて、彼の形の良い耳、そして首筋、そこから繋がる綺麗な筋肉の付いた肩を見た。
辛うじて動かせる腕を持ち上げて、そっとイリアスの背中に回す。
ぴくりと揺れる肩を見ながら、僕はそっと彼の名前を呼んだ。
「……イリアス?」
「………………」
返事はない。
けれど僕の声に促されるように、唇がゆっくりと首の線を辿り始めて……。
僕は、彼の心の中で何かの区切りがついたと感じたんだ。
背中に回した手で、ぽんぽんとあやすように叩くと、彼は喉の奥でくつりと笑った。
そして、首筋をぢゅっと音がするくらい吸い上げてきた。
ちりっと甘い刺激に、僕は小さく身動ぐ。
「……ん、」
洩れ出た声の甘さに、ちょっと恥ずかしくて赤くなっていると、虹色の綺麗な瞳がじっと僕の様子を窺っていた。
イリアスの目の縁が薄っすらと赤みを帯び、飢えた瞳で僕をひたすら見つめている。
どうかしたのか、と声をかけようとした時、イリアスの形の良い唇が開いた。
「私は今から君を抱く。君が嫌がっても、途中では止まれない。拒否するならいまのうちだ」
ーーどうする?
と、虹色の瞳が問う。
どうする、だなんて。それは勿論……。
僕は引き寄せられるようにイリアスに口付けた。そろりと舌を伸ばせば、彼の熱い舌が迎え出て絡み付いてくる。
くちり、と微かだけど淫靡な音が、夜の始まりを密やかに告げた。
イリアスの舌がぬるりと僕の口腔に入り込み、深く舌を絡ませ、口蓋を柔く愛撫してくる。
初めて体験する甘い刺激に、背中にゾクゾクとした官能の波が立った。
ーーもっと……。もっと欲しい……。
貪欲に、イリアスが与える刺激を求めて首の角度を変えれば、察してイリアスが口腔を蹂躙してくる。
その溺れてしまいそうな快楽に、僕はうっとりと身を任せた。
僕の身体から力が抜けたのを感じたのか、イリアスは抱き締めていた腕の力を抜いて、明確な意図を持って身体のラインを辿り始めた。
口付けしたまま、イリアスは器用に僕のびしょ濡れのシャツのボタンを外す。そしてシャツの襟の部分を持つと、グイッと性急に脱がせてきた。
片方の手で背中を撫で擦りながら、もう片方は胸の淡い色の突起に絡み付く。キュッと指で摘まれ、少し痛いくらいの刺激を受けて、僕はビクリと身体を震わせてイリアスから唇を離してしまった。
「っあ……っ」
洩れ出た声は、自分のものとは思えないほど淫猥で艶を含み浴室に響く。
「………イイ声…」
イリアスの、欲を孕んで掠れた声がすぐ近くで聞こえる。
僕はうっとりと目を細めてイリアスを見つめた。
「こっちに来て」
見つめ合ったまま、イリアスはくいっと僕を持ち上げて、彼の脚を跨ぎ向かい合うように座らせた。
ぱしゃぱしゃと湯の表面が波立つ。
彼の脚の上に座ると、目線は彼より高くなって僅かに見下ろす形になる。
イリアスからの痛いほどの視線を受けながら、僕は彼のしなやかな筋肉がつく美しい躰に見惚れて……。
彼のモノが完全に勃っているのが視界に入った。
もぞりと、なんとも言えない気分が湧き上がり、そっと視線を逸らすと、イリアスが優しく僕の片頬を掌で覆った。
「ーー怖い?」
窺うような声に、僕はふるふると小さく首を振る。
ーー違う。そうじゃなくて……。
「……少し恥ずかしいかなって」
ため息をつくように呟くと、彼はその美しい顔に壮絶な色香を纏ってくすりと笑った。
「まだそんな事を言う余裕あるのか……。まだまだこれからだよ」
ペロリと赤い舌が自身の唇を舐める姿に情慾が湧く。
僕はイリアスの首に腕を回して、ゆるりと微笑んだ。
ーー僕は貴方に遠慮なんてして欲しくはない。だから……。
彼の耳元に顔を寄せると、そっと囁くように告げた。
「僕が求めるのはイリアスだけだ。だから、ちゃんと最後まで…………シて…?」
直後、ぴくっとイリアスの肩が揺れた。……と思った瞬間、先程とは比べ物にならないくらい荒々しく、噛み付くように口付けてきたのだった。
ブシアの叫びを聞きながら、僕は立ち去ったイリアスを追うように扉を見つめた。
イリアスは獏の獣人だ。
聞いた話では、獏は夢を操るという。
現にイリアスは僕のあの夢に姿を現した訳で……。
「ふう…」と僕は息をついた。
多分、イリアスは僕の過去を知っているんだ……。
何度も繰り返し夢に見た、あの男からの凌辱。
あの夢は僕を苦しめたけど、あの受けた凌辱を僕は恥だとは思っていない。
僕は里の皆に庇って貰い、逃がして貰った自分の方が嫌だった。次々里の皆が血を流して倒れていくのに、何故か皆は僕だけを逃がそうと必死で……。
僕も襲ってくる兵士を避けるのに必死で。
そして気が付けば、一人森の中に逃げ込んでいた。
僕だけが、何も守らずに、逃げてしまった……。
そう気付いた時の、自己嫌悪を忘れることはない。
あの男に襲われたのは最悪のことだけど、僕は僕自身の力で、皆が守ってくれた『僕』を守ったんだ。
だから確かに長い間、人に触れられる事に忌避を感じて苦しんだけど、ちゃんと乗り越えられたって思ってる。
そして、その上でイリアスに触れてもらいたいとも思っているんだ。その気持ちを、イリアスにも伝えたい。
だから僕はイリアスの所に来たんだ。
ぱしゃん、と湯が揺れる。
睦み合うような口付けの後、イリアスは僕をぎゅっと抱きしめて首筋に顔を埋めた。
どんな顔をしているのか見えなくて、彼の形の良い耳、そして首筋、そこから繋がる綺麗な筋肉の付いた肩を見た。
辛うじて動かせる腕を持ち上げて、そっとイリアスの背中に回す。
ぴくりと揺れる肩を見ながら、僕はそっと彼の名前を呼んだ。
「……イリアス?」
「………………」
返事はない。
けれど僕の声に促されるように、唇がゆっくりと首の線を辿り始めて……。
僕は、彼の心の中で何かの区切りがついたと感じたんだ。
背中に回した手で、ぽんぽんとあやすように叩くと、彼は喉の奥でくつりと笑った。
そして、首筋をぢゅっと音がするくらい吸い上げてきた。
ちりっと甘い刺激に、僕は小さく身動ぐ。
「……ん、」
洩れ出た声の甘さに、ちょっと恥ずかしくて赤くなっていると、虹色の綺麗な瞳がじっと僕の様子を窺っていた。
イリアスの目の縁が薄っすらと赤みを帯び、飢えた瞳で僕をひたすら見つめている。
どうかしたのか、と声をかけようとした時、イリアスの形の良い唇が開いた。
「私は今から君を抱く。君が嫌がっても、途中では止まれない。拒否するならいまのうちだ」
ーーどうする?
と、虹色の瞳が問う。
どうする、だなんて。それは勿論……。
僕は引き寄せられるようにイリアスに口付けた。そろりと舌を伸ばせば、彼の熱い舌が迎え出て絡み付いてくる。
くちり、と微かだけど淫靡な音が、夜の始まりを密やかに告げた。
イリアスの舌がぬるりと僕の口腔に入り込み、深く舌を絡ませ、口蓋を柔く愛撫してくる。
初めて体験する甘い刺激に、背中にゾクゾクとした官能の波が立った。
ーーもっと……。もっと欲しい……。
貪欲に、イリアスが与える刺激を求めて首の角度を変えれば、察してイリアスが口腔を蹂躙してくる。
その溺れてしまいそうな快楽に、僕はうっとりと身を任せた。
僕の身体から力が抜けたのを感じたのか、イリアスは抱き締めていた腕の力を抜いて、明確な意図を持って身体のラインを辿り始めた。
口付けしたまま、イリアスは器用に僕のびしょ濡れのシャツのボタンを外す。そしてシャツの襟の部分を持つと、グイッと性急に脱がせてきた。
片方の手で背中を撫で擦りながら、もう片方は胸の淡い色の突起に絡み付く。キュッと指で摘まれ、少し痛いくらいの刺激を受けて、僕はビクリと身体を震わせてイリアスから唇を離してしまった。
「っあ……っ」
洩れ出た声は、自分のものとは思えないほど淫猥で艶を含み浴室に響く。
「………イイ声…」
イリアスの、欲を孕んで掠れた声がすぐ近くで聞こえる。
僕はうっとりと目を細めてイリアスを見つめた。
「こっちに来て」
見つめ合ったまま、イリアスはくいっと僕を持ち上げて、彼の脚を跨ぎ向かい合うように座らせた。
ぱしゃぱしゃと湯の表面が波立つ。
彼の脚の上に座ると、目線は彼より高くなって僅かに見下ろす形になる。
イリアスからの痛いほどの視線を受けながら、僕は彼のしなやかな筋肉がつく美しい躰に見惚れて……。
彼のモノが完全に勃っているのが視界に入った。
もぞりと、なんとも言えない気分が湧き上がり、そっと視線を逸らすと、イリアスが優しく僕の片頬を掌で覆った。
「ーー怖い?」
窺うような声に、僕はふるふると小さく首を振る。
ーー違う。そうじゃなくて……。
「……少し恥ずかしいかなって」
ため息をつくように呟くと、彼はその美しい顔に壮絶な色香を纏ってくすりと笑った。
「まだそんな事を言う余裕あるのか……。まだまだこれからだよ」
ペロリと赤い舌が自身の唇を舐める姿に情慾が湧く。
僕はイリアスの首に腕を回して、ゆるりと微笑んだ。
ーー僕は貴方に遠慮なんてして欲しくはない。だから……。
彼の耳元に顔を寄せると、そっと囁くように告げた。
「僕が求めるのはイリアスだけだ。だから、ちゃんと最後まで…………シて…?」
直後、ぴくっとイリアスの肩が揺れた。……と思った瞬間、先程とは比べ物にならないくらい荒々しく、噛み付くように口付けてきたのだった。
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