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受け視点
6.
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あれからカーディアスはことある事に俺に触れてくる。
勿論、俺も男に襲われてあっさり吐精してしまった事が恥ずかしくもあり、悔しくもあり、奴と距離を置こうとしたんだ。
なのに、いつの間にか奴は距離を詰めて俺の側にいる。そして距離を置いた俺を決して許さず、甘く責め苛むのだ。
何度カーディアスの手にかかって絶頂を迎えたことが……。
ため息をついて、自分の下半身に恨めしく視線を落とす。
こんなに自分が快楽に弱い生き物だとは思わなかった……。
ここまで甚振られ、身体の芯に快楽の種を植え込まれ、既に奴が直ぐ側に立つだけで腹の奥が疼きソワつくというのに。
カーディアスが本当の意味で俺を抱いた事はなかった。
俺を散々嬲り快楽を与えて淫らに啼かせると、それで満足するのか自らを慰める事もない。
ただ俺だけが馬鹿みたいに喘ぎまくって、精を放つたけ。
これって一体どういう関係なんだ……。
ズキズキと痛む頭を宥めながら、このふしだらな関係にどうやって秋止符を打つべきか考え倦ねていた。
「………パスティ、顔色が悪いね?大丈夫?」
座学の間、上の空で窓の外を眺めていた俺は、奴の声で授業が終わったことに気が付いた。教室を見渡すと、既に他の学生の姿はない。教台近くの時計に目を向ければ、今が昼休みになっている事が分かる。
俺の様子を見ていたカーディアスは、心配そうに眉根を寄せて手背を首筋に当てるとゆるっと擦ってきた。
「………っん、」
そんな刺激にも反応しそうで、思わず息を呑む。
「熱はないみたいだけど……。寮に帰って休む?」
この場面だけを見れば、カーディアスは間違いなく良い奴で最高の友人なんだかな……。
ーー友人………。
その言葉に、何故心臓が嫌な感じに大きくドクン、と跳ねた。
何だ?何故、友人という言葉に拒否感が湧く?
今でこそ、こんな淫らな関係になってしまったが、もとは学友だったじゃないか……。
そもそも、俺は奴の友人を名乗れる立場ですらないのに……。
「?」
胸を押さえて首を傾げる。
何だ?何が起きた?
掴めない自分の感情に戸惑っていると、カーディアスがはしっと肩を掴んできた。
「………ティ、パスティ!!」
怒鳴るように名を呼ばれて、はっと我に返る。
「やっぱり可怪しいよ、パスティ。部屋に帰ろう」
ひたっと視線を合わせて、真剣な表情のカーディアス。
俺は、その顔を見て何かを言おうと口を開いた。
その時、カチリと音を響かせて、教室前方の扉が開いた。
はっと顔をそちらに向けると、見知った顔の男が入口に静かに控えた。
「パスティ様、当主よりご伝言がございます。至急屋敷にお戻り下さい」
淡々と告げてくる内容に、俺は大きく頷いて立ち上がった。
ーー何だ……悩むことはなかったな。
予想より早くにやってきた『その時』に、俺は小さく笑った。
そしてカーディアスに目を向ける事なく歩き出そうとして、奴に腕を掴まれてしまった。
「何処に行くの?」
「………世話になっている貴族の屋敷に」
「…………。直ぐに戻ってくるよね?」
「……………」
その問に、俺は何も答えなかった。
ただ小さく首を振ると、掴んでいる奴の手を振り払い、真っ直ぐに顔見知りの男の元へむかう。
「……宜しいので?」
気遣う問に、小さく笑い頷くと男は安堵したように息を吐き出した。
「では馬車までご案内致します」
「頼む」
そうして教室から出るまでカーディアスの声がかかる事はなかったし、俺もふり返りもしなかった。
これで終わりを告げる、そんな関係。
ーー友人ですらなかったということか……。
洩れ出た笑いは酷く苦く、歪で、どうしようもなく情けないものだった。
勿論、俺も男に襲われてあっさり吐精してしまった事が恥ずかしくもあり、悔しくもあり、奴と距離を置こうとしたんだ。
なのに、いつの間にか奴は距離を詰めて俺の側にいる。そして距離を置いた俺を決して許さず、甘く責め苛むのだ。
何度カーディアスの手にかかって絶頂を迎えたことが……。
ため息をついて、自分の下半身に恨めしく視線を落とす。
こんなに自分が快楽に弱い生き物だとは思わなかった……。
ここまで甚振られ、身体の芯に快楽の種を植え込まれ、既に奴が直ぐ側に立つだけで腹の奥が疼きソワつくというのに。
カーディアスが本当の意味で俺を抱いた事はなかった。
俺を散々嬲り快楽を与えて淫らに啼かせると、それで満足するのか自らを慰める事もない。
ただ俺だけが馬鹿みたいに喘ぎまくって、精を放つたけ。
これって一体どういう関係なんだ……。
ズキズキと痛む頭を宥めながら、このふしだらな関係にどうやって秋止符を打つべきか考え倦ねていた。
「………パスティ、顔色が悪いね?大丈夫?」
座学の間、上の空で窓の外を眺めていた俺は、奴の声で授業が終わったことに気が付いた。教室を見渡すと、既に他の学生の姿はない。教台近くの時計に目を向ければ、今が昼休みになっている事が分かる。
俺の様子を見ていたカーディアスは、心配そうに眉根を寄せて手背を首筋に当てるとゆるっと擦ってきた。
「………っん、」
そんな刺激にも反応しそうで、思わず息を呑む。
「熱はないみたいだけど……。寮に帰って休む?」
この場面だけを見れば、カーディアスは間違いなく良い奴で最高の友人なんだかな……。
ーー友人………。
その言葉に、何故心臓が嫌な感じに大きくドクン、と跳ねた。
何だ?何故、友人という言葉に拒否感が湧く?
今でこそ、こんな淫らな関係になってしまったが、もとは学友だったじゃないか……。
そもそも、俺は奴の友人を名乗れる立場ですらないのに……。
「?」
胸を押さえて首を傾げる。
何だ?何が起きた?
掴めない自分の感情に戸惑っていると、カーディアスがはしっと肩を掴んできた。
「………ティ、パスティ!!」
怒鳴るように名を呼ばれて、はっと我に返る。
「やっぱり可怪しいよ、パスティ。部屋に帰ろう」
ひたっと視線を合わせて、真剣な表情のカーディアス。
俺は、その顔を見て何かを言おうと口を開いた。
その時、カチリと音を響かせて、教室前方の扉が開いた。
はっと顔をそちらに向けると、見知った顔の男が入口に静かに控えた。
「パスティ様、当主よりご伝言がございます。至急屋敷にお戻り下さい」
淡々と告げてくる内容に、俺は大きく頷いて立ち上がった。
ーー何だ……悩むことはなかったな。
予想より早くにやってきた『その時』に、俺は小さく笑った。
そしてカーディアスに目を向ける事なく歩き出そうとして、奴に腕を掴まれてしまった。
「何処に行くの?」
「………世話になっている貴族の屋敷に」
「…………。直ぐに戻ってくるよね?」
「……………」
その問に、俺は何も答えなかった。
ただ小さく首を振ると、掴んでいる奴の手を振り払い、真っ直ぐに顔見知りの男の元へむかう。
「……宜しいので?」
気遣う問に、小さく笑い頷くと男は安堵したように息を吐き出した。
「では馬車までご案内致します」
「頼む」
そうして教室から出るまでカーディアスの声がかかる事はなかったし、俺もふり返りもしなかった。
これで終わりを告げる、そんな関係。
ーー友人ですらなかったということか……。
洩れ出た笑いは酷く苦く、歪で、どうしようもなく情けないものだった。
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