3 / 4
第一章・俺も没落するけど心配するな
3.主要人物達からも大体嫌われている男だけど……
しおりを挟む
野郎三人が、いつまでも男子トイレでたむろっているのは絵的にも臭い的にもムサイ。華やかな乙女ゲームの世界で、俺以外はイケメン設定の二人であっても、それは覆せない。こういったゲーム内では描かれない、生きていく上で必要な日常は……やはり、どこの世界であっても変わらないもんだ。
だが日常を一歩踏み出した瞬間、世界は乙女色の甘い香りに包まれる。
「キャー、セナ様よ!カッコイイ!」
「ああ……アラン様。今日も一段と凛々しいですわ……」
「セナさまー!パラディンの貴方様に守って欲しいですわ-!」
「アランさま、素敵!魔道研究じゃなくて私を研究して-!」
女子達の乾いていない黄色い声援。それが一斉に攻略対象の美形達に投げかけられる……
いきなり自分達へと向けられた大声であっても、二人は慣れた対応で注目する女子達をあしらっていく。
セナは笑顔で手を振りながら、アランは中指で眼鏡をクイッと上げながら澄ました顔で、それぞれの性格に合わせたリアクションをすると、更に黄色い声はボリュームを上げた。でもやっぱり、その声に混じって
「げ、なんでセナ様アラン様と一緒にゴーミスが居るのよ」
「最悪、お二人の御尊顔を汚しやがって」
なんて声を聞き分けられるのは、俺もこの状況に慣れたからだろうな……毎日毎日、騒いでホント飽きねーなモブ女子達。本日も役割のお勤めご苦労さんです。
コイツ等が、こんなにモテるのにも当然だが理由がある。イケメン設定で攻略対象だからってだけじゃ、実社会には反映されない。
俺がノービスってだけで、馬鹿にされ、嫌われ、蔑まれているのがまかり通る様に、この世界の基準においてジョブってのは、重要な判断基準になりうる価値を持っている。何故ならば……本来なら目に見えるはずのない『才能の高さ』を、目に見える形にしてくれるからだ。
まずジョブには様々なサポート効果がある。戦士系ジョブのファイターに就けば、武器の扱いが上手くなったり
魔法使い系ジョブのメイジに就けば、杖から放つ魔法の効果が高くなったりだ。
どれ系統でもノービスを卒業すると、下位職から始まり、中位、上位、最上位とクラスアップしていくのが共通。
この学園というか、世界全体で見ても大半の者は下位職から中位職までが才能の限界である。でも流石はゲームの主要キャラクター達、こいつら攻略対象は違う。
まだ本格的な冒険が始まっていない、ゲーム前半部分と言える学園パートで、既にセナは上位騎士職『パラディン』。アランは上位魔道職『アークメイジ』のジョブを取得している。
これによって才能の高さを世間に示している二人は、選ばれし者を尊ぶ貴族主義の思想と相まって、絶大な人気を博している。その才能と顔の良さ、オマケに良家の跡継ぎとあっては、もてない方がおかしいよなって感じだね。
しかし、やはり世の中には……上には上がいるんだ。
セナとアラン、二人の声援を足しても及ばない大絶叫の黄色い声援が起こった。音が波となって伝わって来るのが分かるほどの騒音。流石の俺でも誰が何を言っているのか判別がつかない……が、何が起こっているのかは判断がつく。メイン攻略対象様のご登場だ‥…
「やあ、ご機嫌いかがかな?セナ、アラン、それと……ゴミクズ君、だったかな?」
「これはこれはシュナイダー殿下、ご機嫌麗しく」
「よう、ミハエル!相変わらずスゲー追っかけだな」
イケメン達の揃い踏み、三人が揃うと大絶叫がヒートアップし過ぎて、もう耳を塞ぎたくなるな‥…アランは仰々しく頭を下げ、セナは相変わらずセナらしく、そいつに挨拶した。銀髪長身痩躯の美形……
この国の王子『ミハエル・シュナイダー』に‥…どうでもいいけど、ここ男子トイレの前な。王子様もう○こか?邪魔しちゃ悪いから適当に
「あ、ども」
とだけ返しておく。名前を何回言っても覚えられない若年性痴呆症の奴に、わざわざ何度も訂正するのは疲れたから相手にしない方が楽なんだよね。
だが無視しようにも、相手は王族。封建制で上位者の存在は絶対。だから無礼を働いている様では社会で生きていけない、最低限の返事だけはしないとね。王族の覚え目出度きなんざ嫌われ者のゴーミス・クズノーには無理だ。無駄な努力を俺はしない主義だ。それよりも、さっさとこの耳に優しくない現場から離れたい‥…けど、そうは問屋が卸さなかった。
「こんにちは。ミハエル殿下、セナ君、アラン君!」
ここで、この乙女ゲームの主人公こと『ローイン』ちゃんがご登場。ふわっとした金髪に、白ブレザーと赤い膝丈スカートの似合った小柄な美少女が追加してやって来た。
やっとモブ女子以外は野郎だけだったメンバーに華が咲いたけどさ‥…繰り返すけど、ここ男子トイレ前な。聞く者の心を魅了する可愛い声で、暗い気持ちを明るく変える元気な笑顔で攻略対象達に挨拶するけど、ここ男子トイレ前な。
「やあ、ローインさん!」
「これはこれはローイン嬢、今日も見目麗しくいらっしゃる」
「ローイン、こんな所で会うとは奇遇だな」
そんな細かい事を気にしているからお前はモテないんだよって俺と対照的に、モテるイケメン達であるセナ、アラン、ミハエルの三人は気にもせずローインへと挨拶を返す。呼ばれた中に俺が入ってないのは、明らかに意図的なんだなこれが‥…
そらそうだ、近くにいるだけで散々な目に合う奴には近付きたくもないだろう。『君子危うきに近寄らず』だ。それでも近付いて来たのは、『虎穴に入らずんば虎児を得ず』。攻略対象達との出会いの為だろう……ローインさんってばマジ、ハンター!
誰にでも分け隔て無く優しいはずのヒロインちゃんですら差別してくる……俺、ゴーミスの役割ここに極まれりだな。そんな俺に負けず劣らず役割に忠実なモブ女子達は
「まぁ!お三方に何て馴れ馴れしい!」
「でも悔しいけど、お似合いね」
「キィーッ、羨ましい!」
ってお約束の反応をしている……マジで役割お疲れ様です。結構そんな貴女達を俺は尊敬しています‥…
でもな、やっぱりなと言うか、そうなるよなって言うか‥…ヒロインと攻略対象が揃ったら‥…そら出て来るわな。悪役令嬢『レージョ』がな……
「まぁ皆様お揃いで……そこに泥棒猫が何のご用件かしら‥…?」
黒髪ロングの大人びた顔立ちの美女。共通の制服である白ブレザーの上からでも分かるナイスバディは隠しきれない。ファビュラスな黒いロングスカートは高級素材だとファッションに疎い俺でも一目で分かるし、手に持った豪奢な扇子はマーベラスで口元を隠しながら近づいて来る。
そのセレブリティ溢れる姿を確認した俺は、アンギラスの様に転がってでもこの場を離れたくなったが……悪役令嬢とお邪魔キャラは切っても切れない何かが働くんだよなぁ……
こっそりと離れようとしても、モブ達が邪魔で動けねーの。
そうだよな、ここ主要人物達にとっては『二階廊下』かもしれないけど、俺とかモブ男子達にとっては『男子トイレ前』だもんな。
この騒動の所為で、トイレに入りたくても入れない男達の悲痛な視線なんぞには構わず、ヒロイン、悪役令嬢、攻略対象達の寸劇が始まってしまっている。だったら他のトイレに行けばいいじゃんとか思う人達は、学生時代って意外と別学年のトイレって行き辛かったよなーって時代があった方々の事を思い出して上げて下さい。
うん、俺はそんなの気にしなかった方だけど分かるよ。分かるけど、どいてくんねーかな?漏らす位なら空気読まずに動いていいと思うんだ。だからそんなに我慢してプルプル震えるの止めよう?俺の逃げ道を塞いでいるモブ男子諸君。
触ったら暴発しそうな君達を押しのけてでも逃げ出すような鬼畜の如き所業は、幾ら嫌われ者の俺でも出来ないんだ。君達も助かる、俺も助かるウィンウィンの関係を築こう?恐れるな、振り向くな、若さって何だ?振り向かない事さ!さぁ、さぁ!
「下郎がっ!一体何をコソコソとしているのですかっ!」
堂々とやったらモブ男子達が思春期こじらせて死ぬじゃろがい!お前は鬼か、レージョ!?悪役なのはローインちゃん相手だけにしとけや!本来なら俺はあんたの腰巾着だけど、生まれたての小鹿の様に震えるモブ男子達を責めるのはやめーや……
本当にもう、コイツはいつも誰であろうと強気で容赦ない。俺であろうと、ローインであろうと、攻略対象達であろうと……それが軋轢を産んでいるのに引き下がりはしない。常に我を通そうとする‥…悪役令嬢らしいっちゃ、らしいんだがな。
こうして、いつものパターンに巻き込まれていく日々に辟易しながら‥…俺はさっさと、どっちが俺の嫁になるか決まんねーかな‥…何て他人事の様に、乙女ゲームらしい修羅場のやり取りを見ながらボーッと毎日を過ごしていたんだ。
だから自分でも不思議なんだ‥…どう転んでも、俺はどうでもいい程度にしか思ってなかったから。
一度、仮想とは言えやり尽くした世界で、幸か不幸になろうとも……楽しめればそれでいい。その程度にしか二度目の人生を思えなかったんだ。
だから不思議でしょうがないんだ……自分でも
いつも強気なレージョが泣いているのを見て、助けてやりたいと思うなんて……悪役令嬢とお邪魔キャラの、切っても切れない何かが働いたのかもしれない……そんなの俺は御免だった。あの一方的な注文だけをして、一切の譲歩はしない女神の思い通りになってるみたいで、上に居る者の傲慢に屈した様な事態になるのは……
それでも、それだからこそ‥…『嫌われ者』は『悪役令嬢』に、こう持ち掛けたんだ。
「運命に反逆する勇気はあるか?」
だが日常を一歩踏み出した瞬間、世界は乙女色の甘い香りに包まれる。
「キャー、セナ様よ!カッコイイ!」
「ああ……アラン様。今日も一段と凛々しいですわ……」
「セナさまー!パラディンの貴方様に守って欲しいですわ-!」
「アランさま、素敵!魔道研究じゃなくて私を研究して-!」
女子達の乾いていない黄色い声援。それが一斉に攻略対象の美形達に投げかけられる……
いきなり自分達へと向けられた大声であっても、二人は慣れた対応で注目する女子達をあしらっていく。
セナは笑顔で手を振りながら、アランは中指で眼鏡をクイッと上げながら澄ました顔で、それぞれの性格に合わせたリアクションをすると、更に黄色い声はボリュームを上げた。でもやっぱり、その声に混じって
「げ、なんでセナ様アラン様と一緒にゴーミスが居るのよ」
「最悪、お二人の御尊顔を汚しやがって」
なんて声を聞き分けられるのは、俺もこの状況に慣れたからだろうな……毎日毎日、騒いでホント飽きねーなモブ女子達。本日も役割のお勤めご苦労さんです。
コイツ等が、こんなにモテるのにも当然だが理由がある。イケメン設定で攻略対象だからってだけじゃ、実社会には反映されない。
俺がノービスってだけで、馬鹿にされ、嫌われ、蔑まれているのがまかり通る様に、この世界の基準においてジョブってのは、重要な判断基準になりうる価値を持っている。何故ならば……本来なら目に見えるはずのない『才能の高さ』を、目に見える形にしてくれるからだ。
まずジョブには様々なサポート効果がある。戦士系ジョブのファイターに就けば、武器の扱いが上手くなったり
魔法使い系ジョブのメイジに就けば、杖から放つ魔法の効果が高くなったりだ。
どれ系統でもノービスを卒業すると、下位職から始まり、中位、上位、最上位とクラスアップしていくのが共通。
この学園というか、世界全体で見ても大半の者は下位職から中位職までが才能の限界である。でも流石はゲームの主要キャラクター達、こいつら攻略対象は違う。
まだ本格的な冒険が始まっていない、ゲーム前半部分と言える学園パートで、既にセナは上位騎士職『パラディン』。アランは上位魔道職『アークメイジ』のジョブを取得している。
これによって才能の高さを世間に示している二人は、選ばれし者を尊ぶ貴族主義の思想と相まって、絶大な人気を博している。その才能と顔の良さ、オマケに良家の跡継ぎとあっては、もてない方がおかしいよなって感じだね。
しかし、やはり世の中には……上には上がいるんだ。
セナとアラン、二人の声援を足しても及ばない大絶叫の黄色い声援が起こった。音が波となって伝わって来るのが分かるほどの騒音。流石の俺でも誰が何を言っているのか判別がつかない……が、何が起こっているのかは判断がつく。メイン攻略対象様のご登場だ‥…
「やあ、ご機嫌いかがかな?セナ、アラン、それと……ゴミクズ君、だったかな?」
「これはこれはシュナイダー殿下、ご機嫌麗しく」
「よう、ミハエル!相変わらずスゲー追っかけだな」
イケメン達の揃い踏み、三人が揃うと大絶叫がヒートアップし過ぎて、もう耳を塞ぎたくなるな‥…アランは仰々しく頭を下げ、セナは相変わらずセナらしく、そいつに挨拶した。銀髪長身痩躯の美形……
この国の王子『ミハエル・シュナイダー』に‥…どうでもいいけど、ここ男子トイレの前な。王子様もう○こか?邪魔しちゃ悪いから適当に
「あ、ども」
とだけ返しておく。名前を何回言っても覚えられない若年性痴呆症の奴に、わざわざ何度も訂正するのは疲れたから相手にしない方が楽なんだよね。
だが無視しようにも、相手は王族。封建制で上位者の存在は絶対。だから無礼を働いている様では社会で生きていけない、最低限の返事だけはしないとね。王族の覚え目出度きなんざ嫌われ者のゴーミス・クズノーには無理だ。無駄な努力を俺はしない主義だ。それよりも、さっさとこの耳に優しくない現場から離れたい‥…けど、そうは問屋が卸さなかった。
「こんにちは。ミハエル殿下、セナ君、アラン君!」
ここで、この乙女ゲームの主人公こと『ローイン』ちゃんがご登場。ふわっとした金髪に、白ブレザーと赤い膝丈スカートの似合った小柄な美少女が追加してやって来た。
やっとモブ女子以外は野郎だけだったメンバーに華が咲いたけどさ‥…繰り返すけど、ここ男子トイレ前な。聞く者の心を魅了する可愛い声で、暗い気持ちを明るく変える元気な笑顔で攻略対象達に挨拶するけど、ここ男子トイレ前な。
「やあ、ローインさん!」
「これはこれはローイン嬢、今日も見目麗しくいらっしゃる」
「ローイン、こんな所で会うとは奇遇だな」
そんな細かい事を気にしているからお前はモテないんだよって俺と対照的に、モテるイケメン達であるセナ、アラン、ミハエルの三人は気にもせずローインへと挨拶を返す。呼ばれた中に俺が入ってないのは、明らかに意図的なんだなこれが‥…
そらそうだ、近くにいるだけで散々な目に合う奴には近付きたくもないだろう。『君子危うきに近寄らず』だ。それでも近付いて来たのは、『虎穴に入らずんば虎児を得ず』。攻略対象達との出会いの為だろう……ローインさんってばマジ、ハンター!
誰にでも分け隔て無く優しいはずのヒロインちゃんですら差別してくる……俺、ゴーミスの役割ここに極まれりだな。そんな俺に負けず劣らず役割に忠実なモブ女子達は
「まぁ!お三方に何て馴れ馴れしい!」
「でも悔しいけど、お似合いね」
「キィーッ、羨ましい!」
ってお約束の反応をしている……マジで役割お疲れ様です。結構そんな貴女達を俺は尊敬しています‥…
でもな、やっぱりなと言うか、そうなるよなって言うか‥…ヒロインと攻略対象が揃ったら‥…そら出て来るわな。悪役令嬢『レージョ』がな……
「まぁ皆様お揃いで……そこに泥棒猫が何のご用件かしら‥…?」
黒髪ロングの大人びた顔立ちの美女。共通の制服である白ブレザーの上からでも分かるナイスバディは隠しきれない。ファビュラスな黒いロングスカートは高級素材だとファッションに疎い俺でも一目で分かるし、手に持った豪奢な扇子はマーベラスで口元を隠しながら近づいて来る。
そのセレブリティ溢れる姿を確認した俺は、アンギラスの様に転がってでもこの場を離れたくなったが……悪役令嬢とお邪魔キャラは切っても切れない何かが働くんだよなぁ……
こっそりと離れようとしても、モブ達が邪魔で動けねーの。
そうだよな、ここ主要人物達にとっては『二階廊下』かもしれないけど、俺とかモブ男子達にとっては『男子トイレ前』だもんな。
この騒動の所為で、トイレに入りたくても入れない男達の悲痛な視線なんぞには構わず、ヒロイン、悪役令嬢、攻略対象達の寸劇が始まってしまっている。だったら他のトイレに行けばいいじゃんとか思う人達は、学生時代って意外と別学年のトイレって行き辛かったよなーって時代があった方々の事を思い出して上げて下さい。
うん、俺はそんなの気にしなかった方だけど分かるよ。分かるけど、どいてくんねーかな?漏らす位なら空気読まずに動いていいと思うんだ。だからそんなに我慢してプルプル震えるの止めよう?俺の逃げ道を塞いでいるモブ男子諸君。
触ったら暴発しそうな君達を押しのけてでも逃げ出すような鬼畜の如き所業は、幾ら嫌われ者の俺でも出来ないんだ。君達も助かる、俺も助かるウィンウィンの関係を築こう?恐れるな、振り向くな、若さって何だ?振り向かない事さ!さぁ、さぁ!
「下郎がっ!一体何をコソコソとしているのですかっ!」
堂々とやったらモブ男子達が思春期こじらせて死ぬじゃろがい!お前は鬼か、レージョ!?悪役なのはローインちゃん相手だけにしとけや!本来なら俺はあんたの腰巾着だけど、生まれたての小鹿の様に震えるモブ男子達を責めるのはやめーや……
本当にもう、コイツはいつも誰であろうと強気で容赦ない。俺であろうと、ローインであろうと、攻略対象達であろうと……それが軋轢を産んでいるのに引き下がりはしない。常に我を通そうとする‥…悪役令嬢らしいっちゃ、らしいんだがな。
こうして、いつものパターンに巻き込まれていく日々に辟易しながら‥…俺はさっさと、どっちが俺の嫁になるか決まんねーかな‥…何て他人事の様に、乙女ゲームらしい修羅場のやり取りを見ながらボーッと毎日を過ごしていたんだ。
だから自分でも不思議なんだ‥…どう転んでも、俺はどうでもいい程度にしか思ってなかったから。
一度、仮想とは言えやり尽くした世界で、幸か不幸になろうとも……楽しめればそれでいい。その程度にしか二度目の人生を思えなかったんだ。
だから不思議でしょうがないんだ……自分でも
いつも強気なレージョが泣いているのを見て、助けてやりたいと思うなんて……悪役令嬢とお邪魔キャラの、切っても切れない何かが働いたのかもしれない……そんなの俺は御免だった。あの一方的な注文だけをして、一切の譲歩はしない女神の思い通りになってるみたいで、上に居る者の傲慢に屈した様な事態になるのは……
それでも、それだからこそ‥…『嫌われ者』は『悪役令嬢』に、こう持ち掛けたんだ。
「運命に反逆する勇気はあるか?」
10
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
乙女ゲームに転生した悪役令嬢! 人気が無い公園で出歯亀する
ひなクラゲ
恋愛
私は気がついたら、乙女ゲームに転生していました
それも悪役令嬢に!!
ゲーム通りだとこの後、王子と婚約させられ、数年後には婚約破棄&追放が待っているわ
なんとかしないと…
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる