深きダンジョンの奥底より

ディメンションキャット

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 1歩でも前に進めば、俺たちはデッドウルフに集中攻撃され一瞬で消し炭にされるだろう。番犬のように、俺たちがその一線を超える瞬間を決して見逃さないよう鋭く赤い目を光らせる奴らに俺は背筋が凍る思いだった。

「面白いな、面白いほどに露骨に陰謀の香りがすると思わんか、リューロ」

 隣でリカはそう笑っているが、正直、陰謀とかそれどころじゃない。

「まぁ、明らかに人為的にデッドウルフが操られている上、あの空間を守っているのは確実だが……」

 たが、そんなことより命が大事だ、過ぎた好奇心は身を滅ぼしかねない。

「いくらリカが強いとは言っても、これは一筋縄では行かないだろ。どう突破するつもりなんだ?」
「ん? まさかリューロ、これと戦うつもりなのか?」
「え?」

 大真面目な顔でこっちを見て、「それはやめとけ」と忠告するようにリカが言うので、俺も拍子抜けする。リカはこの先に興味があるんじゃないのか?

「いやいや、こいつらと戦えば死ぬじゃろ。わしとて、そこまで無理はせんよ。それにわしは研究者だ、バカ正直に正面から戦わずとも突破する方法など無限にある」

 普通の感性の発言に、俺は心底安心する。

「ってことで、わしは死ぬ」
「……えっ?」

 あまりにも普通の流れで放たれたリカの発言に俺は一瞬普通に頷いて再び正面に視線を戻し、だが直ぐにその意味不明な発言に聞き間違えかと隣にいるリカを2度見する。

 だが遅かった。

 首を回した瞬間に、パァン!── という破裂音に耳が殴られる。目に何か液体が入ってきて、手で目を擦ればやや粘性の高いそれが顔中に付着していることが感触で分かってしまう。

 違う、これは決して血じゃないはずだ。だって意味が分からない、突然死ぬ意味が。大丈夫、大丈夫、目を開ければリカは俺が動揺しているのを見て笑っているに違いない。だから、大丈夫だ。

 無理やりに瞼を開く、映ったのは真っ赤に染った肉片だった。血溜まりに浮かぶ柔らかそうなその肉と、骨の破片にビリビリに破けたリカの服が花吹雪ように舞い落ちている。

 大丈夫、違う。思考が止まってしまう前に、縋る思いでステータスを開こうと叫ぶ。

「……ス、ステータsっ」
「よし、上手くいったようじゃ」

 が、聞き覚えのある声が光とともに後ろから聞こえてきて俺の時間は止まる。間違いなく、その特徴的な喋り方も声もリカ・ローグワイスのものだった。

「え?」

 恐る恐る後ろに首を回せば、そこに居たのはさっきと何も変わらないリカが立っていた。「爆発します……爆発します」と音声を繰り返す肉片を何やら結界に包みながら、それでもリカが立っていた。

「すまんの、驚かせてしまった。これには事情g……すまんかった。もう大丈夫だ」
「ううっ……良かった……本当に」

 彼女が死んでいなかった、その事実に自分でも驚くほど熱い涙が溢れ出る。安心や安堵という言葉では言い表せないほどに、ホッとする。

「でも、どうして?」
「わしは、スペアの肉体を無数に国に確保しておる、故に死は克服しておるんじゃ。だから、お前の前から居なくなったりはせん」

 今までで1番やさしい声でリカは続ける。

「今回はリューロに転生者特典を受け継いでもらうために死んだだけじゃ、生き返ることを伝えなかったのは万が一、の為なんだが、とは言え申し訳ないことをした」


ステータス 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男
レベル 40
体力 A
魔力 S
膂力 A
俊敏性 A

スキル 
<逃亡エスケープ>< 疾走スプリント ><軽量化ウェイトリダクション><隠密ハイド><治癒ヒール><反転リバース><対象変更ターゲットチェンジ><鑑定アプレーザル><瞬歩><クナイ><空中歩行>

称号
[転生者の篝火]⋯転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。

転生者特典
『超回復』『忍びの術』『魔道の極み』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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