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sideルーカス
19.
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北門を潜り街道を歩く。
北側は、故郷を出て番を探し歩いて辿った道。
人が居る所を浚うように見て回るのが目的だったから、それ以外の道は正直分からない。
ノアが街道から外れるにしても、きっと直前で食料を買い込む筈だし人の記憶に残る可能性がある。
何より下手に近道をして迷うより、正規のルートを急ぎ進んだ方が速いと判断した。
何故、逃げ出した?
何処に行くつもりだ?
誰か……俺以外の誰かを………お前は選んだのか?
歩きながら、答えがない問がぐるぐる頭を駆け巡る。
こんな事を考えたって、結局はノアに聞くしか本当の事は分からない。
分かってても、何かを考えていないとノアが居ない現実に狂いそうになる。
――――発狂してはダメだ。
ノアに会えた時に話ができるくらいの理性がなければ、俺は姿を見た瞬間アイツを喰う。
でもこの手の中に居ないなら、もう喰ってしまって二度と離れないないようにした方が良いんじゃないか?
――――ダメだ!それでは俺は永遠にノアを失ってしまう!
失う………?何故だ?だって、もう現にノアはココに居ないじゃないか……。それなのに失くす心配をするのか?
何故?
喰えば良い。
収めてしまえば良い。
――――そうすれば、もう誰もノアを見ない。
――――誰もノアを奪わない。
――――ずっと一緒に………ああ一緒に居ることが………。
昼なのか夜なのか、寝たのか飯を食ったのか………。
最早時間の感覚も自分の行動も曖昧となってくる。
ああ、俺は本当に狂ったのかもしれない………。
北の街に到着する直前の谷で、四脚の魔物が集団で襲って来たのは覚えている。
次々と魔物を屠り、その場に溢れ返る血臭に俺は……。
ノアの血の臭いを想像して、背中がゾクゾクするほど………興奮したのだった。
その日、昼前に終着点の街に辿り着き、そのままギルドに向かう。
クエスト完了の有無を聞く必要はない。
ただ冒険者のノアがこの街に来たかどうか。
聞くのはそれだけでいい。
ギルドは有事に備えて、街に滞在している冒険者を把握する必要があるのだから。
それだけであれば、ギルドも情報の制限はかけないで直ぐに教えるはず。
ズッシリと重い頭を振って、薄っすらと笑った。
我ながら酷薄な笑みが浮かんでいるだろうな、と思う。
もう自分が正気とは思えない。
なのにノアを捕まえる為なら、幾らでもマトモに見える様な行動を取ることができるのか……。
案の定、ギルドではあっさりノアに関して教えてくれた。
昨日の夕方に街に着いて、今朝出立したと言う。
街に入る直前の谷で怪我を負ったと話していたから町医者の場所を教えた、とも。
町医者の場所を、俺も聞く。
もしかしたら次の街までの日数分の薬を貰ったかもしれない。
その日数で、およその目的地が絞り込める。
訪れた町医者は、人の良さが滲み出ている風貌の青年だった。
「ああ、あの珍しい髪色のキレイな人?来たよ」
怪我をした仲間を探していると言えば、特に疑問に思う事なく教えてくれた。
「隣国に行くって言ってたよ。余程急いでるのか、昨日の今日で出立って言うから薬を持たせてあげたよ。
国境を越えるから、街道沿いに進むとか。
傷も深いし無理してないといいけど………」
心配気な言葉をもらす町医者に、俺は冷やかな目で見下し無言で頷いた。
キレイ…だと?人の番に対して?
―――ふざけるな…………。
ふと湧き上がる感情に、これ以上この場に居てはマズイと遅れて理性が囁く。
短く礼を述べて、俺はそのまま街を出るべく足を進めた。
上手く行けば今日、ノアに辿り着く。
―――どくん……………!!!
心臓が大きく鳴る。
足が縫い止めたように動かなくなった。
俺はノアを捕まえたらどうしたいんだろう……。
ノアを見てしまったら、俺は一体どうなるんだろう…。
顔を上げ先に見える門を、そして蒼天を見上げた。
――――オレ………は………。
北側は、故郷を出て番を探し歩いて辿った道。
人が居る所を浚うように見て回るのが目的だったから、それ以外の道は正直分からない。
ノアが街道から外れるにしても、きっと直前で食料を買い込む筈だし人の記憶に残る可能性がある。
何より下手に近道をして迷うより、正規のルートを急ぎ進んだ方が速いと判断した。
何故、逃げ出した?
何処に行くつもりだ?
誰か……俺以外の誰かを………お前は選んだのか?
歩きながら、答えがない問がぐるぐる頭を駆け巡る。
こんな事を考えたって、結局はノアに聞くしか本当の事は分からない。
分かってても、何かを考えていないとノアが居ない現実に狂いそうになる。
――――発狂してはダメだ。
ノアに会えた時に話ができるくらいの理性がなければ、俺は姿を見た瞬間アイツを喰う。
でもこの手の中に居ないなら、もう喰ってしまって二度と離れないないようにした方が良いんじゃないか?
――――ダメだ!それでは俺は永遠にノアを失ってしまう!
失う………?何故だ?だって、もう現にノアはココに居ないじゃないか……。それなのに失くす心配をするのか?
何故?
喰えば良い。
収めてしまえば良い。
――――そうすれば、もう誰もノアを見ない。
――――誰もノアを奪わない。
――――ずっと一緒に………ああ一緒に居ることが………。
昼なのか夜なのか、寝たのか飯を食ったのか………。
最早時間の感覚も自分の行動も曖昧となってくる。
ああ、俺は本当に狂ったのかもしれない………。
北の街に到着する直前の谷で、四脚の魔物が集団で襲って来たのは覚えている。
次々と魔物を屠り、その場に溢れ返る血臭に俺は……。
ノアの血の臭いを想像して、背中がゾクゾクするほど………興奮したのだった。
その日、昼前に終着点の街に辿り着き、そのままギルドに向かう。
クエスト完了の有無を聞く必要はない。
ただ冒険者のノアがこの街に来たかどうか。
聞くのはそれだけでいい。
ギルドは有事に備えて、街に滞在している冒険者を把握する必要があるのだから。
それだけであれば、ギルドも情報の制限はかけないで直ぐに教えるはず。
ズッシリと重い頭を振って、薄っすらと笑った。
我ながら酷薄な笑みが浮かんでいるだろうな、と思う。
もう自分が正気とは思えない。
なのにノアを捕まえる為なら、幾らでもマトモに見える様な行動を取ることができるのか……。
案の定、ギルドではあっさりノアに関して教えてくれた。
昨日の夕方に街に着いて、今朝出立したと言う。
街に入る直前の谷で怪我を負ったと話していたから町医者の場所を教えた、とも。
町医者の場所を、俺も聞く。
もしかしたら次の街までの日数分の薬を貰ったかもしれない。
その日数で、およその目的地が絞り込める。
訪れた町医者は、人の良さが滲み出ている風貌の青年だった。
「ああ、あの珍しい髪色のキレイな人?来たよ」
怪我をした仲間を探していると言えば、特に疑問に思う事なく教えてくれた。
「隣国に行くって言ってたよ。余程急いでるのか、昨日の今日で出立って言うから薬を持たせてあげたよ。
国境を越えるから、街道沿いに進むとか。
傷も深いし無理してないといいけど………」
心配気な言葉をもらす町医者に、俺は冷やかな目で見下し無言で頷いた。
キレイ…だと?人の番に対して?
―――ふざけるな…………。
ふと湧き上がる感情に、これ以上この場に居てはマズイと遅れて理性が囁く。
短く礼を述べて、俺はそのまま街を出るべく足を進めた。
上手く行けば今日、ノアに辿り着く。
―――どくん……………!!!
心臓が大きく鳴る。
足が縫い止めたように動かなくなった。
俺はノアを捕まえたらどうしたいんだろう……。
ノアを見てしまったら、俺は一体どうなるんだろう…。
顔を上げ先に見える門を、そして蒼天を見上げた。
――――オレ………は………。
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