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3人目
鉱石鳥
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4層『迷いの鉱窟』、この階層は鏡のような結晶石が壁、地面、天井を覆い尽くす洞窟層だ。どんなベテラン冒険者でも、広いのか狭いのか、行き止まりなのか続きがあるのか空間把握に苦戦する。
さらに厄介なことにこの層は短いスパンで壁や天井が生成と破壊を繰り返している。そのせいで一度通った道が消えたり、前までは無かった道が現れるという。
そんな層に始めてきた俺はもちろん
「ここ……さっき通ったか?」
迷っていた。
今までの2層も3層も下手くそながらも手書きで地図を作ることでどうにかなっていたが、この層はそうはいかない。本来ならば4層専用の魔道具を持ち込むことで突破するものなのだ、それを手ぶらの素人が迷わないはずがなかった。
少しだけ広くなっている円形の広場のような場所── 高さは8メートルぐらい、広さは半径15メートルぐらいだろうか── に着いた俺が、疲れを癒すために一度腰を下ろそうと思い立ち止まった時だった。
「キェェ!!!」
──っ!? 後ろっ……いや上か!
突如聞こえた耳をつんざく高い鳴き声に、咄嗟に俺は上を向く。
「っ痛!!!」
「キェッ」
空を飛ぶ魔物を俺の目が捉えるのと同時に、俺の右肩に強い衝撃が走った。自分より何倍も重いものに潰されるような酷痛に視界が歪むが、気合いで意識を保つ。
「<治癒>!」
回復の過程で一瞬白い何か、はみ出した骨のようなものが視界の端に見えた気がするけど気のせいということにしておこう。
「<鑑定>……クリスタルバードね」
セージから受け継いだ鑑定のスキルを使い、魔物を調べる。クリスタルバード、鉱物を生成し空中から降らせる大型の鳥型魔物だ。表迷宮でも出現する一般的な魔物だが、裏迷宮ならではの特徴があるだろう。とはいえ、魔物の目の前で<鑑定>の文をゆっくり見ている訳にはいかない。
「<隠密>」
取り敢えず一度隠れて、ゆっくりとその特徴を読もうとスキルを発動させる。
だが。
アラクネにも破られなかった程の転生者特典とスキルなのにも関わらず、クリスタルバードは普通に二度目の落石をしかけてきた。
「キエェッ」
「っぶねえ!」
すんでのところで、俺は左に回避し降ってきた鉱石を避ける。鉱石は俺が避けたことで地面に叩き付けられ、次の瞬間には地面が融解を始めていた。
ジィィ……と自身の熱によって地面に沈んでいく奴が放った鉱石と、地面が熔け沸騰した液体が立てる嫌な音だけが空間に響く。
<鑑定>の一文『鉱石に魔法を付与』、まさか、と思い俺は咄嗟に自身のステータスを確認する。
「くそっ、最悪だ!」
既に奴は一度目の落石で追跡魔法をかけていたんだ! <隠密>が看破されたこともそうだし、なにより状態異常の欄の『追跡魔法』という文字がその証拠だ。いま目の前で溶けている鉱石も、何か熱系の魔法が付与されているんだろう。
こうなれば正面戦闘しかない。
「<疾走><空中歩行><瞬歩>!」
覚悟を決めた俺は、3つのスキルを同時に発動させて安全圏から高みの見物を決め込んでいるクリスタルバードに直接攻撃を仕掛けに行く。
<空中歩行>は30秒間だけ宙に自在に足場を作ることが出来るクールタイム30秒のスキル、俺が奴と正面から戦えるのは30秒しかない。
「キィィエッッ」
俺の急激な接近に対し、クリスタルバードは必死に鉱石をいくつも落して撃墜しようとするが<瞬歩>で俺は簡単にそれらを避ける。落石自体に重力以上のスピードは無い、鉱石生成の予備動作さえ見ていれば回避は造作のないことだ。
「<クナイ>っ!」
ほとんど奴と横並びになった俺は、そのままクナイを放ち勝利を確信する。俺の手から放たれたクナイは奴の喉元に真っ直ぐ向かい、
ばすっ── という鈍い音と共に見えない何かに弾かれるように防がれた。
「は? ……って、うおぉぉ!?」
思わずポカンと口を開く俺にも間髪入れずに、下方から何かの力が襲い、空中の足場から宙に浮かされ体勢を崩される。
下を見れば、ついさっき避けた鉱石から上に向かって強風が吹いている。まさか、避けられること承知で上方向の風魔法をかけていたのか!?
だが魔物の知能に驚く暇もない。天井から生えている鋭い結晶石の先端に、俺の身体は一直線に恐るべき速さで持ち上げられる。ギリギリで耐えるように、真上に<空中歩行>の足場を生成して刺さらないようにしているが、もう<空中歩行>の効果が切れる。
── くそっ、仕方ない!
スキル効果が無くなるのと同時に、ギリギリで俺は斜めに体をひねる。こうなれば刺さること承知だ、重要な内臓に刺さりさえしなければ良い。
「っ痛……<治癒>!!」
腹部を易々と貫いた結晶石を折り、すぐさま傷を治す。それとほぼ同時に風魔法も効果が切れ、今度は俺の身体が落下する。
真下には待ち構えるようにクリスタルバードが、<空中歩行>はクールタイムで使えない。
「これは……詰んだか?」
さらに厄介なことにこの層は短いスパンで壁や天井が生成と破壊を繰り返している。そのせいで一度通った道が消えたり、前までは無かった道が現れるという。
そんな層に始めてきた俺はもちろん
「ここ……さっき通ったか?」
迷っていた。
今までの2層も3層も下手くそながらも手書きで地図を作ることでどうにかなっていたが、この層はそうはいかない。本来ならば4層専用の魔道具を持ち込むことで突破するものなのだ、それを手ぶらの素人が迷わないはずがなかった。
少しだけ広くなっている円形の広場のような場所── 高さは8メートルぐらい、広さは半径15メートルぐらいだろうか── に着いた俺が、疲れを癒すために一度腰を下ろそうと思い立ち止まった時だった。
「キェェ!!!」
──っ!? 後ろっ……いや上か!
突如聞こえた耳をつんざく高い鳴き声に、咄嗟に俺は上を向く。
「っ痛!!!」
「キェッ」
空を飛ぶ魔物を俺の目が捉えるのと同時に、俺の右肩に強い衝撃が走った。自分より何倍も重いものに潰されるような酷痛に視界が歪むが、気合いで意識を保つ。
「<治癒>!」
回復の過程で一瞬白い何か、はみ出した骨のようなものが視界の端に見えた気がするけど気のせいということにしておこう。
「<鑑定>……クリスタルバードね」
セージから受け継いだ鑑定のスキルを使い、魔物を調べる。クリスタルバード、鉱物を生成し空中から降らせる大型の鳥型魔物だ。表迷宮でも出現する一般的な魔物だが、裏迷宮ならではの特徴があるだろう。とはいえ、魔物の目の前で<鑑定>の文をゆっくり見ている訳にはいかない。
「<隠密>」
取り敢えず一度隠れて、ゆっくりとその特徴を読もうとスキルを発動させる。
だが。
アラクネにも破られなかった程の転生者特典とスキルなのにも関わらず、クリスタルバードは普通に二度目の落石をしかけてきた。
「キエェッ」
「っぶねえ!」
すんでのところで、俺は左に回避し降ってきた鉱石を避ける。鉱石は俺が避けたことで地面に叩き付けられ、次の瞬間には地面が融解を始めていた。
ジィィ……と自身の熱によって地面に沈んでいく奴が放った鉱石と、地面が熔け沸騰した液体が立てる嫌な音だけが空間に響く。
<鑑定>の一文『鉱石に魔法を付与』、まさか、と思い俺は咄嗟に自身のステータスを確認する。
「くそっ、最悪だ!」
既に奴は一度目の落石で追跡魔法をかけていたんだ! <隠密>が看破されたこともそうだし、なにより状態異常の欄の『追跡魔法』という文字がその証拠だ。いま目の前で溶けている鉱石も、何か熱系の魔法が付与されているんだろう。
こうなれば正面戦闘しかない。
「<疾走><空中歩行><瞬歩>!」
覚悟を決めた俺は、3つのスキルを同時に発動させて安全圏から高みの見物を決め込んでいるクリスタルバードに直接攻撃を仕掛けに行く。
<空中歩行>は30秒間だけ宙に自在に足場を作ることが出来るクールタイム30秒のスキル、俺が奴と正面から戦えるのは30秒しかない。
「キィィエッッ」
俺の急激な接近に対し、クリスタルバードは必死に鉱石をいくつも落して撃墜しようとするが<瞬歩>で俺は簡単にそれらを避ける。落石自体に重力以上のスピードは無い、鉱石生成の予備動作さえ見ていれば回避は造作のないことだ。
「<クナイ>っ!」
ほとんど奴と横並びになった俺は、そのままクナイを放ち勝利を確信する。俺の手から放たれたクナイは奴の喉元に真っ直ぐ向かい、
ばすっ── という鈍い音と共に見えない何かに弾かれるように防がれた。
「は? ……って、うおぉぉ!?」
思わずポカンと口を開く俺にも間髪入れずに、下方から何かの力が襲い、空中の足場から宙に浮かされ体勢を崩される。
下を見れば、ついさっき避けた鉱石から上に向かって強風が吹いている。まさか、避けられること承知で上方向の風魔法をかけていたのか!?
だが魔物の知能に驚く暇もない。天井から生えている鋭い結晶石の先端に、俺の身体は一直線に恐るべき速さで持ち上げられる。ギリギリで耐えるように、真上に<空中歩行>の足場を生成して刺さらないようにしているが、もう<空中歩行>の効果が切れる。
── くそっ、仕方ない!
スキル効果が無くなるのと同時に、ギリギリで俺は斜めに体をひねる。こうなれば刺さること承知だ、重要な内臓に刺さりさえしなければ良い。
「っ痛……<治癒>!!」
腹部を易々と貫いた結晶石を折り、すぐさま傷を治す。それとほぼ同時に風魔法も効果が切れ、今度は俺の身体が落下する。
真下には待ち構えるようにクリスタルバードが、<空中歩行>はクールタイムで使えない。
「これは……詰んだか?」
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