深きダンジョンの奥底より

ディメンションキャット

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出発

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 俺はグランツに何故ここに来たのか、教王からの任務は「連れてこい」と言われたと、少し嘘をついたけど他は全て真実を話した。グランツは俺が転生者と聞いて少し驚いていた。

「そんなことが……いやちょっと待て、じゃあその帝国の奴らが追ってくるんじゃ?」
「いや、爆弾には位置を知らせる魔法も付与されていたからな、あの落下を観測したなら少なくとも同じルートでは来れないだろう」
「じゃあ別のルートがある、と?」
「あぁ……あった、これだ。奴らが一層から二層に降りるのはここからだろう」

 教王から貰った一層の地図をグランツにも見せる。
 ここまで助けてくれた地図だが、二層からは外周が記されているだけで中はほぼ空白になっているし、お役御免だな。

「本来ならば俺もここから降り、お前を捕まえて、ここから登る、もしくは特殊な魔道具を利用して登るつもりだったんだが……」

 俺は俺が落ちてきた穴が完全に塞がっている、空の幻覚に隠された天井を見て、ため息をつく。

「一方通行とは、な」

 そう零した俺と違ってグランツは帰る道が閉ざされていることにそこまで気にしていないように見えた。

「まぁ何にせよ帝国に派遣された人らが来るまでは時間があるってことか。じゃあ俺からも、ここ1週間二層を探索して分かったことを」
「ああ、頼む」
「まず、裏迷宮の階層特徴は迷宮と変わらない。基本的に『死の豪風』は半刻に一度発生する。が、違う点もある」

 確かに、話に聞く有名な『龍頭の迷宮』とここの様子は変わらない。

「まず居る魔物が違う。普通の2層なら蛇や蛙型の魔物が生息しているけど、ここ裏迷宮では殆どの魔物が魔兎で、しかもその魔兎も外にいる奴らより何倍も強い。あとは……」

 そこでグランツは言葉を止めた。

「そうだな。ちょっと、着いてきてくれ」

***
 
 青々とした草原の中、1部だけ茶色の土が見えて、その奥には下に延びる階段があった。向かっている途中は草が禿げていることに気付かなかったことを考えるに、何か幻術がかけられているんだろう。

「3層……」
「ああ、『溶火の湖畔』。階段に手で触れるなよ、火傷する」
「どうする? 俺は行ってもいいと思う」

 階段に近付くだけで汗ばむほどの熱気が来る中、俺はグランツに問いかけた。このまま2層にいた所で進展は無いだろう。留まる理由はなかった。
 

「じゃあ、行くか」

 俺たちは死にまた近付くのだった。
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